【2023年版】台湾ビジネス事情:国民性や商習慣、台湾進出のメリット解説
こんにちは、台湾で applemint というデジタルマーケティングの会社の代表を務める佐藤 (@slamdunk772)です。
台湾進出をお考えの企業のみなさん!台湾のビジネス事情や商習慣はどのくらいご存知ですか?
「台湾は進出しやすく、中国などさらに大きなマーケット進出への足がかりになる」と打算している方も多いのでしょうか?
私は、2017年に台湾で applemint を創設し、これまで様々な日系企業の台湾進出をお手伝いしてきました。その時にいつも決まって聞かれるのは、「台湾と日本のビジネスの違いはなんですか?」です。
折角なので今回このブログで僕が見てきた「台湾のビジネス習慣」について、他のブログには書かれていないようなことを書きたいと思います。
ちなみにこの動画の内容とは少し異なりますが、台湾でビジネスをするときに注意したいことは以下の動画で語っていますので、お手隙の際にぜひ!
台湾ビジネス基本の”き”:勤務時間や言語、そして服装
台湾の勤務時間は日本と少し異なります。日本は9-5時の7時間労働が一般的ですが、台湾では 9-6時の8時間労働が一般的です。
ちなみに applemint では2022年の旧正月明けから10時-6時の時短勤務を実施しています。その結果や効果は、有料コンテンツサイト applemint lab で公開していますので、興味がある方はご覧ください!
次に台湾には中国語と台湾語があります。台湾北部では主に中国語が使われ、南部や田舎に行くと台湾語がよく使われています。台湾語は中国語とは全く異なるのでご注意ください。
服装は、台湾の社会人は日本人よりもカジュアルな印象です。気温が高い期間が長いということもあり、基本的にはズボンにTシャツやポロシャツなどが多いです。
ただし銀行員やフォーマルな仕事をされる方は日本同様にスーツやシャツを着ています。
台湾で働くってどんな感じ?国民性や商習慣
次に台湾と日本で働く時の文化の違いについてお話をしたいと思います。台湾に在住して8-9年の僕が思う、日本人が台湾で働き始めてびっくりする事は以下かなと思います:
通勤形態は自由
割とストレートな発言が多い
言わないと時間にルーズ
離職率が高い
お昼の昼寝は割と当たり前
有給取得率が高い
コネは割と重要
まず、通勤はバスでも MRT でも、バイクでも車でも可能です。会社側は雇用者に通勤形態を制限する事はできません。これは僕が台湾で起業して初めてショックを受けた出来事です。
次に、台湾の方は結構遠慮なく色々と物を申すので、いちいち腹を立てない事が重要です。例えば台湾の方は結構隙あらば遅刻をします(苦笑)。
経験上、就業規則や雇用契約書できちんと「遅刻はダメ」と明記すると割と効果があります。書いてなければ自分の口で伝えます。
こういう時に総経理が中国語或いは英語で従業員とコミュニケーションできないとナメられます😓 実際、従業員に物を申せない総経理が従業員の遅刻で困っている話を聞いたことがあります。
また、台湾では離職率の高さに注意を払う必要があります。ある調査によると台湾では新卒の75%が2年以内に会社を辞めます。新卒でない人も20代の社員は大体2年ぐらいで辞めます。本当に何の前触れもなく辞めるのでご注意ください。
コネは割と重要
台湾に限った話ではありませんが、コネについて少しお話をさせてください。台湾ではコネで不可能と思っていたことが可能になることは度々あります。
僕の知り合いは台湾に退去されそうになった時、知り合いの議員の助けで国外退去を免れました。
店舗ビジネスを営む知り合いはデベロッパーや横のつながりのおかげで家賃を抑えることに成功しています。
現地の会社に依頼するメリットはこうした横のつながりです。こういう現地のツテを考慮せず、台湾のプロモーションを日本のプロモーション会社に委託すると、台湾のサービスを定価で対応することになります。台湾の定価は3-4割増しです😅
日本の会社に委託するのは問題ないと思いますが、台湾に進出するなら台湾でプロモーションをお手伝いしてくれる会社を探すのがいいと僕は思っています。
台湾の税金(2020年以降)
台湾の法人税率は毎年更新されており、2020年以降は20%となっております。その他に営業税の5%があります。
法人税は20%ですが、高齢化が進む台湾では医療・福祉への支出が年々増加していて、現行の保険システムだと2030年までに破綻すると言われています。
歳出をカバーするために、営業税(法人税)を今後数%上げる可能性は結構あるかなーと思っています。
