対話型鑑賞(その1)
対話型鑑賞ゼミに参加した。会社の任意研修として受けたのが、仕事だけでなく、日常に広く活かせる学びを得たので、是非紹介したい。
対話型鑑賞とは、ACOPが主催する『みる・考える・話す・聴く』を基本としたプログラムで、鑑賞者同士のコミュニケーションを通して美術作品を読み解いていくというものだ。
美術館に行くと、作品の隣には説明文が展示されている。どんな人が描いたのか?なぜ描いたのか?何を伝えたいのか?説明文を見ると、簡単に"答え"がわかった気になるだろう。
一方、対話型鑑賞では、作品をみることで、正解がない問いを立てて、自分の答えを探し、他者の視点を得て自分の視野を広げることを目的としている。
そもそも鑑賞の"鑑"とは"鏡"だ。
作品に対してどのような問いや感情・考えを抱いたか(鏡に映った自分)を意識し、なぜそのような問いや感情を抱いたのかを考えることで、『事実を解釈・判断するときの癖(価値観)』がみえてくる。
解釈は人によって異なる。
同じ事実(作品)をみたときにどう解釈するのか、話して共有することで、『自分と他者の解釈は違うのだ』という認識を実感を伴って得ることができる。
そのうえで、解釈・価値観が異なる人(自分以外の全員)とどうコミュニケーションを取ればよいのか、コツを探していくのだ。
作品に映った自分をみる
この人は誰なのか?誰がこの彫刻を作ったのか?という説明は一切行われない。
事前情報なしに作品をみて感じたこと・考えたことを伝える私と、ファシリテーターのQAは下記の通りだ。
A. ぱっとみたとき怖い人だなと思ったんですけど、なんでこんな顔しているのかな、険しい顔しているのかなって思ったときに、なんか嫌なことがあってこう、ムッと堪えているような顔なのかなって思いました。
Q. 具体的に言うと、どこがどうなっているからそう思いましたか。
A. 眉間にシワが寄っていたりとか、口をキュッて結んでいる感じとかからそう感じました。
Q. 最初は自分の感情が出たんだけども、相手の感情が気になり始めたという感じですね。
他者の解釈には下記のようなものがあった。
A. 私は最初みたとき、この人の表情がとかでなくて、多分、日本人じゃないなとか、首の部分が壊れているから最初は一体だったのかなっていう、彫刻作品としてみていました。
A. 私は最初どこをみているのかなと思ったときに、誰かを睨みつけている姿と、その先に誰がいるのかを考えていました。
自分の問答を見直したり、他者と比べてみると、私は属性よりも感情に着目しがちで、相手の自分に対する負の感情に敏感であることに気づいた。
それは事実か?解釈か?
このワークでは、ファシリテーション(コミュニケーション)の学びもあった。
・どこからそう思ったの?(解釈→事実)
・そこからどう思ったの?(事実→解釈)
・他にどう思ったの?(選択肢を広げる)
整理した方がよいこと、知りたい答えに応じて、上記質問を使いこなせるようになりたい。
※その2へ続く。
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