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【今読みたい】数字から紐解く2023年台湾市場の可能性

こんにちは、台湾でウェブマーケティングの会社 applemint の代表を務めます佐藤 (@slamdunk772) です。みなさんは「台湾市場」に関してどれくらい調査をしていますか?

「台湾市場」と検索をかけると、「人口 2300万人!」「男女比大体半々!」「出生率が低い!」「EC 市場規模が毎年10% 拡大!」などデモグラフィーや

台湾の人口統計はもちろん大事ですが、今日のこのブログではもう一歩踏み込んで、「台湾」という国がどういう国なのか財務諸表(財政収支)を通してお話したいと思います。

wikipedia やにニュースサイトでは見れない「台湾」をご紹介しましょう。

※2018年12月30日更新
※2022年3月18日更新
※2023年4月27日更新

台湾を会社として見たとき、「台湾」という会社は儲かっているか?

会社は事業をして売上を出し、事業にかかるコストや人件費を引いて儲けを出します。では台湾はどうでしょうか?

「台湾」という会社の売上は歳入でコストは歳出と言われます。歳入が歳出より多ければ財政収支はプラスになり、歳出が歳入より多ければマイナスとなります。

以下が台湾の財政収支です。

参考:台湾の財政収支の推移

2020年からのV字回復

台湾の財政収支はマイナスが続いていますが、2020年に一度落ちた後、そこから2年で脅威のV字回復をしています。

コロナウイルスで少し影響を受けたものの、すぐに立ち直った事が原因と思われます。

ちなみに日本の財政収支ってどんな状況かご存知ですか?以下は日本の財政収支です。

1990年以降の財政収支はひどいものです…失われた感が半端ないですね。2013年以降回復の兆しを見せていたのですが、コロナウイルスで経済を止めて現在は大幅に歳出が歳入を上回っている状態です。

“台湾” という会社の全体像を把握

次に台湾の政府は具体的にどんな売上を上げていて、どんなコストがかかっているのか調べたいと思います。以下は2021年から2023年までの歳入と歳出の内訳です。

参考:https://www.nta.gov.tw/singlehtml/75369f98a7234721942c303207bc5cb1?cntId=825ea570e78949a0a9f8d435b584d255

この表の上にある「収入合計」が歳入で、下の「支出合計」が歳出にあたります。

理論上は歳入と歳出は同じ数字になります。これは貸借対照表でいうと、資産と資本みたいな関係です。

注目すべきなのは、(A)の歳入部分がどうなっているかだと思います。(A)は主に税金からの台湾政府の収入を指します。(B) は国債です。

よく見てみると、2023年は税金の歳入が伸びる予測となっています。しかしながら営業税や事業税からの歳入は減る予測となっているので、対企業以外からの税金が増える可能性があります。

次に、歳出についてですが、歳出は台湾が何に予算を使おうとするか把握するのに便利です。

台湾の歳出をみると、歳出の大部分を占めるのが国防費と教育と社会福利です。

国防費は過去3年間歳出の約15%を占め、教育や文化に対しての支出も過去3年間で安定して17~19%ほどあります。最後に社会福利の歳出は大体24-25%あります。

また、2023年の歳出 (予測) は2022年に比べて結構な上がり方をしているので、歳出の大幅なUPが予想されます。

福祉の支出・高齢化社会の現実

支出の中で約25%を占める社会福利の支出について追加でお話しします。この支出は主に国民に対する医療費などです。

この支出が今後下がる事はないでしょう。台湾の出生率は2021年に世界ワースト1を記録し、その後も全く改善していません。

参考:去年出生率、結婚率 台灣皆創歷史新低

日本も少子化問題で揺れてますが、私から見ると日本の方がよっぽど少子化問題に取り組んでいます。

また、台湾は 2025年には60歳以上が人口に占める割合は25%と言われています。台湾も日本と同様に高齢化社会に突入するという事です。つまり社会福利の支出は今後さらに上がると思われます。

それなのに台湾の医療費は以上なほど安いです。実は台湾の健保(国民健康保険)は結構破綻寸前だったりします。

詳しくは applemint lab のブログで書きましたので興味がある方はそちらをご覧ください。

【台湾の医療制度崩壊は近い!?】進まない台湾の国民健康保険の改革

国民健康保険を値上げすると与党が不利になって選挙に負けるので、誰も手をつけられないパンドラの箱となりました。

ではどうするか?実は台湾政府も色々考えていて、どうやって国民健康保険の値段を上げずにいい医療/福祉を提供するかのヒントは applemint lab の記事に書いています😎

防衛費はやっぱり大事!嫌でも中国は常に意識

次にいつまで経っても減らないのが防衛費の支出です。台湾が今後中国と融和という方向性に傾かない限り、この固定費は今後も下がることはないと考えていいと思います。

防衛費は毎年常に全体の約15% はあります。台湾の現与党は台湾中立派(独立もしないし、統一もされたくない)であり、中国もよく圧力をかけているため、直近この額が下がるとは思えません。

ちなみにこの表にはありませんが尖閣問題が起きた時の防衛費は全体支出の 18-20% ありました。

台湾ってどんなところですか?結論

台湾という国の収入の見通し

台湾の歳入がすごい伸びる気配は現時点でありません。しかし現在は景気が比較的に好調なので、この好調が続くようであれば、どこかで消費税を導入するのもありかと思います。

台湾という国の支出の見通し

台湾の歳出は今後も増えると思います。現に2022年から2023年にかけて歳出がものすごく上がりそうです。中でも防衛費が増加傾向。福祉の予算も増加傾向です。

台湾の公債は結局民間の銀行が購入者なため、ギリシャみたいにデフォルト寸前になるような事はありませんが、少し不安です。

また、現在はウクライナ情勢などの影響で物価もガンガン上昇してます。それなのに給与はそこまでアップしていません。

景気がいいから消費税を導入してもいいかもとは言いましたが、恐らく導入すれば即抗議にあって政権を奪われるので消費税の導入は難しいでしょう。

僕は個人的に交通規制を厳しくして罰則からの収入を密かに期待しています!(特にタクシー会社とバイク!笑)

見つからない結論….

いかがでしたか?
台湾はいいところです。僕ももう9年ほど住んでいます。しかしながら台湾という国が今後劇的に改善する絵は描けません。

願わくは外資の誘致と起業家の育成、スタートアップの海外進出が促進され交通の規制が強化されて税金の収入が増えることを祈っています。

以上 applemint 代表佐藤から台湾の財政収支からみた台湾でした!

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