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Google ショッピング広告、無料で掲載できるって知ってた?無料枠で掲載してみたら思わぬ結果が…!(弱小出版社が挑む!テクノロジー×出版でどんなことができるか真剣に考えてみる連載第2回)
Googleショッピングタブに無料出稿してみた!
皆さんこんにちは!小さな出版社「アプレミディ」のマーケティングを担当している井谷です。この連載は、出版×テクノロジー/マーケティングをテーマに、出版社や編集者の方に役立つツールやTIPSを、アプレミディが身体を張って試してみる!という企画です。
今回は、皆さんもGoogleで検索した際に一度は見た事のあるはずの「Googleショッピングタブ」への掲載について。ショッピングタブは広告枠でもあるのですが、実は無料でも出稿できるのです。
そもそもGoogleショッピングタブって?
その昔は、とてもシンプルだったGoogleの検索画面。検索窓にキーワードを打ち込めば、広告枠やオーガニック検索結果が文字情報で羅列されるような簡潔&シンプルなUI(ユーザーインターフェース)でした。
昨今、この検索結果画面が大きく様変わりしてきています。ユーザーの検索意図に対して最適な形で情報を提供するために、様々な形式で情報を提供するように進化し続けています。
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検索バー下のタブもどんどん増加しており、今回テーマとしている「ショッピングタブ」はこの検索バー下の「ショッピング」と書かれたタブを押下した際に表示される結果のことを指しています。
皆さんも普段何かを検索した際に、下図のような画面を見かけたことがあるのではないでしょうか?
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従来、「ショッピング」タブ内の全範囲が有料広告枠として使用されていましたが、2020年10月より日本を含む世界中で無料枠が開放されることになりました(他にも画像検索、Googleレンズなども無料化されましたが、今回は割愛します )。
無料枠と有料枠の違い
基本的には上部に有料広告枠(下図赤枠)が来て、その下が無料広告枠(下図緑枠)が表示されます。下図では「中華料理 本」と曖昧に検索してみたところ、様々な出版社の書籍が表示されます。
価格の下に記載されているのが、出稿元の企業です。
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表示される仕組み・掲載する意味
本機能を利用するためには、下準備として「Googleマーチャントセンター」(以下、GMC)に登録する必要があります。GMC[5] [6] は、平たく言えばGoogleが保有する、商品のデータベースです。このデータベースに自社の商品データや、どこで購入するのかなどの情報を登録することで、ショッピングタブに商品データが表示されるようになり、ユーザーは商品データをクリックすることで購入先に遷移することができます。
GMCへの登録は無料ですが、商品の購入手続き先(選択肢は実店舗やWebサイト、Googleで購入)を登録する必要があるため、あらかじめ実在する商品を販売する場所がないと利用することができない点に注意です。
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掲載することの最大のメリットは、商品の露出機会の拡大が無料でできる点でしょう。
例えば自社でECサイトを運営していた場合、ECサイトで書籍を購入してもらおうと思ったら、まずそのサイトにユーザーを連れてくる必要があります。ユーザーをサイトに連れてくるには「こういう商品があって、ここで売ってるよ」というの情報を露出させる必要があります。
ショッピングタブに掲載することで、”購入検討者に対してアプローチする機会”を一つ増やせるワケです。
逆にショッピングタブに掲載していない場合、指名検索(商品名の決め打ち検索等)などであれば自社の商品が高確率で表示されるので問題ないのですが、上図のように「中華料理 本」といった曖昧なキーワードで検索された際に表示されづらく、機会損失に繋がります。
また他社が出稿していた場合は、せっかくのユーザー露出機会を他社に奪われることにも繋がります。
せっかく無料でできるので、機会を逃さぬように登録しておきたいところです。
登録方法
まずはGMCへの登録を済ませます。こちらから「登録する」のボタンを押下し、会社名やビジネス登記されている場所など、お店やサービスの情報入力を行います(後で編集可能です)。
次に、商品の購入手続きをどこで行うかを登録します(実店舗なのか?自社のWebサイトなのか?)。
その後Shopify等のようなECプラットフォームや、PayPal等のオンライン決済サービスとの連携の選択、Webサイトの登録などを行います。
