【著者デビューの方法(1)】 話題の著者養成ゼミ講義録(KADOKAWA主催)を公開。ほとんどが大手出版社からデビューを果たしました。
著者をデビューさせる「作家のエージェント」
はじめまして。
私は「アップルシード・エージェンシー」という作家のエージェント会社を経営している鬼塚忠です。私を含め10名の働く会社で、およそ200人の作家のエージェントをし、年間70冊程度の書籍に携わっています。今年、24期目に入りました。
作家のエージェントというと、聞きなれない言葉かもしれませんが、テレビの世界でいうと、テレビ局が出版社。芸能プロダクションが私たちのようなエージェントでしょうか。
原稿の元となる「KADOKAWA著者養成ゼミの内容」
今回、このnoteには、プロ・アマを問わず、著書を目指す方向けに、私が今までの講義で語ったことを書いていきます。その講義とは、KADOKAWA主催の「著者養成ゼミ」、宣伝会議主催の「編集ライター養成講座」、Yahoo! JAPANクリエイターズプログラム!著者向け講座、リブロ主催「著者養成ゼミ」、日比谷図書館主催の「著者養成講座」、自社主催「著者養成ゼミ」などのことです。特に、この講義録の中心となるのは、KADOKAWA主催の「著者養成ゼミ」(現在第4期まで終了)です。
では、この「KADOKAWA著者養成ゼミ」とは何なのか?
これは、出版業界で最大手の講談社に次ぐ売上規模を誇るKADOKAWAが、新たな才能を持つ著者を発掘するために開設した講座です。
私は、作家のエージェントとして、これまで数多くの新人著者をデビューさせ、ベストセラーに導いたいくつかの実績から、その講師に選ばれました。第1期から全ての期で講師を務め、すでに4期を終了しました。もうすぐ5期が始まります。
その価値は、受講生の約8割が、主催するKADOKAWAだけでなく、講談社、光文社、朝日新聞出版、東洋経済新報社、日本能率協会、青春出版社などの認知度の高い出版社からの出版を実現していて、「奇跡のゼミ」とも言われています。書籍を出版したいと考えている方にとっては、読む価値のあるものです。
講座の流れとしては、まず「プレ講座」を開催します。数十名の「本を書きたい」方々が集まり、書籍出版に必要な要素についてお話します。受講希望者には、「自分は何者か」「何を書きたいか」を書いてもらいます。そこで全員が受講できるわけではありません。書かれたものを参考にし、出版が可能と判断できる方のみ参加をお願いし、最終的に、6名程度に絞られます。著者養成ゼミのなかで一般論と個別指導を行い、各企画を具体化して出版可能なレベルまで引き上げ、さらに私の人脈を使って出版社の編集者に私たちが提案します。
他の講座のように、単にお金を払えば誰でも参加できるシステムではありません。出版できる可能性の低い企画にお金と時間の犠牲を払うのは申し訳ないし、お互い、時間の浪費と思うからです。また、質に自信を持てない企画を、私が出版社に提案することはできないという理由もあります。受講料が安くない以上、参加した以上は、出来るだけ多くの方に出版まで結実させたいと考えています。
本講座では、4ヶ月の期間で6回の講義を行います。毎回、企画のプレゼンテーションをしてもらい、それに対するフィードバックを行い、企画書を修正してもらいます。3往復くらいしたら、企画書はある程度まで仕上がります。また、講義では同時に、企画の立て方、企画書の書き方、読者にどう自分を見せるか、目次の作り方、サンプル原稿の書き方、出版社への売り込み方、出版後の書籍の売り方までを語ります。長く出版できそうな方には、弊社とのエージェント契約(有料)を提案します。
では、これらの講座からどのような成果が生まれたのか気になると思います。 以下に一部を紹介します。
実際にゼミから生まれた書籍の一部
KADOKAWA主催「著者養成ゼミ」から出版された書籍(敬称略):
山岡彰彦『コカ・コーラを日本一売った男の学びの営業日誌』(講談社)
小柳はじめ『鬼時短』(東洋経済新報社)
