加点方式の試験を受けてみて感じたこと
何事においても、減点するのは簡単だが、加点するのは難しい。
日本の筆記試験は、減点方式で採点されることが多い。ミスがあれば、その点数を引く。減点の理由が明確なため、採点者にとって採点しやすく、解答者から試験結果への不満も出にくい。
国際バカロレア(IB)の筆記試験は、加点方式で採点される。以前の記事でも載せたように、ほとんどの問いが論文形式だ。過去問の解答を見てみると、この単語や内容が入っていれば何点追加、と詳細に記載されている。しかし、ただその単語を意味なく並べても、加点対象になるとは考えられない。実務的な採点基準がどのくらい詳細に決められているのか、気になるところだ。
もし、筆記試験の採点結果に納得できない場合、IBでは、その科目を再度採点してもらえるリマークという制度がある。この申請によって、点数が上がる場合も、下がる場合もある。(変わらない場合もある。) いずれにせよ、再採点後の点数が、最終スコアとして認められる。
私は音楽の筆記試験結果が自己評価よりも低く感じたため、リマークを申請した。これで成績が下がったら絶望だなぁ…と思っていたが、結果的に最終スコアが1点上がり万々歳だった。満点は7点なので、1点アップはかなり大きい。
ただ、再採点を依頼し、1点も上がってしまったことで、加点方式の試験の難しさも感じた。採点者による評価のばらつきは避けられないことを意味するからだ。
個人的には、ミスをしないことが評価されているような減点方式の試験は、あまり好きではない。何かが足りていない、または、誤っているという点で採点するため、試験も、自ずと解答の正解がきちっと決まったものに限定されてしまう。しかし、どの人が採点しても同じ結果になるというのは、評価の公平性という意味では極めて優れている。
一方の加点方式の試験は、採点基準も分かりにくく、属人的な判断に委ねられる。しかし、試験問題や解答に自由がある。それは、誰一人同じような解答を書くことは無いのではないかと思うほどだ。
はたして、試験はどうあるべきだろうか。