戦略ファームに入って驚いた3つのこと
戦略コンサルタントのアップルです。
アップルが戦略ファームに入ってからかなりの月日が経ちますが、今回の記事では戦略ファームにジョインした当初のことを回想してみようと思います。戦略ファームの何に驚いたかについて書きます。
これまでも何度か言及しましたが、アップルは中途で戦略ファームに入っています。前職はいわゆる日系の大企業でした。ザ・大企業のような組織から戦略ファームに移って、入社当初にはいくつかカルチャーショックというか驚いたことがありました。
中途採用でこの業界に入った人は、多かれ少なかれカルチャーショックを受けると思います。アップルがこれから書く3つのこと以外にも「こんなところに驚いた!」というエピソードがありましたら、ぜひコメント欄にお寄せください。
では、アップルが驚いた3つのことを紹介していきましょう。
1.オフィスが極めて静か
入社初日に感じた違和感がこれでした。オフィスに人がいるのに、物音ひとつしないくらい静かだったのです(キーボードの音だけがカタカタ聞こえるレベル)。
前職の職場は、結構ガヤガヤしている感じでした。部署の中で内線電話や外線電話で話している人が常に数人いて、その電話の話し声はしているし、上司と部下が机越しに仕事の進め方について対話していました。ガヤガヤしている雑踏感が、なんとなく仕事の熱気を生んでいました。
対して、戦略ファームは、ものすごく静か。ちょっとでも会話しようものなら周囲に筒抜けに聞こえる。静かにもくもくと机に向かって作業するのが戦略コンサルタントなんだな~とカルチャーショックを受けました。
2.決裁ルートが存在しない
これもカルチャーショックでした。一般的な大企業だと、一つひとつの仕事を進める上で上司の決裁が必要です。軽い案件なら直属の上司の決裁だけでOKですが、少し大きな案件になると上司の上司の上司のそのまた上司まで決裁を回さないといけません。大企業において決裁を回すのに割く時間や労力はまあまあ大きいものがあると思います。
ところが、戦略ファームでは、この手の話がまったくありませんでした。もちろん、プロジェクトにアサインされると直属の上司はマネージャーになるため、そのマネージャーとは日々コミュニケーション(報連相)をとります。ただ、マネージャーとの対話も「決裁を仰ぐ」という感じではないし、その上にいるプリンシパルやパートナーが決裁ルートに乗ってくるということもありません。
アップルのように大企業から転職してきた身としては「めちゃくちゃ楽チンじゃん」という感覚を持ちました。
なぜ決裁ルートが存在しないかと言えば、プロフェッショナルファームだからです。一人ひとりがミッションと責任を負い、それについては自分で完遂することが求められる。決裁ルートがないことは、その重い責任と表裏一体ということです。
3.文章の書き方が特殊
アウトプットの観点で最もカルチャーショックを受けたのがこの点です。
戦略ファームに入る前から、戦略コンサルタントはシンプルで構造化されたスライドを書かないといけないということはなんとなくわかっていました(実際、入社した当初は、先輩社員が生産するパワポのクオリティの高さに驚きと感動を覚えたものです)。
一方、文章の書き方が特殊という点は、入社前には知らなかったし、新鮮な驚きでした。どういうことか?
戦略コンサルタントは、文章を書くとき、常にロジックツリーの構造で書くのです。文書の中に幹と枝葉の構造を常に入れます。
具体例で説明しましょう。とあるビジネスパーソン(ここではX氏としておきましょう)のある日の日記をモデルケースにしてみます。
【X氏の日記】
今日は楽しい一日だった。まず朝からランニングをして一汗流した。この季節の早朝のランニングは、空気も澄んでいて気持ちいい。昼は大学時代からの友人と表参道でランチ。行きつけのイタリアンで談笑した。ここのイタリアンが好きな理由は、味はもちろんのこと、ワインの品ぞろえが豊富なこと。かれこれ10年も通い続けている。
明日は月曜日。仕事で大事なプレゼンを控えている。今回のプレゼンはコンペ。どうやら5社が参加するらしい。5社の中にはA社、B社といった当社より規模の大きな会社もいるようだ。だが、クライアントと一番信頼関係を築けているのは当社のはず。明日のために、かなり力を入れてプロポーザルを練り込んだ。勝つ自信はある。コンディションを整えるために11時には就寝する予定だ。
これが一般的な文章というものです。
ところが、戦略コンサルタントは、こういう文章の書き方をしません。上記の文章の中には「幹」と「枝」と「葉」が混在しています。そのストラクチャーが一見して明瞭に書くのです。
戦略コンサルタントは、あらゆる文章についてこういう書き方をします。
議事録やインタビューのメモはもちろんのこと、パワポの文章スライド、はてはメールまで、このような独特な階層構造で文章を書きます。
これには最初ちょっと面食らうとともに、ストラクチャーを意識して文章を書くのに慣れるのには少々時間を要しました。
ただ、一度慣れると、これほど書きやすい文章の書き方はないので、なんでもかんでもこういう書き方をついしてしまいます(笑)。
まとめ
上記、簡単にまとめておきましょう。
・アップルが戦略ファームに入って驚いたことは3つ
-1.オフィスが極めて静か
-2.決裁ルートが存在しない
-3.文章の書き方が特殊
・特に、文章の書き方は、常にストラクチャーを意識する戦略コンサルタント独特なものであり、誰しもこれに慣れるのには一定の時間を要する
今回はここまでです。
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