山田千穂『ずるい聞き方 距離を一気に縮める109のコツ』(朝日新聞出版)
大石みちこ『奇跡のプリマ・ドンナ オペラ歌手・三浦環の「声」を求めて』(KADOKAWA)
その他、続々と出版決定
宣伝会議「編集ライター養成講座」から出版された書籍:
奥野宣之『情報は1冊のノートにまとめなさい』(ダイヤモンド社)
華井由利奈『女子のための「手に職」図鑑』(光文社)など
リブロ主催の「著者養成講座」から出版された書籍:
北沢秋『哄う合戦屋』(双葉社)
伊藤春香『はあちゅうの 20代で「なりたい自分」になる77の方法』(PHP研究所)など
自社主催「著者養成講座」から出版された書籍:
西岡壱誠『東大読書』(東洋経済新報社)
神崎メリ『魔法のメス力』(KADOKAWA)など
多くの著作が、認知度の高い出版社から出版されており、その多くがベストセラーになるか著者の認知度を高めています。
大手出版社から著作を出すことが重要
この講座の特徴の一つに、できるだけ認知度の高い出版社から本を出すということが挙げられます。ある調査では、読者は購入するとき出版社名を気にしないとの結果が出ましたが、書店員は気にしています。認知度の高い出版社の書店営業は定期的に書店に行って次に会社で売ろうとしている本などいろいろな情報を与え、関係が近くなっていきます。となると、書店員も人間ですから、そういった出版社の書籍をいい場所に並べます。書籍は書店の置く場所に大きな影響を受けます。
一方、認知度の低い出版社は、文字通り、人はその出版社名を知らないのです。つまり、あまり宣伝をしない、もしくは認知度を上げられていないのです。なので、本が出たことがなかなか世に伝わりません。そんなこともあって、やはり認知度の高い出版社の方がはるかにベストセラーになりやすいのです。そのため、私は受講生とともに作り上げた企画書を、できるだけ認知度の高い出版社に売り込むようにしています。売れない本は、断裁されて燃やされてしまいます。できるだけそういうことは避けたい。
また、こうも言えます。進学校や学習塾が卒業生の進路について公表し、結果を競っています。出来るだけ偏差値の高い大学に進学をさせ、人生の選択を広げるためです。私たちもできるだけ認知度の高い出版社で出版してほしいのです。その方が次の出版につながるし、著者の認知度も上がりますし、本業も好転しやすいです。
無名でも出版できます。企画次第です。
ここで、「私のような無名のものにベストセラーなんて無理だ」と思う方もいるかもしれませんが、私はそうは思いません。良い企画さえあれば、売れる本は作れます。Amazonのベストセラーランキングを見てください。半分以上は著名とは言い難い方々です。およそ30年、出版業界でベストセラーを狙って作り続けてきた経験から言えることです。無名でも、フォロワーが少なくても、道はあります。やり方があるのです。
こんなことがありました。元バレリーナの方から出版の相談を受けました。バレエの世界では誰も彼女のことを知りません。一般では、なおさら知りません。しかし、話していくうちに、彼女のことを書籍にすればベストセラーになれると思うようになりました。それは、「14の頃、当時のバレエの先生から、無理な食事制限をせず、苦労せず、太らない体を作る生活習慣を幼少の頃から身につけさせられました」というのです。さらに「今は50を超えているのに、体型は18の頃のままです」というのです。薬など一切使わず、お金もかからず、大した苦労もなしに痩せる習慣を身につける。これは誰もが喉から手が出るほど欲しがるノウハウです。しかし、彼女は「私は無名だから、出版するのは無理だし、売れなかったら恥ずかしい」と出版を丁重に断ってきました。諦めましたが、今でも、本を出せなかったことを悔やんでいます。
さて、ここまで読んで「君は誰なんだ?」と思った方もいるでしょう。次回は、私自身のことについてお話しします。
KADOKAWA主催著者養成ゼミ第5期の案内
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