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Outer Wilds 宇宙船プラモの作り方 その2(塗装の準備〜下地塗装)

さて、今回からプラモ未経験の方が最も恐れているであろう「塗装」についての解説を始めます。
どうか尻込みする気持ちを抑えて、宇宙船プラモに色を重ねていく度に皆さんの知るあの姿にどんどん近づいていく興奮を是非味わって下さいね。

OuterWildsを知らない人にも随分褒められました。ほんと良いデザインなのよね。
このオレンジ色が素敵
金色ドームが印象的です

1.塗装方針を決めましょう

1-1.缶スプレー塗料を多用するプラン

とにかく早く素早く仕上げたい方には缶スプレー塗料を使うことをお勧めします。
下は日本を代表する模型メーカー株式会社タミヤのスプレー缶。

安心の星印

塗装面積の大きい箇所に使われている色をスプレー塗装にし、細かい所は筆で塗る事になります。
私の作った完成作品とは仕上がりの質感がだいぶ違い、色むらの少ないスッキリした見た目の作品になります。
今、最も重要視されるタイパに関して言えばスプレー塗装が圧倒的に勝者ですね。
その代わり一つ辺り700〜900円とそこそこのお値段ですし、空き缶の処分がちょっと面倒です。

さて、かく言う私はスプレー塗装を一部にしか使いませんでしたのでスプレー塗装の詳しい工程を解説出来ません。そこで、せめてこの宇宙船に使えそうな色の紹介をさせて頂きます。
TS◯◯と言うのが商品番号で、続いて色名となります。

TS14 ブラック(必須)
TS82ラバーブラック
TS27マットホワイト
TS30シルバーリーフ
TS21ゴールド

さらに、ほぼ全ての部分をスプレーで塗りたいと言う方の為に他の色も挙げて起きます。
TS98ピュアーオレンジ
TS28 オリーブドラブ2
TS68木甲板色

辺りも購入しておくと良いでしょう。
しかしこれだけ詳細に書いておいてなんなのですが、ここで挙げた色があなたのイメージと合致するかは残念ながら私には分かりません。あくまで参考として捉えて下さると助かります。

後ほど、基本的なスプレー塗装の動画を貼りますのでご覧ください。
それ以上の事はYoutubeなどを参考にして頂くか、個別に質問を下さいね。

1-2.筆を多用したプラン

私は殆どの部分を筆で塗っております。
筆塗装はスプレーの様に素早くは塗れませんが、スプレーよりも遥かに細かい表現が出来ます。
言い換えると、
スプレー=塗りつぶす作業
筆塗り=描く作業

と言うことです。
この宇宙船プラモに、色のみならず「OuterWilds愛」までをも塗り込めたいのであれば 筆塗り一択だと思いますよ。

2.用意するべき道具類

2-1.塗料

国内製のプラモ用塗料は大きく分けて2種類あります。
メーカーは複数社ありますが、タミヤさんの商品で説明しますと

左が有機溶剤であるラッカー溶剤が含まれているラッカー塗料。
右がアルコール系溶剤が含まれているアクリル塗料です。
ラッカー塗料は古よりプラモに使われているタイプであり、使い勝手はとても良いものの有機溶剤の臭いがキツく、更に脳みそにダメージを与えるので欧米諸国ではとっくに製造されていません。子供が扱う可能性の高い商品なのですから当たり前です。日本はその点、保守的な爺さんモデラーに忖度してるのか?と疑いたくなるほどとても対応が遅れています。嘆かわしや。
因みに、スプレー缶塗料の中身はこのラッカー塗料です。絶対に屋外で使って下さいね。
また、もう一方のアクリル塗料には有機溶剤とは違いますがアルコール系溶剤が含まれているので少し特徴的な臭いがあります。脳みそには影響ないとは言え、私の様な下戸にはそれなりにキツいです。
そんな背景もあって、欧米各国ではアルコール系溶剤さえ含まない完全無臭の塗料が主流です。その中でも比較的日本での入手性が高いのが南欧スペインの塗料
「ファレホ」
です。

