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文学部に行きたかった
幼い頃のある日、私の母は突然、世界童話全集なるものを買って、本棚に並べました。「ふーむ。これを全部読まねばならぬのか、困ったことになったぞ。。」と少々気が重くなった記憶もありますが、最初の1冊を手に取って読んでみるとこれがとても面白くて、すっかりはまってしまいました。
小学校に入学してからも、図書館に行って本を読んだり、学級文庫なるものから本を借りたりして、読書に励みました。夏目漱石の坊ちゃんや、国内外の偉人伝も面白かったですが、特に好きだったのが、歴史小説で、太閤記や、三国志なんかに心を躍らせていました。
そんなわけで、大学は文学部に行きたいなとずっと思っていたのですが。。周囲からは、文学部に行くと就職先がないとか、余り文学の世界にはまりすぎると変人になるとか、文学部に行って生活に困っている人がいる(本当か??)とか、さまざまなプレッシャーがかかって来ました。
結局、何だかよくわからないままに、大人の気合と周囲の空気に流されて、私は経済学部に進学しました。そして、経済学に余り興味が持てぬままサラリーマンとなり、日々感じる違和感や心の痛みと折り合いをつけながら、大人になりました。
どこかに忘れ物をして来てしまったようなこの想い。
わかりますでしょうか?
もう一度あの頃に戻れるなら、やり直せるなら、あの時自分の想いに素直に従って文学部に行っていたら。。
それは、強い後悔というよりは、何だか心の片隅にある忘れ物の記憶みたいにすっきりしない気持ち。そういうものを持ち続けてこれまで生きてきたわけです。
京都の町屋の二階の一間で下宿して、書生さんのような読書生活を送る。哲学の道を散歩しながら、人生について思索にふける。聡明で思慮深い同級生達と人生について本質的な議論を重ねる。
そんな素晴らしい大学生活に憧れて、結構最近まで、会社を早期退職して文学部に入りなおすのだと真面目に情報を調べたりしていました。
現実的には、知力も体力も衰えて、人生の残り時間が少なくなった今、ここから受験勉強して、大学に4年間通って。。というのも、なかなかハードモードなわけですが。。
忘れ物を取りに帰りたい願望ってありますよね。。笑