すべてガイダンスに従って進めることができるので、さほどつまずくことはないと思います。
詳しくはヘルプに詳述されているので、一読してみてください。
GMCへの登録を済ませたら、商品フィード(商品に関する様々なデータ)を作成し、GMC上へアップロード・連携する作業が必要です。
必要な属性はタイトルや商品リンク、画像リンク、価格、商品説明など。詳しくはこちらで確認してみてください。
また、ShopifyやSTORES等のECプラットフォームを自社ECサイトとして利用している場合、連携させることで商品情報の入力を省くことができる場合もあります。
アプレミディの場合はSTORESにストアを持っているので、STORESの「Googleで集客」機能を使って連携させました。
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無料でできる範囲
無料の場合、商品を登録したからといって必ず掲載されるわけではない(=露出量を出品者が調整できない)点に注意が必要です。また、掲載期間についても出品者の方ではコントロールできません。もっと露出させたい!という場合は、やはり有料の広告を出稿する必要があります。
ただ、無料だから全く掲載されないというわけではないですし、商品データをフィードになるべく細かく登録することで表示されやすくなると考えられます(細かければ細かいほどGoogleがそれだけ商品情報を理解しやすくなるため)。
省略可となっている属性も多く、またECプラットフォーム経由だと自動的に登録される情報とされない情報があるのでつい抜けてしまいがちですが、省略可の情報であってもできるだけ登録することが重要です。
また、Googleが情報を見つけやすくする意味では、ISBN番号は必ず登録しておいたほうが良さそうです。
パフォーマンスは管理画面で確認
GMCの管理画面左側の「概要」メニューでは無料リスティングの有効度(承認された商品数)、パフォーマンス(クリック数)の概要などが一覧で見られます。
また「パフォーマンス」メニューでは、表示回数やクリック数、クリック率、クリックされた商品などが分かります。
アプレミディで試しに2か月ほど運用してみた結果…
表示回数順では『拝み屋奇譚 災い百物語』と怪談Tシャツ、『魂の声をあげる 現代史としてのラップフランセ』が圧倒的に表示されていました(4位以下の10倍くらい)。
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じゃあクリック率(クリック数÷表示回数)だとどうなんだろ?と思い見てみると…まさかの、書籍を抜いて『タイぐるり怪談紀行』発売時に作成したオリジナルTシャツがサイズ違い・色違いで1・2位に、そして3位にはアプレミディオリジナルトートがランクイン。
なぜ表示は本が多く、クリック率はTシャツが高いのか?
理由としては、以下が考えられます。
・オークションプレッシャーの違い
「Tシャツ」と「書籍」であれば、おそらく「Tシャツ」のほうが商品数が多く、広告出稿者も多いはず(サイズ違い、色違い等もあるため)。そのため無料リスティングはほぼ表示されないと思います。
そんな中で「それでも表示された人」は「ショッピングタブで何スクロールもガチ検索した人」もしくは「色、柄などを非常に詳細に指定して検索した人」になるので、「これだ!」と思ったらクリックしやすくなりますよね。
なので、インプレッションは少ないが、クリックはされる=クリック率が高くなるという感じです。
また、書籍の検索の場合専用の検索結果画面になることが多く、例えば「タイ ホラー本」みたいなキーワードで自社の書籍名が引きあたりやすければ無料であっても表示されやすい(=ただし全員が買いたい人ではないのでクリック率は低い)ということなのかなと考えました。
また、会社の登録情報が「出版社」となっているので、そことの関連性をGoogleが読み取った結果、書籍関連で表示されやすくなっていることもあるのかもしれません。
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▼これです▼
意外なものが売れるきっかけになるかも
書籍は、商売の柱であり作家の先生方のお力もあり自然に任せていてもある程度は売れるのですが、関連グッズは、アパレルショップでもあるまいし、どのように周知しようか…と悩んでいた部分でもあったので、こういった形で知ってもらうきっかけを作れたのは非常に嬉しい驚きでした。
ぜひ皆さんも、愛情込めて作った自社の商品たちを世に知ってもらう一手段として、Googleマーチャントセンターの活用を検討されてみてはいかがでしょうか(なにせ無料ですし!)。
アプレミディのSNSもぜひフォローよろしくお願いいたします!
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