21歳のヨーロッパひとり旅16_(1989年の夏 45日間)
●極私的ローマの休日
(1989.7.27)
ユースホステルをチェックアウトした後、香港人のダン、ケンフ、スペイン人のルイス、 ファンの5人で駅に荷物を預け、カタコンベに行く。
スペイン人の二人は同じ大学で、ルイスは医学、ファンは化学を勉強しているという。彼らの英語力は私とだいたい同じレベルだったので親近感を覚える。
香港人の二人も同じ美術学校の同級生で、ケンフはファッションデザイナー、ダンはインテリアデザイナーを目指しているそうだ。ケンフは「コンニチハ」や「ナンデスカ!」、それに中国人独特の驚きの表現「アイヤー!」を連発する、めちゃめちゃ面白い人だった。いかにも中国系という顔をしていた。
それに対しダンは日本人のような雰囲気で、日本語で話しかけられることもよくあるそうだ。日本に興味があり色々聞いてきた。絵心がある人で、旅の小さなスケッチブックを見せてもらったところ、感動する上手さだった。
話は戻るが、カタコンベでは英語を話すガイドが案内してくれたため大変よくわかった、と書いてみたい。
中はひんやりとしていて薄暗く異様な感じ。迷路のようなので、やはりあれはガイドが必要だろう。
その後また駅に戻り、待合室で列車の時間になるまでみんなでおしゃべりをする。
しばらくしてケンフたちの友人マンが来た。彼らは彼女とローマでは別行動をしていて、ここテルミニ駅で再び合流してギリシャに一緒に行くことにしていたようだ。マンも同じ学校だそうだ。
みんなと話が弾んだ。1997年に香港が中国に返還されるのをどう思う?と聞いたら、嬉しいことじゃないなとちょっと顔をしかめた。そして、香港に来るなら1997年になる前においでと言った。
本当に楽しいローマの休日だった。ダンとは帰国後ギリシャで描いた絵を送ってもらう約束をして別れる。みんなとまた是非会いたい。「僕たちを忘れないで」の言葉が嬉しかった。
夜11時20分発のシチリア島行き列車に乗る。
(続く)