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21歳のヨーロッパひとり旅4_(1989年の夏 45日間)

●リュクサンブール公園辺りを散策
(1989.7.15)
 起きたのはお昼近くだった。
 ホテルを出てカフェでオレンジジュースを飲み、その後スザンヌと別れてオーステルリッツ駅に列車の予約をしに行く。
 それからポンピドゥーセンター前のホテル紹介所に行った。ポンピドゥーセンターはとても賑やかで、新旧の調和のとれた面白いところだった。明日じっくり回ろうと心に決めメトロに乗る。
 
 ホテルは、…と言うか、「宿泊所」は簡素を極めたものだった。おそらく元は学校か何かで(他の部屋には黒板があり、椅子などが積まれていた)、それが廃校になって雨風はしのげる程度に作り直されたものだと思う。
 作り直されたと言ってもだだっ広い部屋(大講義室か?)にマットがだーっと敷いてあり、番号札が乗せてあるだけという代物である。おまけに男女同室。
 しばしうーんと唸ってしまったが、向かいのベッドのアルジェリア人や、隣りのアメリカ人と話をしているうちにまあいっかと、このシャワー朝食付き60 フラン(このシーズン中のパリでなんと言う安さ!)の宿にすぐ甘んじてしまった。

 こっちに来てからよくすももを食べる。大きくてとても美味しい。
 日が暮れるのは夜10時過ぎなので、夕方たくさんの人が憩っているリュクサンブール公園のベンチでぼーっとしていたところ、隣のおじさんに話しかけられ、近くのムフタール通りに連れて行ってもらうことになった(辺りにひと気もあり、一応危ない人かどうか判断した上でついて行く。以下同。ちなみに付け加えると、一応黒帯保持者なので少しだけ気構えはできているつもり。といっても、本当に危ない場合徒手では難しいと思うが)。

 ムフタール通りはヨーロッパ各国のカフェやレストランがひしめき合うところで、皆テラスに腰掛け色々なものを実に美味しそうに食べていた。
 それにしてもフランス人は接近するのはうまい。さすがプロと思った次第。おじさん元気でいてね。
(続く)

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