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Outer Wilds 宇宙船プラモの作り方 その3(本塗装編)
それでは、今回から楽しい本塗装編ですよ〜!
1.一連の動作
1.1塗料を薄める
終始、滑舌悪く喋っててすみません。
気になる方は音声ミュートして下さい。
塗料の容器をよく振ってパレットに出したら塗り易い濃度になるまで水を加えて薄めます。ここでは少し薄め過ぎましたけども、塗り始めは比較的濃度濃いめで、塗り終わりに近づくほど薄めるにするのが基本です。
1.2塗ってみる
動画内で私も話してますが、心がける事は
・筆を寝かせる
・筆はパーツに軽く触れる様に当てる
いずれも筆から塗料が一気に出てこない様にする配慮です。一気に出てくると塗料の池が出来てカッコ悪い筆ムラの原因なので。数分して表面が乾いたら塗り重ねましょう。
次の動画は塗り重ね4〜5回目の様子。
途中、ドライヤーで乾燥を促進しています。夏場なら必要ありませんが冬は有効。熱し過ぎてプラスチックが溶けてしまう事故を防ぐ為に、温風をパーツをつまんでいる指にもかかる様にしておいて熱くて耐えられなくなったらドライヤーを止める様に気をつけて。自信がなければ自然乾燥に任せましょう。
次の動画は少し長いですが、豆知識的な事も話しているので暇な時に見てください。何層も重ねてやっと白くなってきた所ですね。
ここでは色々とごちゃごちゃ言ってますが、
「筆で色を塗るとどうしても色ムラが残りますが、どこまで色ムラが残っている状態で塗装を終わりにするかは貴方次第ですよ。」
と言う事を申しております。
1.3筆を洗う
最後に塗装作業中の筆洗いについての動画です。
塗装中、出来るだけ小まめに筆を洗いましょう。筆の穂先の根元に塗料が溜まりがちで、これが乾燥して固まってしまうと穂先の先端が揃わなくなって塗りにくくなってきます。
うっかり筆に塗料が残った状態で一晩おいてしまうなどしてガッツリ固まってしまった時は、マジックリン®️をシュッと吹いて暫くおけば溶けてくるので水で流せばほぼ元に戻ります。
2.各色の説明
前項では、筆の動かし方やケアに関する説明をさせて頂きました。
ここからは宇宙船に塗る為に必要な色を一つ一つ挙げて、各色固有の特性などについてお話しします。
2-1.白色
何と言ってもこのプラモの表面積の半分を占める「白色」の説明から。
白と言っても様々な種類があるのですが、宇宙物のプラモ全般にはオフホワイトが似合います。オフホワイトの定義は今一歩定まっていませんので私の独断で申し上げると、白に僅かに黄色やグレーを足した色と思ってください。
今回はその様に混色して色を作った訳ではなく下の色を使いました。
アイボリー(70918 ファレホ)
アイボリーと言うのは、オフホワイトの別称です。
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白を塗る際に必要なスキルは「根気」です、これに尽きます。先程の動画で例に挙げた様に面全体に白を塗って乾燥させると言うサイクルを8〜10回繰り返してやっと白くなります。(塗料濃度によって回数は変動します)
その上、この宇宙船プラモはとても大きいので本当に大変でした。
白色の塗り重ね回数を減らす為の裏技として、下地塗装にライトグレーをいったん塗ってから白を塗る言う方法があります。グレーは塗り重ね回数がとても少なくて済む塗料なので、この急がば回れ戦法は有効ですよ。
2-2.オレンジ
オレンジ色は背面の横長タンクと右舷の縦長タンク、木の板を束ねるバンド部分に塗られます。私自身は暗い赤とレモン色の絵画用絵具を混ぜて色を作ったのですが、皆様にはこちらをお勧めします。
オレンジファイヤー(72008 ファレホ)
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少しくすんだオレンジの方がらしいのでアイボリーをほんの少し混ぜると良いかも知れません。
オレンジ色は白と比べればずっと塗り重ね回数も少なくて済みますので気楽に塗って下さいませ。
2-3.グリーン
グリーンは、左舷の球体及びバンド部に使われています。
使った色はこちら
ドイツ軍ユニフォーム色
(70920 ファレホ)
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多くのグリーン系塗料を持っているにも関わらず、何故かいつも使ってしまうのがこの色。これもアイボリーをほんの少し混ぜて色をくすませると良いかも。
