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【歌詞感想文】浮かぶ情景

ART-SCHOOLの曲は、冬の晴れた朝の情景がよく似合う。

君の息はただ真っ白だ それは何て悲しい色だ
君の息はただ真っ白だ それは何て綺麗な色だ

ステートオブグレースの冒頭で木下理樹はこう歌う。

冬の黄色のやわらかい日差し、
無理に触れたらパリ、と音がしそうなくらい張り詰めた、
乾いて冷たい空気。
そういうものの中で、愛しい人が息をしていることが美しい。

悲しいと綺麗が並列される感覚は、わたしにもある。
あるというと語弊があるかもしれない。
木下理樹の歌詞に触れるうちに身についたのかもしれないから。
そういえば過去に無意識にそんな歌詞を書いた気がする。

真夏に枯れたあの花のこと 話して

しっかりと真夏という単語まで出しているのに
この旋律と曲、そして木下理樹の声に乗るその花や情景は
まったく湿り気を帯びてないし、暑くもない。
わたしがここに見出だせるのは、じりじりと花を焼く太陽の光だ。
それだけだ。

ART-SCHOOLの曲、木下理樹の歌詞。
乾燥した、冷たい空気の中でコートを羽織ってストールを巻くような
あたたかさがある。
寒いからこそ、人の体温が白い息となって可視化されるような。

どちらかというと冬は苦手だ。
ART-SCHOOLに出会わなかったら冬が嫌いだったと思う。

今朝は靴下を履いても爪先が冷たかった。
だんだん季節が冬へと傾いていく。
今年の冬も愛せるだろうか。
そう考えるとどこかわくわくするような気分になるのは
きっとART-SCHOOLのおかげなのである。

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新恒 杏子
倍にして返すくらいの文章を書くよ!!!!!