変な人を見るとほっとする

ふと前を見ると少し変わってる小さな小太りのおじさんがニコニコしながらニトリの大きな買い物袋を持って歩いていた。

見た目が赤ら顔で少し不潔感のある格好だから、すれ違う人が一瞬警戒した目で見ていた。

私は最初、「あ、変な人だ、、なんでこんな至近距離にいるんだ、、」と歩く方向がずっと一緒だったのでそう思った。

しかし5分ほど同じ方向に歩いていたら、なんだか心地良くなってる自分がいた。
自分でも「なんだろ、、この感覚」と不思議でたまらなかった。

なんかそのおじさんの後ろ姿を見ていると
「あぁ、そんなに順風満帆な人生じゃなくたっていいんだよな」と勝手に勇気をもらった。

最近の私は独身30代、彼氏ナシ、実家から遥か遠くの場所に住み、友達ゼロ。約5年かけて色々身辺整理をし、身軽になったつもりだったが心の中は闇深くなっていることに気付いた。
結局自分が良ければ良いと思いたいが、どうも最近それでもしんどくなってきていた。

まず自分の精神衛生を守るために、既婚者と話すと話が合わないので全てそのような友人は疎遠にした。元いた会社関係も話のネタにされるだけと思い、連絡はやめた。家族からも変わった目で見られていて、居心地悪いのでほとんど連絡はとらない。

これで私は幸せに暮らしていけると思っていた。

しかし実際私はどんな状態かというと
「消えたい…」

そう、幸せでもなんでもなく身軽でもなんでもなく
心に鉛のように重い何かがずっといるのである。
ここ数年、声も出づらい。

そして周りの順風満帆な生活をみて嫉妬して、勝手にしんどくなっていた。
もう一回死んだと思って、今は死後の世界で生きていると思おう。そう考えていた。

その時にふとそのおじさんの背中が
「そんな頑張らなくてもいいんだよ〜僕なんてこんなに色んな人に変な目で見られて、それでもニコニコして一人で洗濯かご買って帰るよ〜」

と言ってくれているような気がした。

あぁ、気を張りすぎていたなと力が抜けた。