ところで、先の大戦において悪名高いドイツ軍ですが、ユニフォームのデザインは高級ブランド「HUGO BOSS」が手がけており、形も色も他国より圧倒的にカッコ良いのです。◯チ党の国内向けのイメージ戦略が如何に秀でていたかが分かりますね。
と言う余談をしたのは他に書く事があまりないからでした。
塗るのは難しくありません。
2-4.ブルー
横長オレンジタンクと横長シルバータンクを束ねるバンド、左舷と右舷の木材を束ねるバンド部にブルーが使われていますが、前者のバンドは軟質素材で出来ています。
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ところが、日本で売られている模型用塗料では(極めて扱いの難しい特殊な塗料を除いて)、軟質素材に塗装をする事が出来ません。
ですので、必ずファレホを使って下さい。
ファレホには乾燥後の塗装膜を丈夫にする目的でビニールの様な物質が混ぜられています。このビニール膜は多少の伸縮性があるため軟質素材に塗った後にフニャフニャと変形させても塗料が剥がれてこない事を確認出来ました。
私にとっても発見でした。
で、このバンドは組立完了後にピンっと張りを保つ様にする為に少し短めに作られています。つまりバンドの片側を接着した後、もう一方の端を接着する時に引っ張って伸ばしてあげながら接着する必要があるんです。
本当にファレホがあって良かったです。
他の塗料なら伸ばした瞬間にパリパリと剥がれてしまう所でした。
ここで使うブルーはこちらです。
アズールブルー(71108 ファレホ)
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塗装自体は難しくありません。
2-5.シルバー
シルバーは後部のタンクと天面にのるボンベ、ロケットノズル、船体下部や脚の一部に使われています。
世の中には多種多様なシルバー色が売られていますが、この宇宙船にはこのシルバーが似合うと思います。
フラットアルミ(XF16 タミヤ)
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ギラギラするメタリック感が適度に抑えられているので、枯れた技術のみで作られた感の強いOuterWilds宇宙船にはピッタリだと思うんですよね。
この色はメタリック系塗料の中では塗装が最も簡単なのでリラックスして筆塗りして下さい。塗る際の塗料濃度は濃い目がお勧め。
2-6.ゴールド
ゴールドは前部のドーム、丸窓、ひよっこが宇宙船に乗り込むハッチに使われています。
ゴールド(TS21 タミヤ)
を使いました。
黒の下地を塗った時と基本は同じですが、噴射ボタンを押す力を若干弱めて噴射量を少なくしています。
出来上がりはこんな感じ
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埃がくっついてしまっていますが、まずは慌てずに完全に固まるまで待って下さい。その後デザインナイフの先端で慎重にホコリを除去してゴールドを重ね塗りすればOKですが、不安な方は埃をそのままにしておくのも一つの手です。そのうち、気にならなくなったりしますので。
ところで、
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上の写真の様にゴールドの隣に白や茶色を筆で塗る必要があるんですけども、筆を上手くコントロール出来ずゴールドの上に白や茶色がはみ出して塗られてしまう事があるでしょう。
その際は、はみ出た塗料を乾燥させた後に筆に水で少し薄めたマジックリンを含ませてはみ出た部分を軽くコチョコチョすると剥がれて来ます。
但し!
この方法は、
「マジックリンが水性塗料を分解出来る一方、ラッカー塗料にはなんの作用もしない。」
という特性を利用したものなので、今回で言えばゴールドの上にはみ出した水性塗料を剥がす時のみにしか使えません。他の場所で色のはみ出しがあった場合にはこの手を使わないでくださいね。別のアプローチを後ほど説明します。
2-7.木の部分の色
さて木の部分の塗装ですね。
正念場です。
もちろん、こう言う木の色っぽい茶色をただ塗るだけでも良いんです。
パラサイトブラウン(72042 ファレホ)
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でも仮に、茶色一色で塗ってみて貴方が物足りなさを感じる様なら塗装による木の表現に挑戦してみませんか?
