【台湾事業撤退希望者必見!】台湾からのEXIT
こんにちは!
室内のエクササイズは全然集中できず、すぐにやめてしまう台湾 applemint 代表の佐藤です!
台湾はコロナウイルスの感染者が少ないとはいえ、事業への影響は出ています。
つい最近だと日系の人材派遣会社と観光関連の会社さんの台湾撤退話を聞きました。
飲食も一軒撤退の話を聞きました。
恐らく台湾での事業を止めるか継続するか悩んでいる方は結構いるかと思います。
そんな時、具体的にどのようにして台湾から撤退すればいいのでしょうか?
ある人から事業撤退は結構お金がかかるなんて聞きましたが具体的にいくらかかるのでしょうか?
このブログでは台湾での事業撤退のプロセスや費用等を明確にしたいと思います。
会社をたたんで台湾から撤退するまで、結構なプロセスがあるため少し長文になりますが、台湾で事業撤退を考えている人は是非ご覧ください!
事業撤退の種類
台湾で事業撤退と言っても一時的に撤退するのか、完全に撤退するのか、或いは強制的に撤退させられるかで対応が変わります。
まずは簡単に撤退の種類について話したいと思います。
停業
営業を一時的に停止する場合は『停業』となります。
停業は営業を1ヶ月以上停止する会社が、停止する 15日前に申請を行います。
停業は最大で364日可能です。
僕が参考した資料には「営業停止は1年を超えてはならない」と明記されてました。
なので 365日目営業を停止した場合、それが1年とカウントされるか否かわからなかったため『364日』が安全なラインと思われます。
また、営業停止中に税金の支払いを怠ったたら罰則があるそうです。
(営業停止中になぜ税金が発生がするかはわかりませんが….)
停業までのステップは以下サイトに詳しく書かれてありますのでご覧ください:停業登記
解散
解散は所謂会社をたたむことです。
登記情報が無くなります。
有限会社の場合、全てのステークホルダーの同意が必要になります。
株式会社の場合、株主が2/3以上出席し、過半数が解散することに同意した場合解散となります。
解散が決まったら会社法 24条の規定に則り、清算を行います。
また、政府機関に対して解散の申請を行います。
撤銷
会社の登記情報に何らかの違法性が発覚した場合、政府機関によって登記が取り消されます。
登記する際に書類を偽装したり、資本金に偽りがあったりするとこの処分を受けるようです。
これはあまり事業撤退を希望している人にはあまり関係ないでしょう。
命令解散
登記後半年以内に営業をしない者、或いは登記をしたのに6ヶ月以内に営業停止を申請した者には政府機関により『解散』を命じられます。
解散を命じられた会社は一度登記をした名前を使うことができません。
これも多くの人にはあまり関係ないでしょう。
廢止
政府によって命令解散の指示があったにも関わらず、処理すべき手続きを怠った場合、登記情報が廃止されます。
この中では一番重いステータスと言えるでしょう。
ここまでのまとめ
つまり台湾事業を撤退したい人は
1) 事業を一時的に停止する
2) 事業をたたむ
という2つのオプションがあります。
一時的に営業を停止する場合は、1年以内に再開をしなければいけません。
また、 停業のプロセスや難易度はそこまで難しくなさそうです。
ここからは『解散』について書いていきたいと思います。
参考:台北記帳士事務所 – 公司登記.行號登記.申請公司.開公司
事業撤退の方法
それでは、ここから事業撤退の方法について書いていきます。
台湾における事業撤退は主にやることが二つあります。
1. 登記の抹消 (解散)
2. 清算 or 破産
順に話していきます。
登記の抹消 (解散) は主に以下のプロセスを辿ります。
1. 解散
冒頭でも少し話しましたが、株主と話し合って解散することを決めます。
ちなみに解散は通常以下どれか一つでも当てはまれば解散できます。
1. 会社が労働法に違反した場合
2. 会社のビジネスが成り立たない場合
3. 株主が解散を求めた場合
4. 株主の数が法律で規定されている人数を下回った場合
5. 会社を管轄している機関から解散を命じられた場合
6. 裁判所から解散を命じられた場合
2. 註銷營業登記 (登記の取り消し)
会社を解散するための書類申請を管轄機関に提出します。
ここでいう管轄機関とは例えば台北市に会社があったら台北市の市役所と思われます。
その後管轄機関が解散日を受理して、その解散日から15日以内に税金の支払い申請を行います。
3. 稅務申報 (税金に関する処理)
次に、税金の処理をします。
税金の処理とは主に以下の4点を指します。
1. 解散日から10日以内に源泉徴収票を記入して提出
2. 解散日から15日以内に営業税申請
3. 未配当の利益の余剰金を申告。清算が会計年度が終わる前に済まなかった場合も期間内に前年度の余剰金を申告
一般的にここまでで大体15日ぐらいかかるようです。
4. 向法院聲報清算人就任 (清算を行う人の決定)
解散の手続きが済んだら、次は会社の清算のプロセスに入ります。
清算は以下のステップを踏みます:
1. 会社の登記住所を管轄する地方院に清算人 (保証人) 就任の報告を行う
2. 清算の際に必要な費用を払う (1000元)
また、清算時に必要な書類は以下です:
a. 『聲報狀』:清算人を明記した書類
b. 会社解散を管轄機関から承認してもらった文書
c. 会社設立時の登記書類
d. 株主のリスト
e. 株主が清算人を決めた際の議事録
f. 清算人の同意書 (清算人の氏名、住所、就任期間を明記)
g. 清算人による財務諸表/資産
h. 株式会社の場合財務諸表がきちんと監査の審査を終えた証明書
i. 財務諸表が株主から同意を得た証明書
j. 新聞に清算人を表示する (本当かどうか怪しいですが参考資料に書いてました)
5. 清算の支払い
ここからは少し省略します。
上記全て終わったら、申請していた営業税やその他の支払いを行います。
債務が資産を超過していた場合は破産申請を行います。
破産と清算の違いを書くとものすごく長くなるので省略します。
6.地方院へ清算が完了したことを報告
清算人は就任後6ヶ月以内に清算をしないといけないようです。
ただし 6ヶ月を超える場合は延期も可能です。
基本的には#4でリストアップした書類を提出して終わります。
解散にかかる期間と費用
どうですか?