vallejoと書いてファレホと読む

日本においては「ボークス」と言う大手模型店が正規代理店となっており、店舗も札幌、仙台、宇都宮、東京、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、福岡と主要都市を網羅していますし、通販サイトでも購入出来ます。
輸入品ですのでタミヤをはじめとした日本製塗料の倍の値段はしますが、塗料を薄めたり筆を洗ったりと行った事も水道水だけあればOK。完全無臭なのでリビングで子供さんやペットと一緒にテレビ見ながら塗装ができるって言うのが最大の利点ですね。
あ、水性ですけどいったん乾燥してしまえば水に濡れても溶けませんのでご安心ください。

2-2.筆

主に使う筆はこんな形の物になります。
フィルバート
角の取れた平筆と考えて頂いて良いですが平筆よりも断然塗りやすいので私のイチオシ。
宇宙船プラモの大きさから言うと、穂先の幅は4号か6号サイズが使いやすいと思います。

フィルバート

細筆
主に小面積の部分を塗ったり、色の境界線付近を丁寧に塗る為に使います。
こちらは2号か4号を勧めます。

細筆

上の2種類の筆はどちらもインターロンと言うシリーズで画材屋さんで購入出来ます。穂先が天然毛ではなくナイロンなので洗浄などのメンテ時にそれほど気を使わなくて良いのが◯
価格はフィルバートが1500円くらい、細筆は900円くらいですね。
逆に模型屋さんで売っている数百円の筆は毛が柔らか過ぎてとてもコントロールしにくいので特殊な用途を除いてはあまりお勧め出来ません。
初心者ほど道具に助けて貰いましょう。

2-3.その他必要な物

パレット
塗料を瓶から出して薄めたり、他の色と混ぜたりする為にパレットが必要になります。

梅の花に形が似ているから梅皿

私は絵画用の梅皿を使っています。
別に専用の物ではなくても良いのですが、窪みを仕切っている壁部分で塗料を含ませた筆の先端を整えたり出来るので便利です。画材屋さんに行けば、多種多様なパレットが販売されています。紙パレットなどは使い捨てられて良いかも。
水バケツ
次に筆洗いや塗料を希釈する水を入れておくバケツも用意して下さい。
私は100均のマグカップを使っているので偶にコーヒーと間違えて飲んでしまう事があります。(戒)
キッチンペーパー
水洗いした筆の水分を吸わせたり、筆に含ませた塗料をほんの少し減らしたい時に吸わせたりと言った時に使います。ティッシュペーパーは細かい毛羽が発生し、それが筆を経由して模型表面に付着してしまうので出来るだけ避けて下さい。
マジックリン®️
言わずと知れた花王さんの看板商品。
パレットや筆の洗浄に使います。
ファレホやタミヤアクリル塗料ならバッチリ落とす事が出来ます。

マジックリンには幾つか種類がありますが、このパッケージの商品を買ってね
こんなに汚いのに…
マジックリンをシュッとして放置すれば
スッキリ

3.下地塗装をしよう

3-1.金色ドーム部以外の部分

白や木の色を塗る前に、下地を塗装しましょう。わざわざ下地塗装を行う理由は幾つかありますが、最も大きい理由は
「光が透けやすいプラスチックに暗色を塗る事で光の透けを防止する」
事にあります。光が透けたままですと視覚的に軽く見える作品になってしまいカッコ良くありません。
まずは思い切り暗い色を一番最初に塗って光がプラモを通過しない様にしましょう。

ファレホ 73603

下地塗料には
ジャーマングレー(73603 ファレホ)
を使います。
下地塗装はもう何も考えずに大きな筆に塗料を含ませワシャワシャと塗り広げていくだけでOKです。
(このラフに塗っていく下地塗装に限って言うと模型屋さんで売っている数百円の平筆が実は向いていたりします。)
下地塗装をするとこんな感じになります。

