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葬送のフリーレン第一話を味わう会


性懲りも無くアニメ「葬送のフリーレン」
シーズン1の第一話からまた
ヘビロテをキメている。

第一話を改めて見て涙が出てるので
感受性オバケだなぁと我ながら思いつつ
良さを噛みしめたいので
第一話について、
特に
「魔王討伐の旅が終わった後」の
勇者一行の人生観について
グッときたポイントを書き記しておく。

① ヒンメル

魔王を倒して王都に帰る道中
ヒンメルが荷馬車の上で
「帰ったら仕事探さないとなぁー」
と言っている。
初見で「んっ?」と思った。

勇者といえば、そりゃもう英雄なんだし
死ぬまでそこそこの地位で
贅沢な暮らしができるんじゃないの??
と私なら思ってしまうけど。
しかしよく考えたら
そういう選択って
「昔の功績をひけらかして
周囲に言うことをきかせる」
ことになってしまう。
「人々の感謝に甘んじて贅沢な暮らしが
できる」という状況になると
それはなんというか…


そういう選択ってヒンメルには合わなくて
しないんだろうな〜きっと。

50年後に再会したヒンメルは
身なりは整っているが家も格好も質素で
自分の名声にすがって生きてはいない。
なんかそれも…「ヒンメルの優しさ」
かもしれない。
あと、質素で老いてるけど
決してヨボヨボではなく
1週間のフリーレンの徒歩旅にも
じいちゃん着いてくる。
フリーレンとの約束を待って、
フリーレンのことだから
無茶な距離歩かせたりも想定して
そのためにもしかしたら体力も
可能な限り保っておいて…
もしくは気力を振り絞って
カッコつけて
約束を果たしてから亡くなった。
フリーレンとの約束が
ヒンメルの命を繋いでいた。
愛かよ。泣く。

②フリーレン

フリーレンがヒンメルの葬儀で
「勇者様の仲間なのに悲しい顔ひとつ
しないなんて、薄情だね」となじられる
シーンがある。
第一話を改めて見返して気づいたのが、
ヒンメルが地味に暮らしている時点で
民衆も充分に薄情なのだ。
死後にフリーレンがフェルンたちと
旅をしている頃など、
勇者の銅像は各地で汚れ放置されている。

老いてからのほうが人生長いと言って
この民衆の薄情さを見越していたように
ヒンメルは地味に、それでも
魔族封印を見守ったり民衆のために
目の前の優しさを貫いて人生を全うした。
見事な「勇者」だと思う。

あと、
葬儀で初めてヒンメルの死に涙を
流したフリーレンに対して、
いつものハイターに加えて
アイゼンも2人で頭を撫でているシーン。
…グッときます。泣く。

③ハイター

ハイターがフリーレンに
フェルンを託そうとする懸命さがあり、
フェルンに対する愛情の大きさが
とても感じられる。
弟子にしてほしいと言ったとき
「足手まといになるから」断られ
魔導書の解読で足止めを計画して
見事に弟子入りを成功させる訳だけど、

ハイターは「勝手がわからない」と言いつつ
フリーレンが驚くほど
魔力探知できないほどの魔力制御、
一人前の魔法使いになるための鍛錬、
と、しっかりとフェルンを育てている。
それこそがハイターの愛情の深さにみえる。
そうした思いがあって、
それが伝わっていたから
フェルンもその思いに応えて
必死になって鍛錬を積んだ。
1人で生きていく術を身につけて
もう大丈夫だと、救って良かったと
思ってもらえるように。
充分すぎるほどの愛情を
感じていたからこそ。

ここでふと思うんだが、
ハイターはもともと、
もう長くなかったんではないだろうか。
フリーレンが来た時にはもう。

しかし、フリーレンがフェルンを
連れて行かないと見るや、
数年の足留めでなんとかフェルンを
旅立たせようと踏ん張ったのでは。

いよいよ本当に命の危機を感じて
「フェルンの様子はどうですか?」
と聞いて、もう数年かかると言われたのが
しんどくて倒れてしまったのではないかな。

死ぬ姿を見せたくないハイター。
フリーレンがヒンメルの葬儀で
涙した姿や、フェルンの涙を
想像して自分1人で死ぬことを
選択する優しさ。
人を失うことの悲しさを知っている
フリーレンだからこそ、
最後の最後まで共に過ごし
一つでも多くの想い出をつくれと
説教するフリーレン。
それを聞いて後ろ姿で涙するフェルン。
「やはりあなたは、優しい子です」
と、ハイター。
泣く。

ヒンメルが名声にしがみつかず
民衆に忘れられることを当たり前だとして
その一生を終えたことで、
フリーレンはその後
自分の大切な仲間たちが忘れられゆくのを
1人で見続けることになるのだが、
その辛さが軽減されているように思う。

名声にしがみつかない割には
なぜか像を建てることには熱心だった
ヒンメルのおかげで、
フリーレンはその後の長い人生のなかで
何度も仲間の痕跡を発見し、
ひとりではないこと、
ちゃんと冒険はあったこと、
自分の大切な思い出をいつまでも確認できる。

愛だよ。泣く。

エルフの寿命は長い。
もしかして、エルフは人間に比べて
内面性の成熟もゆるやかなのだとしたら…
もしかしたら、
フリーレンはまだ10代くらいの
精神年齢なのかもしれないと思った。
旅をしていた頃の
フリーレンの精神年齢はまだ幼くて、
ヒンメルの葬儀で涙が出たのが
人間性の成長のきっかけだったとしたら、
フリーレンはもしかしたら
勇者一行の旅の頃は思春期みたいな時期で
尖って自分のことより他人配慮するなど
難しい年齢(実年齢との差)だったかもしれず
ハイターの死に直面したとき
明日には発ってくれと言われ
「できるだけあの子に思い出を作ってやれ」
とハイターに説教したときには、
確実に精神性が成長している。
年齢的には我々人間よりもずっとずっと
大人なのだけれど、
エルフはきっと、生き急いでないから
精神的な成熟も急ぐ必要などなく、
風まかせ時まかせな成長で
それが我々人間には想像もできない
エルフの人生観なのかもしれない。
そんなエルフがヒンメルの死で
泣くほどの精神的な変革があったことが
またグッとくるぜ。

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