たとえば檸檬(2012年) 1 applynx 2020年9月26日 02:32 たとえば檸檬は境界性パーソナリティ障害の母親とその娘のゆがんが親子関係や、それを取り巻く人間関係を描いた物語。監督は片嶋一貴。タイトルのセンスがとても良いですね! 40歳のカオリは大手企業の役員秘書だが、担当している役員に愛人として囲われる一方、若い男との愛のないセックスを楽しむ日々を送っている。万引きの常習犯として警察に捕まるなど、プライベートでの素行にかなりの問題を抱えており、自宅には20歳になる引き篭もりの娘が一緒に暮らしている。雑踏の中で幻覚や幻聴を感じ、自分が精神を病んでいるかもしれないと精神科を受診し、グループセラピーにも通い始める。見た目は娼婦みたいだけど、有森也実は中年でも美しい!! カオリはその日もまた万引きで捕まった。警官に問い詰められて「このインポ野郎!!」と吐き捨てるシーンの破壊力たるや笑。店長に話をつけて守ってあげた河内という別の刑事役の伊原剛さんも言われますからねw 有森也実のぶっ壊れたキャラ見られます。取ってつけたような感じじゃなく様になってるし、ホントにビッチに見える。「前にも会ったような?」ふと口にしたカオリに対し、刑事は「前世かな?」と笑う。 20歳の香織は彫金のアクセサリーをデザインする学校に通う学生。演じるのは韓英恵ちゃん。透明感があって目力のある演技がとても魅力的な女優さんです。 香織が初めて作った指輪は、檸檬を重ねたモチーフ。ステキなデザインだなと思った。こんなの売ってたら買っちゃうなー! 香織は滞納している学費17万をすぐに払わないと除籍になってしまうことを知る。割の良い仕事を紹介してもらえると友達について行った先は、チーマー達がたむろするクラブ。そこでマリファナを吸わされたり、男に襲われそうになったりするがかろうじて逃げ帰る。ここで剛くん登場w 石山は元ホストでチーマーのリーダー格の男。眼帯萌えだわ〜、このビジュアルはズルいわ〜。石山は傍らにいる医者の娘ミナ(佐藤寛子)のヒモである。 奔放な香織の母親(室井滋)は男を取っ替え引っ替え連れて飲み歩いている。彼女もまた万引きの常習犯であり、香織はたびたび母親のことで頭を悩まされている。 母親の異常なまでの娘への執着に顔を歪める香織。クラブから帰った日にマリファナや男の匂いを嗅ぎつけた母は娘を撫でまわし、徹底的に調べ上げる。猫撫で声で香織を愛撫するかと思えば、「アンタのためにどれだけ苦労してきたか分かってんのか?私の時間を返せ!!」と香織に殴る蹴るの暴行を加えるのだ。室井滋の演技が凄すぎて、このシーンにドン引きしましたw 学費を稼ぐためにバイトを始める。入って半月で給料の前借りができないかオーナーに願い出てみるが、結局貸してもらえず…。そりゃそうだよw 真面目に働いていた香織のバイト先に、母親が男を連れて来店して問題を起こし、店を辞めるハメになってしまった。 クラブの常連で香織を襲ったリーダーの男が殺された。復讐したのではないかと疑われ、再びクラブに連れられて来た香織。ふと石山の手元を見ると、落としたと思っていた自分の檸檬のリングを嵌めていることに気づく。 そこで香織は新たなリーダーとなった石山からビジネスの話をされる。リーダーが死んで生まれ変わったチームの新しいリングを作ってくれないかとの依頼だった。しかし石山って…このキャラ強烈だなw 依頼されたものは破壊を司るインドの女神カーリーをモチーフにしたリング。とりあえず試作品を作れと言われるが、期限は3日。難しそうだなw 3日でできんのかよww 香織は試作品を見事に3日で仕上げて納品したが、ミナに作品を侮辱されて怒ってクラブを出た。石山から檸檬のリングを取り返したものの、悔しさや嫉妬から衝動的に道端に投げ棄ててしまう。石山のこと好きになっちゃったんだねw 後日石山はお詫びにお前の好きなところに連れて行ってやると言って香織を誘い出す。どう見てもガクト様の剛くんwww 香織が困ったときにちょいちょい現れる警官の青年(白石隼也)。香織が檸檬のリングを投げ棄てた瞬間にも出くわしたようで、実は彼が拾って預かっている。香織に想いを寄せている感じはあるが…。何か深い業がありそう。 石山も香織に興味を持ち始め、先日のドライブからのクラブデート(香織ご所望)以降、2人の距離感は一気に縮まる。母の過干渉に嫌気が差し、もう家を出たいと叫ぶ香織に石山は自分の店を持たせてやる。しかしミナや母親に店を嗅ぎつけられ、自分のデザインジュエリーの店をオープンさせる夢はいとも簡単に打ち砕かれる。 チームのクリスマスパーティーでダブバージョンのきよしこの夜を歌う剛w さすが元バンドのフロントマンだけあるな。ステージパフォーマンスのバリエーションが豊富。 でも石山、なんかキャラ違くない?ww この日ホテルでゴージャスに夜を共に過ごす香織と石山だが、香織は石山の子を妊娠したことに気づいたのだった。 石山との幸せな時間も束の間。香織の母親が万引きで捕まり、警察から電話が来てしまう。この人のおかげでいつまでたっても幸せになれない香織。妊娠を知ってか、興味が無くなってか、石山も香織の元を去って行った。 引き篭もりの娘が家から出て行き、探し回った挙句事故に遭ったカオリだが、実は娘は20年前に生まれてすぐ亡くなっていた事実を河内から知らされる。この辺りから物語は一気に収束へ。20歳の香織と40歳のカオリは同一人物である。母親は20年前に首を吊って死んでいた。香織が身篭ったあたりからなんとなく緊張感が増して、全てが一気に繋がった。鮮やかな伏線回収で最後ストンと腑におちた。香織に付き纏っていた若い警官と、カオリに手を差し伸べる河内も同一人物。やっぱり出会っていたのだね。 過去の罪を償い自殺した河内。絶望したカオリは母が首を吊った教会で、自らも同じ道を辿ろうとしていた。しかし母が残した檸檬の壁画に母との思い出を見、思いとどまった。全てを知ったカオリは、それでもなお生きることを自ら選んだ。悲しくて儚くて、強くて美しいシーンでした。 最後にここは笑うとこ?いや違うな…というオチが。介護ビジネスで不正を働いて捕まったこの中年オジサン(古田新太)は20年後の石山w えーー、うっそーんww で、オバサンになった狂ったミナに刺されるという。でもそれは当然の報い。香織の店を荒らした(真犯人は香織の母親)と激怒し、ミナをお腹の子供ともどもボコボコにして流産させ、精神病院送りにしたのだから。愛より尊敬だとしきりに言っていた石山が、介護ビジネスで愛を唱えている。軽薄なのか、はたまた真に愛を求めるのか。石山の胡散臭さと寂しい人間性が哀しいシーンです。 いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #綾野剛 #ジュエリーデザイナー #古田新太 #有森也実 #韓英恵 #たとえば檸檬 1