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「OuterWilds宇宙船に使われている木は一種類ではないだろうなぁ」
と言う妄想に基づき、様々な色味の茶色と木目の表現方法を使っています。
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こうやって複数の木の表現を試行錯誤する中で、とてもタイパよく手軽に木目を表現できる方法を発見しましたのでそれを紹介します。皆さんは全ての木部をこの方法で塗るのが、時間コストと仕上がりの良さのバランスが最強かと思います。
脚部分を使って説明しますね。
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黒下地の状態です。
ここで、アイボリーに下地用の暗色をちょっぴり混ぜて明るいグレーを作ったら、この上に塗りましょう。
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黒下地が所々で縦筋状に覗いている程度までライトグレーを塗ったら、そこで塗装を止めるのがポイントです。
で、これが登場。
ペンを使う要領で占領インクを塗ることができる優れもの「リアルタッチマーカー」です。何種類も色が用意されていますが、ここでは「イエロー1」を購入下さい。
ライトグレーを塗った上にこのマーカーを塗ると…
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ライトグレーと黒のまだら模様が、リアルタッチマーカーを塗るだけで見事に木目に変化してしまいました。
ライトグレーを黄土色や茶色に変えると、最終的な出来上がりの色を変える事が可能なので複数種の木が表現出来ますよね。
3.色の塗り分けの事
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例えば、緑矢印の部分。
オレンジとダークグレーが隣り合ってますよね。で、塗装前のこの部分の写真がこれです。
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こう言う形をしています。
オレンジを塗る部分とダークグレーを塗る部分は一体パーツなんですよ。
つまり、これはオレンジとダークグレーを塗り分ける必要があると言う事です。
紫、赤矢印の箇所も同じく塗り分ける必要があります。
あ、今もしかして気が重くなりましたか?
でも、全く問題ありません。
皆さんの気が重くなっちゃうのは何故なのかと言うと、
「塗り分けを一回で終わらせよう」
と考えているからなんですよ。
それはつまり、
「色がはみ出たら即失敗」
と言う事になってしまい、実際にはみ出たりしようものなら
「あぁ!やっぱり失敗した!こんな事なら生まれて来なければ良かった…」
って言う悲しい方向に帰結しちゃう。
良いんですよ。
ダークグレーの上にオレンジがはみ出たらダークグレーで上から塗って隠してしまえば良いんです。
え?その修正時に今度はオレンジの上にグレーがはみ出しちゃったらどうしようですって?堂々巡りじゃないかって?
良いんですよ、それで。
塗装は楽しい作業なんだから寧ろラッキーじゃないですか。しかも何度も行きつ戻りつしている過程でどんどん色が重なると見た目の深みが増すんですよ、マジで。
塗装の厚みが増すと、光はますますプラモを透過し難くなるので重みが出てくるのも良いポイントですね。
一般的にプラモ界(とくに飛行機プラモを作る人)では塗装はなるべく回数少なく塗装の厚みは薄ければ薄いほど良い。とする意見が支配的なんですけど、この宇宙船プラモを作る方は私を信じて下さい。絶対に厚塗りした方がカッコイイですから。
それと、色分けは定規で線を引いた様にビシッと綺麗に塗り分けられている必要ないですから。色の境界線が多少ヨレヨレしていても全然大丈夫。
さあ、これで随分と気楽になったでしょう?プラモ製作は出来るだけ楽しましょうね。楽しいって事は楽をするって事と同義ですから。(私の師匠からの受け売り)気楽に気楽に。
さて、塗装に関する基本的な説明はここまでとなります。
最初は慣れない作業に不安が付きまとうと思います。ですが塗装が進むにつれて楽しさが優ってくるはずです。
何と言ってもこの宇宙船のデザインが最高にカッコいいんですから間違いありませんよ!
なにか疑問がおありでしたら個別に質問くださいね。
ではでは。