一部パーツが映ってないし白いままのパーツもあってごめんね

この写真に写っていないパーツもこの色で塗りつぶします。
もし、下地もスプレーで素早く仕上げたいと言う方が居られましたら
ラバーブラック(TS82 タミヤ)
を使用して下さい。

3-2.金色ドーム部分

次に、金色ドーム部分の下地は、
ブラック(TS14 タミヤ)
をスプレー塗装します。
この色は乾燥した後に艶が残る黒であり、この後に塗るゴールドを綺麗に発色させる為には必ず必要な色となります。
艶のある黒下地が出来上がった状態から見て頂きましょう。

ツヤツヤだけど…

ツヤツヤですねぇ。
これだけツヤツヤなら、この後に塗るゴールドもとても綺麗に発色するでしょう……が……
ハッキリ言わせて下さい。
大変失礼ながら、初めてプラモデルに触れたかも知れない皆さんにはここまでツヤツヤにするのは不可能です。
いや、今の今までツヤツヤに塗る方法の解説文を書いてたんですけど、なんだか皆さんに苦行をさせているみたいな内容になってきちゃったのでやめました。
皆さんもツヤツヤは諦めて下さい!
そこまでストイックにならなくても
ツヤっ位にはなるはずですから!!
ふぅ
さて、それではスプレー塗装の実際についてご説明します。
まず、健康の為にマスクは必ず着用して下さい。本当は塗装作業専用のマスクが存在するのですが一般のマスクでもするとしないとでは大違いなので
ご自身の健康の為にも是非お願いします。

生活感…

ダンボール箱などの上にガムテープなどを使ってパーツを固定します。
缶を良く振って中身を入念に混ぜ合わせたら塗装開始です。
その様子を動画でご覧ください。
腕の動きやパーツとスプレーの距離感など確認して下さい。
(注釈:既に下地塗装が完了した後に動画を撮影しましたので、ダンボールに向かって塗料を吹きかけていますが、箱の真ん中辺に塗るべきパーツがあるのだと思いながらご覧ください。m(__)mこんなんばっか)

この動画の動作をチャートっぽく書くと…
パーツより少し左側に外した方向にスプレー噴射口を向けたら、噴射ボタンを押す→
ボタンを押したまま右にスプレーを移動させ塗料の霧をパーツに吹きかける→
塗料の霧がパーツを通過したら噴射ボタンを離す→
頭に戻る
この動作を繰り返しています。
これを守って頂ければ特にスプレー塗装でトラブルはないはずです。
それでは、細かく説明致します。

最初は敢えてこの程度の量しか吹きません。この状態を「砂吹き」と呼びます。

砂吹き まだプラの白がだいぶ見えますね

左から右への腕の動きを素早くして動作の繰り返し回数は2回程度にするとこの「砂吹き」になると思います。
最初からしっかり塗り潰そうと大量に塗料を噴射するとパーツ表面に塗料が乗りすぎて垂れてきてしまいます。
もちろん垂れてしまってもリカバリーは可能ではありますが何かと面倒なので、最初は「砂吹き」と覚えておいて下さい。
不思議な事に一度「砂吹き」をしておくと次からは塗料が垂れにくくなり、多めに噴射しても大丈夫になります。
もちろん限度はありますけど。
5分もおけば2回目の塗装が可能です。夏場なら1分も置いておけば十分です。

2回目でこれくらい

2回目でもこの程度まで吹いたらいったん終わり。
また5分乾燥させます。
腕の移動は1回目よりはややゆっくりで、動作の繰り返し回数は2回程度。

3回目では腕の動きのスピードをより遅く、繰り返し回数も増やす事になります。
しかし先ほど申し上げた通り、繰り返し回数を増やし過ぎるとすぐに垂れてきてしまうのでツヤツヤではなくツヤっを目指して、
「黒く塗りつぶされたからOK」
程度の所で止めて下さい。


さて、今回はここまで。
まだ模型が黒いままなので心はイマイチ踊りませんが、ここからどんどん楽しくなってきますので大丈夫。
それでは、また次回。

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