ここまで読んでお腹いっぱいですよね?
僕も書いていて嫌になりました 苦笑
最後に一番重要な会社解散 (事業撤退) にかかる期間と費用についてお話をします。
解散にかかる期間
まず期間ですが、うちの会計士によると最低4ヶ月で、通常は半年ぐらいかかるようです。
長いところで1年以上かかる場合もあるようです。
なぜこんなにかかるかと言うと、解散自体は大体1ヶ月ぐらいで終わるようなのですが、その後の清算にとにかく時間がかかるようです。
特に日系の会社は半年はほぼ確実に半年はかかるだろうとの見解でした。
理由は以下です:
1. 外資であるため
2. 日系の会社は台湾で儲けたお金を日本に持って帰りたい場合が多いため
3. 董事長 & 董事がコロコロ変わっているため
外資の会社は解散の手続きを行う場合、投審會 (外国からの投資を確認/審査する機関) に対しても解散の申請を行います。
投審會は外資が起業する時にも色々書類を申請する機関です。
なぜ投審會が介入するか?
例えば、もしもあなたが政府の人間で、ある日本人が台湾に来て台湾で儲けるだけ儲けて、そのお金をそのまま日本に持って帰ろうとしたらどう思いますか?
いやいや、何も言わずに持ち逃げするんじゃねーよって話になります。
なので、投審會がしっかり審査をして清算します。
つまり外資だと他の会社が解散する場合よりも1ステップ多くなります。
また、董事長や董事 (代表) がコロコロ変わる外資だと、清算人 (保証人) がなかなか決まらないなんてことがよく起こるそうです。
例えばあなたが駐在員で会社の代表だったとして、前の代の代表が色々な金融機関からお金を借りていたとします。
仮に返済義務があれば建て替えるのは清算人です。
過去の董事長が実は何かやらかしていたらその尻拭いは清算人です。
どうです?
最悪じゃないですか?
僕は絶対になりたくないです 苦笑
仮に誰もが清算人になることを拒んだ場合、弁護士に依頼するという方法があります。
弁護士に依頼した場合はかなりの費用がかかるようです....
解散にかかる費用
最後に費用ですが、結論を言うと会計士による概算は難しいそうです。
会計士の方曰く、全ての会社は形態や状況が違うため解散は状況に合わせてカスタマイズする必要があるそうです。
ただし、設立して3〜5年くらいで、何の問題もなく解散の取り扱いが比較的楽な会社で大体8万元というお話でした。
なので聞いた限り、会社設立よりも解散の方が費用がかかる感じです 苦笑
また、日系の会社だと外資ということもあるのでとても8万元では収まらないと思います。
清算人の指定を行えば更に弁護士の費用がかかります。
ちなみに去年倒産した遠東航空は何と清算に400万元かかったそうです....
まとめ
最後に、台湾で事業を撤退したい場合のポイントをまとめます。
1. 解散 (撤退) 自体はそこまで複雑じゃないしそんなに時間はかからない
2. 解散後の清算が超面倒
3. 清算が終わるのに最低半年はかかる
4. 事業撤退の方が会社設立よりも費用と時間がかかる
5. 清算人がポイント
事業撤退はかなりの専門知識が必要になると思われます。
そのため、必ず会計士の助けが必要になるでしょう。
Google で検索をすると複数のコンサル会社が事業撤退のお手伝いをしているようですが、どこかのコンサルタントがお手伝いをできるレベルではないと思います。
タダでさえ費用がかかるのにコンサルタントという仲介を入れると更に費用がかかります。
一番費用を抑えられるのは会計事務所さんと直接連絡をすることだと思います。
では Good Luck!
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