聖夜の出来事
12月24日の夜、友達8人でクリスマスパーティーをしてた
『んじゃどうする?二次会行く〜?』
『行く行く〜』
明日休みやし私も行こうかなって思って返事をしようとした時だった、肩をトントンと叩かれる
『ん?どした?』
『このまま俺と一緒に来て欲しい、大切な話がある』
『んー、わかった』
そのまま私と彼は人通りの少ない場所まで来た
今日はよく冷える、改まって話ってなんやろう?
すると彼が立ち止まる、私も歩くのをやめて彼の正面に向き直る
『えっと…』
そう言ってから何かを言いにくそうにキョロキョロしだす
『どした?なんか悩みでもあるんか?ほら、言ってみな』
彼は少し俯いてから私の顔を見る
『マナミ、お前の事が好きや』
不意打ちだった、彼と私は友達になって8年、正直私に好意を持っていたのは知ってたが何年も友達として過ごして来たから正直予想外…
『ん…そっか…』
どうしよう、頭が追いついていない
今の私の状況は複雑だ、旦那と離婚協議中でまだ法的には既婚者なのだ
色々と考えを巡らせている間に2人の間には静寂が…
人通りは少なくても今日はクリスマスイヴだ、それなりに人は居るが周りの音なんか聞こえなくなっていた
『ごめん、急に変な事言ったよな…イヤなら…今言ったことは忘れてくれ』
なんか色々考えてる間に彼がネガティブに
『ううん、イヤとかじゃない…気持ちに応えてあげたいんやけど今は…出来ない』
『せやんな、結婚…してるもんな…』
正直好きって言ってくれたことは嬉しい、けどまだ出来ない
何かいい方法ないやろか
また沈黙が流れる
『実は初めて話した頃からずっと好きやった』
彼が話し出す
『いつでも明るくて、優しくて、どんな表情もかわいい、そんなお前が好きなんや、最近元気ないのが心配やけど…』
『ん…』
『ホンマは…卒業してから言うつもりやった、けどマナミが卒業前に結婚してもたから言えんかったんや、でも今日離婚するって話聞いて…今言わんとって思ってさ…』
そっか、私に気があるのは知ってたけどそこまで思ってたなんてね…普通相手が結婚したら諦めそうなもんやけど、彼は本気だ、なら私も応えないと
『じゃあさ、3つのお願い聞いてくれる?』
『え?うん、何?』
『1個は私はもう結婚するつもりもないし同棲もするつもりはない、せやから一緒に暮らす事は出来ないよ』
『うん』
『2個目は私はもう子供を産むつもりがないから結婚しないことも合わせて貴方の子供を産んであげられない
3個目は離婚が成立するまで待ってて欲しい、それまでは2人だけで会ったりは出来んから…』
彼は少し考えて答えてくれた
『いいよ、俺はマナミが嫌がることはしたくないし…それに結婚とかがしたいんじゃなくて一緒に遊んだり出来るだけで十分、独り占めしたいって思ったから想いを伝えただけやから』
『独り占めか〜ちょっとメンヘラっぽくない?』
『なんでやねん、お前はホンマ…』
『冗談やって、じゃあ…お付き合いさせて頂きます』
『ありがと…な…』
『てか寒ない?コンビニ入ろ!』
『ホンマ今日寒すぎやろ!』
その後2人であったかい飲み物持ちながら駅に向かう
『てかほんまに良かったん?結婚もしません、子供も産みませんなんて自分で言っといてけっこうエグいで』
『正直俺も勢いでオッケーしたとこもあるけどそもそも結婚なんて考えた事なかったし半分諦めてたし…』
『けど私が結婚してからもずっと好きでいてくれたんやろ?それはめっちゃ嬉しいよ、控えめに言ってメンヘラやけど』
『だからメンヘラはもうええって』
そう言い合ってる間に駅に着いた
『じゃあまたね』
『うん、またな』
バイバイして帰路につく
電車に乗ってると急に胸がドキドキしてきた
全身が心臓になったみたい…なんか色々難しい事考えたけど純粋に嬉しかったんじゃないか私…
抑えきれないニヤニヤを堪えながら家に帰る私だった