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21歳のヨーロッパひとり旅11_(1989年の夏 45日間)

●サンマルコ広場で散策
(1989.7.22)
 イタリア人は本当に陽気だ。老若男女どこでもよく口笛を吹いたり、鼻歌を歌ったりしている。
 ベニスの水は十分飲めるので、1 L のペットボトルに入れて持ち歩いている。

 ここでは結構日本人を見かける。
 朝早く起きて、コーヒーとサンドイッチを買い、橋の上で朝ご飯。橋の下をくぐっているゴンドラ乗りのおじさんと目が合うと、ニコッとして「チャオ!」と言ってくれるので、こちらも挨拶を返す。

 黄色い標識を頼りに迷路のような小道をくねくねとたどり、サンマルコ広場に着いた。
 街全体が良い雰囲気。広場までの道に軒を連ねている店のショーウィンドウには、色々なものが所狭しと飾ってある。名物のベネチアングラスの繊細な美しさ。

 サンマルコ広場に着くと、早くも大勢の観光客でにぎわっていた。ハトたちは踏みつけてしまいそうになるくらい人間ずれしていて、こちらが気を使って通してやる。

 アッカデミア美術館では豪華絢爛な絵の数々。水上バスで15分ほどのムラノ島へ行き、ガラス工場でガラス細工の実演を見学。出来上がったものを見るのも楽しいが、作られていく過程を見るのもまた楽しい。職人達の技術に拍手。

 島内を散策した後、再びサンマルコ広場に戻り、階段に腰掛けて人の通りを眺めていた。
 時計塔の鐘が夕方5時を打つ。広場内ではオーケストラが演奏している。ゴンドラもムードよし。平和な風景だ。
 その後、高さ100 M の鐘楼に上り、ベニスの町全体を見下ろす。絶景。しばらくぼーっと佇む。

 ここでは道に迷う、迷う。あまり考えずに進んでいくと、すぐ行き止まりになる。ああ、またかと思い引き返す。
 少しぐらい疲れた方が夕食もおいしいさと自分を慰めながら歩いていたが、その夕食が見事にあてはずれ。パンはパサパサだったし頼んだラビオリは驚くほど早く来た上にハンパな味。しかもビールが衝撃のまずさ。レストランチョイス失敗。
 場所は良かったのだが、よかったのは場所だけ。これで18000リラ(約1800円)も取られたのだから世話はない。
 ともあれベニスは十分歩いた。今夜は早く寝よう。
(続く)

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