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結婚相談所には案外普通の人がいる、と言うが

私は結婚相談所で2年間婚活し、100人に出会って結婚した。

結婚相談所は男女共に、非モテの巣窟というイメージだった。
そんなよくある質問に、「案外、普通の人が集まってるんですよ」とよく聞く回答。
"普通の人" という褒め言葉に、小馬鹿にされた違和感を感じないではないが、それはさておき。

"普通の人" とは、"あなたのテリトリーで出会うような、話も気も合う人" と解釈しよう。

どのくらい"普通の人"が集まっているかというと、"知り合いと再会するくらい"であった。
私が出会った100人のお見合い相手のうち、1人は知り合いである。
前職の取引先だった人からお見合いを申し込まれ、会うことになったのだ。

気軽に再会したところで

申し込みが来たときにすぐに分かった。
5年も前になろうか。いくつも掛け持った取引先の一社、3ヶ月に一週間の頻度で会釈をしていただけの関係。
浅い浅い知り合いは、お見合い相手として最適な距離感だった。

いつもの緊張と気疲れのお見合いから解放されて、向こうも嬉しかったかもしれない。
なんなら運命とでも思ったのだろうか。

ただの顔見知りなのに、旧知の再会のようだった。
お久しぶりです〜!と始まったお見合いは終始笑いが絶えず、会話が途切れ知らずだった。

そして話しすぎた。向こうが。

急に、重い話がしたいと言ってきた。
婚約者と別れた話だった。

それはいい、よくある話だ。

別れた経緯は、彼が振ったから。
なぜなら彼女の出生が受け入れられなかったから。
国籍とか、親が入っていた宗教とか、そんな類い、本人にはどうしようもないやつだ。それが結婚間近で発覚したらしい。

けれど、その程度かと驚くような瑣末な話だった。
まあ、それもいい。地雷も沸点も、人によるだろう。

そして、30歳目前の彼女と話し合ったらしい。彼女の出生を受け入れるべきか、難しいのか。
そしてやっぱり難しいと言って泣く泣く別れたらしい。

それは、アウトだ。
彼女を受け入れる覚悟ができない小さな器はさておき、どうしようもない事情を言い訳にされて、彼女は傷ついただろう。
婚約破棄も、その理由もトラウマだ。

結婚できない理由を知って

ではまた~、と別れて、もう一度だけ仮交際で会った。
仮交際1回目、再開して2回目のデートでは、仕事の悩みが延々と続いた。
10歳も上の彼の悩みは、後輩と話しているような内容だった。

後日談がある。

友人が2年前に一瞬婚活していたとき、その彼とお見合いしたことがあるらしい。
その頃も今も、変わらず10歳下に申し込んでいたのか。

ただ漫然とお見合いしていても、どんどん自分が老けていくだけ、成果は得られない。
なぜだめだったか振り返り反省し、相手を思いやり、覚悟を決めて一緒に幸せにならなければならない。

彼は職場では真面目で良き中間管理職だと思う。
婚活という場で、想定と違う一面を見たのだった。

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