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If I'm sinking in, laughing at something sunken in, I am.

このところ、anticon.のWhyの『Good Friday』という曲をひたすらにリピートして聴いていた。

カリフォルニアの山の中にいると「発見」または「再発見」する曲がある。
この曲は前のPCを使っていたときに聴いていた曲で、当時は歌詞など気にかけることなく聴いていたが「再発見」後に聴けば聴くほど、何を歌っているのか知りたくなり歌詞を調べてみるに至った。
その耳に残るコーラスラインは
「If I'm sinking in, laughing at something sunken in, I am.」
という歌詞だった。
海外在住経験がそこそこあるにもかかわらず英語が達者ではないので、一見してどういう意味なのか、パッと頭に入ってこない。
翻訳にかけてみたり、シャドーイングしているうちにその意味が浸透してくるようになった。
「落ち込んでいるとき、落ち込んでいるなにかをあざ笑ってる自分がいる」
という具合だろうか。
sinkは台所のシンクと同じ綴りだが、動詞だと「沈む、沈没する」などの意味となる。

働いている職場は家族経営で、ボスの奥さんのキャリーンも職場にいることが多い。
ある日、お昼休憩中にキャリーン含め、3人くらいで会話なく静かにしていると、出し抜けにキャリーンがポツリと言った。
それは正確には聞き取れなかったが、そのセンテンスの中に「sunken」と入っており意訳すると
「しけこんでるわね」
と言ったように思われた。そのとき、
「この『sunken』って言葉、グッド・フライデーのやつじゃん!」と心の中で即座に反応していた。
それからというもの、妙に「sunken」という言葉が自分の裡に、頭の中に残るようになった。
逆になぜ今までこの言葉を知らなかったのだろうか……とも思った。

人は精神的な危機に立たされたとき、心の援軍となるような作品に触れることで、なんとか再起可能な心持ちへ近付けようとする。
自分の場合は音楽に慰められていたときがあった。
かつてそのような状況に追い込まれたときにヘビープレイする曲がいくつかあったが、もしそのときにこの曲に出会っていたら――歌詞の内容まで追いかけることがあればということだが――この曲もその仲間入りしていただろうなと思うようになった。

「If I'm sinking in, laughing at something sunken in, I am.」
「落ち込んでいるとき、落ち込んでいるなにかをあざ笑ってる自分がいる」

サビ以外の歌詞も意訳すると
「白人の中で育った男の子は、黒人とプエルトリカンのポルノだけを見る。
なぜなら、かれらはパパの持っていないものを欲しがるから
そのとき、自分の立場を知るのさ」

「性病を得るために一発やる。なんて地獄だ」
「血が滲んで、膨張するまでPurell(※ハンドクリーナーのブランド名)を使う」
というような絶妙にローでダークな詩的な歌詞が続いている。

今となってはこの曲のように落ち込むようなことはなく、むしろ精神的に安定した生活が続いている。

そんな中でもこの曲を聴き続け
落ち込んでいるとき、落ち込んでいるなにかをあざ笑ってる自分
という感覚があったなぁと、そのときをそこはかとなく思い出し
この歌詞を創造するだけの人生を送ってきた歌い手のYoni Wolfに
勝手にシンパシーを抱くのであった。


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