台湾進出のメリット・デメリット
最後に台湾進出のメリット及びデメリットをお話ししてこのブログを締めたいと思います。
メリットその1. 物流
台湾は日本と同じぐらいインフラが整っています。冷蔵便もあれば冷凍便もあります。 PCHOME に出店をすれば次の日には商品が届いたりします。商品が途中でなくなるということもありません。
「商品が購入者のもとにきちんと届く」って日本では当たり前すぎるかもしれませんが、海外では日本で当たり前の事が当たり前でない事はたくさんあります。
例えば先日弊社が主催した「莫汰耐」 (もったいない) という規格外の野菜を販売するイベントでは、当日倉庫で規格外の野菜をピックアップする予定でしたが、ついてみると倉庫が開いてない事態が起きました(30分遅れて倉庫が開きました)
海外ではこのように物事が思い通りに行かないことは多々ありますが、台湾はまだマシな方です。
その2. ECの成長
台湾のE-コマース市場は成長しています。以下は Google の公式ブログが参照していたeMarketer社が行った台湾のECに関するデータです。ご覧のように台湾のECの販売は右肩上がりです
この数字は今後も上がると思われます。台湾に進出したばかりの企業は販路の開拓がまだ進んでいないため、まずはネットで売る事を考えると思います。台湾の EC 成長と安定した物流網は確実にプラスに働くでしょう。
その3. 円安
現在日本円は台湾ドルに対して歴史的な円安です。円安は日本国内で、国外から輸入する場合はとても不利に働きますが、逆に輸出する場合は追い風となります。
見る人によっては今後数年は円安が続くと言われているため、台湾に本格的に進出したい企業にとってはある意味絶好のチャンスです。
デメリットその1. 台湾は中国進出への足がかりにはならない?
次にデメリットをお話しします。台湾でビジネスを展開することのメリットとして、よく「台湾は中国進出の足がかり」になるということが挙げられていますが、実はそうとも限りません。
なぜかというと、台湾と中国は全然違うからです。
台湾と中国では決済手段やSNS、ECモールの在り方が全く異なります。つまり台湾で成功したからといってその成功体験を中国では活用できないということです。
その一方でタイと台湾のユーザーのSNS 使用は非常に似ています。applemint では現在タイの企業様のお手伝いをしており、台湾のノウハウを使っています。
これがうまく行った時はまたみなさんにYouTube やブログで共有をしたいと思います。
デメリットその2. スケーラビリティ
台湾の人口はおよそ2300万人ほどで、2025年には人口の20%が65歳以上になる高齢化社会へ突入します。台湾の出生率は日本より低く、今後は人口の減少が見込まれています。
つまり台湾市場に対して過度に期待してはいけないという事です。
台湾進出は比較的にリスクが低い一方である程度の売上まで行くと後は頭打ちになるので、注意が必要です。
デメリットその3. 効果が見える広告の種類は少ない
台湾は広告を出稿できるメディアの数が少ないという意見があります。これは厳密には “効果が見える” 広告枠が少ないというのが正しいと思います。
台湾には Facebook 広告と Google 広告以外に、記事広告やバス広告、地下鉄の広告、テレビ広告があります。しかし、短期的な広告効果を急ぐ広告主はどうしてもコンバージョンが “見える” 媒体に予算を寄せます。
その結果、Facebook に多額の広告予算を割く広告主が多いのですが、Facebook でコンバージョンを取りに行こうとすると、いくらターゲティングを変えても同じユーザーに重複してリーチしてまう事態がよく起きます。
これは “コンバージョン” を目的にする限り、 Facebook が自動的にコンバージョンしやすい層に広告を露出するためです。
サッカーグッズを販売する会社が “コンバージョン” を狙って Facebook 広告をするとどうしても “男性でサッカー好き” のユーザーにアプローチするのと同じです。
特に注意したい点
以上台湾のビジネスや商習慣についてでした!色々お話ししましたが、僕が今後台湾に進出して事業をされるみなさんに最後にお伝えしたいのが、台湾人はみなさんが想像するより早く辞める事です。
そのため人材を確保する仕組みは進出する時から頭に入れておくといいと思います!
以上 applemint 代表佐藤からでした!
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