あれはもはや、運命の出会い
初めて買ったCDは?
と言われていつも真っ先に思い出すのは
「ツバサ・クロニクル オリジナルサウンドトラック Future Soundscape Ⅱ」
NHKで2005年〜2006年に放送していたアニメ『ツバサ・クロニクル』のサウンドトラックCDです。
既に廃盤になってますね。悲しい。
noteのお題?でこんなマニアックなものを出すのもどうかなと思ったけれど、少々昔話にお付き合いいただければ。
『魔法少女まどか⭐︎マギカ』や『ソードアートオンライン』『Fateシリーズ』『鬼滅の刃』などの数々の有名タイトルの劇伴を手がけ、アニメ業界では今や押しも押されぬ有名作曲家となった梶浦由記さんが手掛けた劇伴集。
当時小学生だった私はこのアニメの後ろに流れている歌にとても感動して、その後に進学した中学校がオタクだらけで、この世にはアニメのCDがあるらしいと知りどうしてもこの歌を聴きたい!と思った。
けれど当時通販サイトでの視聴なんてものはなく、検索技術も拙かった私はその曲の曲名がわからない。とりあえずエンディングに載ってる曲がきっとその曲だと見たけど、どう見てもエンディング曲しか載ってない。
そう、梶浦さんの曲は歌声が乗っていてもあくまで劇伴だからなのか、殆どの場合クレジットに載っていなかったのだ……!
これは困ったと思った私は、どうやらサウンドトラックCDは出ているということを知って、その情報だけを手掛かりに家から自転車で20分ほどのCD屋さんに行った。
きっと店員さんならなんとかしてくれると信じて。
まあ、どうにもならなかったんですが。
当時は(少なくとも今ほどは)アニメというものが市民権を得られていなくて、郊外のちょっとした商業施設の中にあるCDショップのアニソンなんて、ドラえもんとかそういう「国民的アニメ」がせいぜい。いくら天下のNHKアニメでも取り扱いはなく、店員さんにそもそも「アニメのサウンドトラックCD」というものが伝わらなかった。
どうにかこうにか説明して、どうやらそれらしきCDを見つけてもらっても、取り扱っていないので取り寄せになると言われてしまう。
もちろん試聴で確認なんてできない。
価格は2400円+税
当時中学1年生だった私にはかなりの出費。というか、頑張ってお手伝いを沢山した月のお小遣い丸々分くらいの金額だ。(我が家は当時年齢×100円の基本給+お手伝い料の歩合制だった)
これで間違えてたら、どうしよう。
でも誕生日は過ぎたばかりでクリスマスには大分遠い。
その間にもしかして売り切れてしまうのでは?
そんなことをたっぷり悩んだ後、初めてCD屋さんで書類を書いて取り寄せをお願いしてお店をでた。
少ししょんぼりした気持ちと、初めて自分でこういう買い物をした(まだ払ってないけど)ドキドキは今でもよく覚えている。
もちろんいくらねだっても親は出してくれなかったので、その後なけなしの貯金を叩いて引き取りに行った。
まあお目当ての曲は入ってなかったんですが!!
そう、悲しいかなお目当ての曲は入ってなかった。
けれどこのCDとの出会いは後々に響いてくる。
当時歌手は見ても作曲家までは意識していなかった私は、お目当ての曲は入ってなかったけどどれも素敵な曲だなー楽器だけの曲もお洒落だなーと思いながらロクにブックレットも見ずに聴いていた。
特に作中でキャラクターが歌っていた「風の街へ」は何度も何度も再生してた。
それから一年と少し経ったある日、私はとあるグループと出会う。
Kalafinaだ
テスト勉強をしながら流していたアニソン系のラジオ番組が取り上げた曲は「oblivious」
それまでアップテンポなアニソンばかり流れていたスピーカーから流れてきた、突き抜けるようなハイトーンと何処の国のものとも言えない不思議なメロディに一瞬で心を奪われた私は、いくらか上達した検索技術で彼女たちのことを調べる。
『空の境界』という映画のためのプロジェクトであること。そしてプロデューサーは梶浦由記。
私はこの名前に見覚えがあった。どこかで見た。
そう、あのCDに書いてあった名前だーー
こうして私は、とある天才と一年越しに出会った。
ちなみにお目当ての曲はFuture Soundscape Ⅰ に入ってました。ちょっと惜しかったね。