見出し画像

病気を持ちながら働くということ

私が、精神疾患を患ったのは22歳の時だった。
今から12年以上も前のことだ。
大学受験に惨敗してしまい、完璧主義だった私は現実を受け止められずにうつ病を患ってしまった。
「いつかは良くなるだろう」と信じて通院してきたが、今では病気は治るものではなく、一生この病気を持ちながら生きていかなければならないと受け止めることができるようになった。
大学は地元の大学を、治療を続けながら何とか卒業することができた。
新卒で就職をしてからが困難の始まりだった。
中学・高校時代はバスケットボール部に所属し、スポーツに励んできたのだが、あの時の体力が嘘のように、体力が全くと言って良い程ないのだ。
だから、残業の多い仕事は必然的に選択肢から除外された。
地元・沖縄では大企業が少ない為、最初はコールセンターや税理士事務所で勤めた。
だが、上手く働けて1年弱、3年以上同じ職場で働けたことはなかったのだ。
会社都合での退職も1社あったが、その会社以外は体調不良に陥り離職してきたのだ。
「自分は普通の人とは何か違うのか」ずっと悩んでいた。
地元を離れ、関東での転職を果たしたが、そこも1年どころか半年も働き続けることができなかった。
その経過を知った、当時の主治医の先生から「発達障害のASD:自閉症スペクトラム障害」という診断がされたことがきっかけで再び地元に戻り転職をするが、やはり1年も持たず離職してしまった。
家族に金銭的にも仕事が続かないことでも迷惑をかけてしまい、自分の弱さに涙して落ち込む日々が続いた。
「このままではいけない」
以前の主治医からアドバイスされた「就労支援移行事業所」って所を見学に行ってみよと思い立つ。
地元では大人の障害を支援できる機関はハローワークしかなく、そこまで障害者雇用へ手厚い支援はなかった。
「地元でパートでも良いから働こうかな」とも考えたが、人と接することへの不安と病気を隠したまま働くことに限界があるように思えた。
「やはり、就労支援移行事業所を関東で探すしかない」と決心し、3ヵ所の事業所を見学し、千葉にある事業所に通所することに決める。
令和4年1月から通い始めて、今月で約6カ月が経とうとしている。
ここまで来るのに紆余曲折あった。
良い事ばかりではなく、落ち込むこともあった。
その度に支援員さんや家族が励まし、ここまでの通所を経てやっと就職活動の許可が出た。
「障害者雇用」で応募してみたり、面接に行ったりして思った事がある。
ビッグネームな会社程、身体障害者を好んで採用したがることを知った。
「障害者」といっても身体障害者・知的障害者・精神障害者と分類されるが、私は精神障害に分類される。
精神障害は体調が安定しないということで、企業はあまり採用したくない傾向にあるらしい。
「障害者手帳」を持っていて、応募書類を提出したら、書類選考ぐらいは通過して面接には直ぐにいけると思っていたが、現実はそんなに甘くなかった。
企業は応募者に安定して働いて貰いたいとの視点から応募者を見ている為、症状が安定していないと選考に通過することができない。
まぐれで行きたい会社に受かったとしても安定して働けないと雇い止めされる可能性がある。
「全然優しくない」
「障害者雇用はもっと優しい制度だと思っていたのに」
「むしろ、一般雇用と同じだし、健常者に近い人を求めている」ことに不安を覚えた。
「大丈夫だろうか」と。
私は、毎日睡眠薬を飲んで眠るが、翌朝に薬が残っていたり、逆に薬が効かずに寝不足だったりとなかなか安定したパフォーマンスを出すことが難しくなってきている。
障害者雇用での業務内容はそこまで専門性を求めてくる業務はないが、その辺りは体調の良い時に最大限のパフォーマンスを発揮し、調子が悪い時は大人しくしておくなど、使い分けようと考えてはいるが、企業としては、ずっと高いパフォーマンスを出せる障害者を欲しているとは思う。
そう考えていると精神障害者を雇うことは企業にとっても「かけ」なんだなと思わざるを得なくなった。
ある一定の規模の企業は法定雇用率を定められており、それを達成しなければ企業はお金を支払わなければならない。
そういった縛りがあるにも関わらず、「手帳を持っていれば誰でもwelcomeというわけではない」ことを知り、「世知辛い世の中だな」と思った。
「どこかの会社に障害者雇用として転職することはできるだろう」と現在通所している支援員からはアドバイスを貰っていたが、就職活動への不安はつきなかった。
とある会社からやっと内定を貰うことができた。
一般雇用で就職活動してきた頃とは比べ物にならない程、たくさんの書類を提出し、バサバサと書類選考で落とされて、
「どこにも採用されないかもしれない。もしくは生活できない給与水準まで条件面を下げないといけないのではないか」と不安な日々を過ごしてきた。
とてもホッとした半面、一般雇用で数々の失敗をして離職してきた私にとっては、ここからが本当のスタートラインなのではないかと思う。
精神障害者の平均勤続年数は3年2ヶ月と他の障害者と比べて1番短い。
「朝起きて決められた時間に会社に毎日行く」という普通の人が当たり前にできることが難しい傾向にあるようだ。
病気を抱えながら働くという課題はこれからもずっと私の中でずっと考えるテーマであり、自分の体調と相談しながら無理なく働き続けるということは答えのない試験のようだ。
障害者雇用とは言え、これから働く上で、困難にぶつかることもきっとたくさんあると思う。
普通の人よりも落ち込みやすい私にとって、問題は多く生じてくるかもしれない。
壁にぶつかる度、自分で考え、時には周りの人に相談し、1つずつ解決して乗り越えていけたらと願う。

いいなと思ったら応援しよう!