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さあ、少し離れて。


束縛されて、それが愛だなんて思ったりして。


私は結局依存して、恋に恋して、苦しむ自分に酔っていたんだと思った。

あなたを好きじゃなかったと認めることが、

自分の尊厳を守れる方法なんだとも思ってた。


でも違ったのよ、私は本当にあなたを愛してたの。

あなたの喜ぶ顔も幸せそうな顔も、物欲しげな癖も、

私が知らないことをたくさん知っているところも、

立ち振る舞いや抱きしめ方も、

誇らしげな姿を見せてくれるところも、

本当にちゃんと惚れちゃってたのよ、私。


でもあなたはそんな私を苦しめることがあなたの愛の形だった。

その形は束縛でも依存でもなく、支配だった。

人から何を言われても、そんな支配に耐える私に私は酔ってたわ。

それに、いくら人からやめておけと言われても

愛してるんだから仕方ないでしょ?

それがあなたの愛なら喜んで受け取ってたの、私。

あなたについていけるなら、何歩だろうが下がって

あなたの姿を誰より近くで見ていたかったの。


でもその愛の形が支配であると気づいてしまったとき、

私はあなたを追い越していて、もう私の前には誰もいなくて、

私は私の足で進むしか前にすすめなかった。

私が前に立った時、私があなたの手を引こうとも

何度声をかけようと、

何度前に進むきっかけを作ってもそこから一つも動かなかったでしょ。


だから私は、一度だけまたあなたの後ろに戻った。

またあなたの後ろにいることを選んだの。

でもまた私が追い越したとき、

またあなたはそこで立ち止まっていたんでしょ?

もう私、あなたに尊敬できなくなったの。


ふふ、若かったな。

私はもう戻らない。

あなたの後ろじゃなきゃ、歩けない女じゃないの。

「他の女と一緒にしないで」なんて言うつもりはないわ。

ただ、「昔の私と一緒にしないで」。

昔の私への愛し方で私が隣に居続けるだなんて思わないで。

もう私はあなたの支配を、安心だなんて思いこむ女じゃないの。


私を創るのは、私しかいないことにやっと気づけたの。

私は私の道を自分で創って、自分の足で歩いてみせるわ。

だけどね、私。やっぱり本当に、あなたが好きでたまらなかったのよ。

だからこそ、立ち止まって満足するあなたでなんかいてほしくないの。

最後前に進んだ姿を、もう一度見ることが出来ないとしても、

本当に素敵な人だから、もっと素敵になれるんだから、

だからそんな場所で諦めないでよ。

私が前にいたら、あなたは私を後ろにつかせることしか考えないでしょ?

だから私はあなたの前からいなくなるの。

とても辛くて悲しいけど。


『今夜の涙の種類、ねえなんだと思う?ねえわかるかしら?』

『わかるわけもないか。』


あなたはそこで立ち止まって、後ろの人ばかりを見て、

前に立った気になってそれで満足?進もうとする努力もしないのに?

こんなことを言うけど、あなたがそれで満足で、

あなたがそれで自分を好きでいられるなら、

私は何も言わないし、言う筋合いだって一つもない。

ただ少しでも君が、このままじゃだめだと思うのなら、

私はまた違った存在で、あなたの助けになれたらと思っているわ。


私達、もっと素敵になるなら別の道を歩きましょ。

私はあなたと同じ道にいなくとも、

また私よりずっと前でキラキラ輝くあなたを見れたなら、

私はきっと幸せで、でもすこしだけ寂しい涙を一粒流して未来で眠るの。




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今回紹介するのは、私が小さな頃から愛してやまない

モーニング娘。'17が歌う『邪魔しないで Here  We Go!』です。


文中や見出し、この記事のタイトルにもなっている文章がこの曲のなかにある歌詞です。

この文中にあるものたちもそうですが、私が特に好きな歌詞は

「翼を広げるには そう、場所も取るし。 そう、助走もいる。さあ、少し離れて。」

という歌詞です。

恋人からの束縛や支配から目を背け、盲目になっていた彼女が、自分の夢に向かうために彼に向けて放った言葉なのでしょう。

束縛であれ、支配であれ、そこに愛しい気持ちがあるのならそれは一つの愛の形です。

しかし恋人という2人でしか作り出せない世界の中で、その愛のパズルの形が一致しないのならば一生それは完成することがありません。

この曲はそんな愛の形に苦しみ、それでもその愛を受け止め続けた女性が強く踏み出すような一曲です。

上の文章はそんな彼女はこんな風に思ってこの言葉を述べたのではという想像を私の体験を少しだけ混ぜて書いたものです。


何かの決断には、何かの犠牲がつきものです。

学校にも入学のためには卒業が当たり前にあるように、何か次のステップに踏み出すためには今までの自分を捨てる必要があります。


でも後悔なんて、後からすれば良いし、後悔したらしたでまた戻れば良いのです。

戻ることにも進むことにも同じくらい勇気が必要です。

一番やってはいけないことは、不満がありながらも進むことを恐れ、その場に立ち尽くすことであると私は思います。


大丈夫、進もうとしているあなたは一番素敵です。

進むために、犠牲があるのは当たり前です。

進むことに恐れをなすのだって当たり前なことなのです。


この曲はそんな人の力になってくれる歌で、私も力をもらった一曲です。

ぜひ一度聞いてみてください。

きっといつか、あなたの力になってくれるはずです。

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