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ひたすら先が見えない婚活の辛さ
今では夫と幸せに暮らしている。
私は結婚相談所で100人お見合いして、ようやく夫に出会えたが、当時は「本当にコイツで手を打つべきかしら」と真剣に悩んだものだ。
今では夫さえ居ればいいかな、と思っている。
婚活を乗り越えれば幸せになれる。
しかし、婚活中は結婚なんてフィクションだ。
何も兆しが見えない暗闇の中、お見合いと仮交際を行ったり来たり延々足踏みが続く。
生白い少し毛穴が目立つ皮膚に強そうな無精髭の剃り残し。中年体型。
休日は特にすることもなく、まあ読書したりとかですかね。
どうやって好きになれというのだ。
お断りしようと思います、仲人さんに連絡するとお決まりの返事。
「会っているうちに好きになれますよ。
頑張って会いましょう。」
僅かな期待を込める初対面より、"つまらない" が確定している仮交際の方が辛い。
会わない期間の連絡は最小限。
義務的にデートの調整には応じるが、面倒さからそっけない対応になってしまう。すると相手からの連絡も来なくなる。
さていよいよデート当日になると、どうしても布団から抜け出すことができない。
不登校の気持ちが痛いほど分かる。
時間ギリギリに家を抜け出し、なんだか気持ち悪さを抱えながら待ち合わせ場所に向かう。
盛り上がらないランチは一時間そこそこに終了する。逆に苦痛な一時間を頑張ったのだ。
どっと疲れて、帰路に着く。
流石にストレス過ぎる。
もう頑張れないです、お断りの連絡をする。
そしてまた新たなお見合いに向かう。
なんだかすごく、おじさんだな。
年齢ではなく、積もり積もった長年の手抜きを感じる。
適当に相槌を打って、笑顔でうんうんと受け入れる。今回は喋ってくれるタイプだから、無言仏頂面よりかなり楽だ。
決して好意ではなく、ストレスレベルの判定だ。
ああ、ようやくそろそろ時間だ。
帰りたいし、お手洗いに行きたくなってきた。
すると、「行ってきてください」と。
バイバイしてからでもいいけど、お会計済ませておいてくれるということかな。
戻って来ると、まだ彼が席に着いている。
「それで、子供の頃とか…」
お見合い時間切れから、お手洗いを挟み、さらに新たな話題を始める気か。
こっちは既に疲労困憊である。
「もう時間なので」
私の帰りたい雰囲気を全無視して話し続ける相手に気遣う余裕は残っていない。
仲人に「頑張って会いなさい」と言われるのは更にストレスが募る。
だから、口臭が無理でした、と尤もな理由を添えてお断りの連絡をする。
そしてまた、新卒から買い替えていないような真っ黒スーツとメガネがトレードマークのお見合い相手と、記憶に残らないようなお見合いに苦心するのである。
大丈夫。
婚活は苦痛だし、頑張っていることは分かっている。
何人ハズレを引いても、たった一人の結婚相手に辿り着けばいいのが婚活だ。