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不恰好な愛

昨日は素敵な事があったんだ。

ピンポーンってチャイムが鳴って扉を開けると小学生の生徒さんが立ってて「バレンタイン持ってきました!」ってニコニコしてるの。一瞬で心がホワ〜ってなったよ。春のお花畑に居るみたいな気持ちで開けたら花のような可愛らしいクッキー。心が温まりまくりで本当に嬉しかった。

でここからが去年の私とは違うんだけど、「ぜひ何かお返しをしたい」と思ったんだ。毎年、バレンタインという行事には不参加だった。ダンナにもあげてないし友チョコとかも特に無し。でも今年は家族にロールケーキを作ろう!と思っていて、そのロールケーキを半分その子のお家にお裾分けしよう!と閃いたんだ。

小麦粉を使わない、ココアパウダーのロールケーキ。お裾分けするんだから綺麗に作りたいって張り切ったんだけど、予想よりはるかに難しくって、生地はモロモロだし巻きながら割れちゃうし、散々な見た目に仕上がった。これを持っていくのは恥ずかしい…そもそもお返しは今日でなくてもいいし…と頭をよぎったけど、ピンポーンって持って行ったよ!

お返しを手渡すと、その子はモジモジ「ありがとう」って言ってはにかんでるし、お母さんにもお礼を言われて、あー、持っていって良かったと再度心が温まったんだ。

去年までの私は、やるならば自分の美意識に叶うよう全力を尽くし、失敗したものを人前に晒すなどということはしなかった。相手からクオリティの低いものをもらったとしてもとても嬉しいのに、自分があげる時には細心の注意を払った。もしくは無難に買ったもの、相手が特に何の印象も抱かないようなものを選んだ。あげる時には、相手が迷惑に思わないか、お返しの心配をさせないか、あれこれ考えた。考えた挙句、やはりあげないということもしばしばだった。

自己満足をとてもみっともないって思ってたんだ。何かをしてあげることで自分が良い気分になるだけ。そんなこと、みっともない。でも、頭の中で考えたことは相手には何も伝わらないんだ。こんなにあなたの事考えたのよって思ってもさ。だから、私の愛を、はいどうぞ!って目の前に出した方が良いんだ。「困ったな〜、こいつ自己満足だな」って思われたら「あ〜残念」。「嬉しい!」って思ってくれたら「やったー!」。それで良い。

これからはそうやって沢山、不恰好な愛を手渡していきたいって思う。

#エッセイ #バレンタイン

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