バイアウトファンドがサーチファンドに出資
1|日本プライベートエクイティがサーチファンドに出資
本件が3件目となるサーチファンドへの出資
日本プライベートエクイティがサーチファンドに出資しています。
サーチャー(のSPC)から企業へ投資する資金ではなく、あくまでもサーチ活動に必要な資金の出資のようです。今回出資したジャパンリレーパートナーズは、得た資金をもとに、1~2年という期間をかけて投資先を発掘するようです。
なお、日本プライベートエクイティからのサーチファンドへの出資はこれが3件目となるようです。
・2024年 (今回)
・2023年 ジャパンブルズアイキャピタル(2名)へ出資
・2022年 M-Capitalへ出資
なお、4名のうち2名は総合商社、1名はメーカー、1名がIT出身の方のようです。東京都がサーチファンドを設立するなど、サーチファンドは注目を浴びているようで、また別の機会に詳しく考察してみたいと思います。
2|サーチファンドのタイプ
上記の出資は、トラディショナル型サーチファンド、に該当するとのことです。さて、アクセラレーター型やトラディショナル型とは何でしょうか。プレスリリースを参考に整理してみました。
2-1|トラディショナル型とアクセラレーター型
トラディショナル型サーチファンド:
・サーチャー(通常1~2名)自らが、複数の投資家から出資を募ってファンドを組成(ファンドレイズ)
・資金調達は二度に渡って行われ、第一段階はサーチ活動のための資金を調達、第二段階は投資先が見つかった段階で資金を調達
アクセラレーター型サーチファンド:
・通常1社のアクセラレーターがサーチ活動のための資金を含めて、サーチャーを支援
・投資先が見つかった段階で、アクセラレーターからSPCへ資金を出資(つまりこちらも二段階)
2-2|日本で活動するサーチファンド
日本で活動する有名どころは、アクセラレーター自体がファンドレイズし、サーチファンド用のマザーファンドとして動く、すなわちファンドオブファンズ形式のようです。実質的に、アクセラレーターこそがサーチファンドでは?と思いますが、あくまでもこの分類においては、アクセラレーター(加速させるもの)という立て付けのようです。
この場合、SPCはリミテッド・パートナーシップ形式を取らないでしょうから、ファンドオブファンズのファンドはそれぞれ別の形態ですね。ファンドといってもLPSの形態だけではありません。
アクセラレーター型サーチファンドは、PEファンドを例にとれば、プロフェッショナル経営者自らソーシングからイグジットまで担当し、厚めのインセンティブを確保するようなイメージでしょうか。
いずれにせよ、サーチファンド本来の目的、投資金額にもよりますが現実的なファンドレイズのハードルを考えると、アクセラレーター型のメリットは大きいと推察します。
他にも自己資金での投資活動をSelf-funded型と呼ぶなど、サーチファンドの派生形態が複数存在するようです。
補足:日本プライベートエクイティ概要
日本プライベートエクイティについては詳しく存じ上げませんでしたので、概要を調べました。
バイアウトファンドを運営しているようです。
沿革
・2000年10月に日本アジア投資と日本M&Aセンターの出資により設立
・2013年8月日本政策投資銀行が資本参加
現在の株主構成
・日本M&Aセンターホールディングス 36.1%
・日本政策投資銀行 35.7%
・自己株式/役員等 28.2%
なお、上述した有名どころの、サーチファンドジャパンにも、日本M&Aセンターが資本参加しています。
サーチファンドジャパンはアクセラレーター型、日本プライベートエクイティはトラディショナル型、という棲み分けなのでしょうか。
出資したサーチファンドの投資対象にもよりますが、日本プライベートエクイティとしてもバイアウト投資をされているようなので、当出資先サーチファンドとの競合性をどう整理しているかは少し気になりますね(対象規模が全然違う、あるいはLP自体が取り組みに意欲的なのかもしれませんね)。
いずれにしても、日本M&Aセンターは、サーチファンドによる事業承継M&Aに機会を見出しているようですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。