サザンオールスターズと花火
10月27日、茅ヶ崎サザン芸術花火があった。花火とサザンオールスターズの音楽の組み合わせなんて最高じゃんと、抽選に応募して4枚チケットをとった。
母、妹、彼を誘った。
茅ヶ崎駅につくなり人混みで、まずチケットを小学校でリストバンドに交換する行列に並び、交換できたあと、サザンビーチ海岸エリアへ移動するまでに30分くらい町を歩き、その間食べ物などを購入した。
サザン通りを順序よく行列になって歩く。同じ目的地の人と同じ場所へ向かう。なんだか不思議な光景だった。
茅ヶ崎や周辺の地元民もいるだろうし、私みたいにサザンのファンできている人もいるだろう。秋晴れの気持ち良い日で、ここぞとばかり店先ではテイクアウトできるつまみも出ていた。
会場であるサザンビーチにつくと、もう夕暮れ時で日は傾き、空と海全体がオレンジ色に輝いていた。
風の強い日で、波が高波になって打ち寄せている。
会場には今か今かと待ち望んでいる人の集まりで熱気に溢れていた。MCのお笑い芸人の笑い声や、ドローンが飛ばされてそれに向かって大勢の人が笑顔で手を振った。妹は最近ドローンを購入し、ドローン飛ばしたいとずっと言っていた。
サザンオールスターズは今年デビュー40周年。
毎年行われている伝統ある芸術花火に、今年初のワンアーティストのみの音楽で構成され、それがサザンオールスターズだった。
本人たちの出演はないが、ファンにとってサザンのゆかりの地である茅ヶ崎で花火を観ながらあの音楽を聴けるというのは本当に贅沢な体験だと思う。
9月は父の命日で、今年の9月は三回忌だった。父が大好きだったサザンオールスターズを、わたしも好きになったのは5歳のとき。カラオケで父によくサザン歌ってとせがんだ。すると、ノリよく踊り出した父が身振り手振りマネをして声マネも上手で母とわたしは腹を抱えて笑った。それなのに、父が生きている間家族で一度も一緒にサザンのコンサートいこうとならなかった。もしかしたらチケットを取りたくてもとれなかったのかもしれないし、仕事が忙しくて行けなかったのかもしれない。けれど、週末は毎週のように家族でどこかに出掛け、車の中はサザンの音楽が日常に溶け込むように寄り添っていた。
そんなことを思い出しながら、陽も落ちて、会場の灯りがふと暗くなり、肌寒さの中でわたしたちは星が輝いているのを見ていた。
すると今年人気のあの音楽の始まりとともに、花火が打ち上がり歓声があがった。
「壮年JUMP」だ。
色んな歌ありがとうステージで君が踊る虹色のスポットライト
まさに歌詞のままのはじまりだった。色とりどりの花火がこの瞬間を、私たちの思いを打ち上げるかのようにシュワッシュワと浮かんで弾けた。幼い頃から今まで支え続けてくれている名曲がたくさん流れた。
特にサザンを好きになったはじまりの曲、「真夏の果実」や落ち込んだときなんども聴きたい「希望の轍」、好きな人に歌ってほしい「いとしのエリー」盛り上がる「みんなの歌」、大好きなハラボーの曲など、どの曲も切なく強くわたしの芯を貫いて、心も体もとき離れた場所にいた。
信じているものがやっぱり間違ってないのだとそんな勇気をいつもくれるサザンの曲。なんだか父が母の隣で穏やかに笑っているように見えて、花火に照らされた母の横顔は涙ぐんでいた。
妹も彼も花火は鑑賞しつつ、ちゃっかり写真を撮ることにこだわっていて、似てるなと面白かった。
ひっそりと心で父に話しかけるわたしと、母は似ていたかもしれない。
花火のあと、「連れてきてくれてありがとう」と抱きしめてきた母は、きっと色んな想いがあっただろう。
平成を一緒に超えられなくても、父は私たちの心に確実に生きている。この先もずっとそれは変わらないだろう。
ずっと大好きなサザンオールスターズ。壮年でも変わらず、心に音楽が息づいている。
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