劇場版「名探偵ピカチュウ」見た感想【※ネタバレ注意】
先日、劇場版「名探偵ピカチュウ」を観て来た感想。
名探偵コナンと同時期上映となった今作だが、意図したものか、さてはて。。
以降、思った事をつらつらと書いていく。
ポケモンの実写モデリング
・自分的にほぼ満足。素晴らしい!というほどではないが、実際いたらこんな感じだよねーというラインを十分超えているなという印象(あまりにもリアルなので、アニメのキャラクターのように「かわいい~」と抱きつけるかは微妙)。ピカチュウに至ってはこれ以上無いと思える。
・噂によると、モデリングに関してはゲームフリークと1年以上に渡っての綿密なやり取りがあったらしい。ソ○ックも頑張れ。
・冒頭、ピジョンの飛び方があまりにも不自然で、嫌な予感がした。飛び方に違和感を感じたのはそこだけだが、まるで天井から吊り下げているような飛び方。。ゲーム版ポケモンの3Dモデリングでも言われる事だが、やはり鳥の自然な飛行表現は難しいのだろうか。
・巨大ドダイトスの迫力はさすがに凄かった。アクションシーンと上手くマッチしていたし、ゲームではできない展開。
・トレーラーで産毛がどうのこうの言われていたバリヤードだが、すごく良く出来ていた。無口でうざいのもすごく良くわかった。
・ピカチュウ可愛い。シナリオなんてそっちのけでいいから、ピカチュウの仕草だけで観る価値あると思う。どんなポケモンが登場しているのか探してみるのもいいかも。
・ゲッコウガの舌でヒロインが口を塞がれているのが地味にエロス。
・ダグトリオの実写化があればどんな風に表現するのか見てみたかったが、登場していただろうか。
世界観
・至って凡庸な印象。人間とポケモンが共存する街という設定だが、景色や人々の暮らしはアニメとかでよくあるポケモンの世界観とほぼ変わらない。(ポケモンをボールに入れないという設定だが、アニメ等でも街中をポケモンが歩いてるのは普通だし、特別には感じなかった。)
・ポケモンが共存する割りに、街づくりが人間の暮らしに寄りすぎている。アニメやゲームにも言えるかもしれないが、実写という事でその辺の違和感がより謙虚になっている。飛行ポケモンがたくさんいるのにそこら中に立派な高層ビルが立っているし、水系ポケモンもいるだろうに水場も見当たらない。後、あんな野生的なやつらがゴロゴロいる場所にアスファルトはどうなの。
・結局、人間とポケモンのコミュニケーションの限界がよくわからなかった。劇中、フシギダネに主人公が話しかけてヒロインに「通じないわ」と止められるシーンがあるが、人々の暮らしの中ではポケモンが交通整理をするし、たこ焼きを焼くし、情報屋をするし、スパイだってする。人間の代わりにポケモンが仕事をしてくれる世界で、一体どのようにコミュニケーションを取っているのか?
そこをはっきりしてしまうと「喋れるピカチュウ」という印象が薄くなってしまう為あえて濁したのかもしれないが。。かなりモヤモヤした。
・テクノロジーの発展が凄すぎて(ホログラムしかり、ミュウツーすら捕獲する電撃みたいな装置しかり)、街中の描写が凡庸すぎる。あそこまで技術が進んでいるならそもそもポケモン要らないんじゃないか?何で交通整理なんてさせてるんだ?
シナリオ
・よくある子供向けのシナリオ、という印象。何かテーマがあるというより、単純な勧善懲悪で通した感じ。
・一番感じた事だが、正直ミュウツーは要らなかった。一応「黒幕に利用される」「喋れるピカチュウを作った張本人」といった重要なポジションだが、そもそもミュウツー自体のバックグラウンドが複雑すぎて、新規のシナリオに混ぜ込むのは無理がある。ミュウツーは過去、ロケット団にミュウの遺伝子から作られた、なぜ造られたのか悩み苦しみ、人間の身勝手さを憎み、果ては逆襲まで試みる(某映画)といった超複雑なキャラクターである。劇中でも「人類は悪だ」とか「世界最強」だとか随所でそれっぽい事を語るシーンがあるが、正直本編には全く関係無い。それどころか「人類は悪だ・・・だが良い人間もいる」といったミスリードに使われる始末である。
・おそらくだが、ミュウツーを起用したのはシナリオの都合ではなく最初から決めていた事な気がする(思惑として、今年上映のリメイク版「ミュウツーの逆襲」とリンクさせる狙いがあったのかも知れない)。そう考えたほうがしっくりくる。大方こんな流れじゃなかろうか。
ミュウツー起用したろ → ミュウツーだし、黒幕と絡ませたろ。でも安易にミュウツーを悪者にできない。せや、乗っ取られた事にしたろ!黒幕は体が不自由なんや! → ピカチュウの喋れる秘密と何とか絡ませな・・・せや、魂移せる設定にしたろ!
上記に書いたように、ミュウツーがシナリオの核心に鎮座しているせいで、シナリオが妙に歪んでしまった印象。
さらに言ってしまうと、ミュウツーは確かにかっこいいかも知れないが、そもそも生物感が無い為、実写化した時の印象がとても薄い。ピカチュウのように毛並み等の表現も無いし、ゲームの3Dモデルと感覚的に差が無いように思える。
・黒幕のやりたい事がマジで意味不明。自分の魂をミュウツーに移すまでは100歩譲ってわかるとしても、何故人間とポケモンを一体化したかったのか?その後の世界に彼は一体何を望んでいたんだ。
・色々書いたが、正直「名探偵」というと何故か庶民派を期待してしまう自分としては、世界の陰謀と戦うより、街の一角でこそこそと事件を解決するスタイルをどうしてもイメージしてしまうというのもあるかもしれない。どの道ドタバタさせるにしても、R剤(だっけ?)で暴走したポケモン達と黒幕の陰謀(世界制服でいいよもう)を阻止する、で良かったんじゃないのと思ってしまう。
・劇中、魂を移す方法は3通り。①特殊な装置で魂だけポケモンに移す。②ミュウツーの能力で体ごとポケモンに移す。③ミュウツーの能力で魂だけポケモンに移す。
正直混乱したし、①はまだしも、②③の違いがよくわからない。ラスト、ミュウツーが全魂を元に戻すシーンでてっきりピカチュウから父親が出てきてハッピーエンドかと思いきや、何故かワンクッション踏む。おそらく最後の空港でさよなら → やっぱり一緒にいたい、のシーンにインパクトを持ってきたかった為だろうが、(魂入れ替え能力の部分が特に)シナリオの為に設定が無理しすぎている。
・最後に「喋れるピカチュウ」はただのピカチュウになるわけだが、それなら劇中何度も繰り返していた「お前はパートナーだ」「ああ!」のようなくだりは一体何だったのかと思ってしまう。彼らはED後親子としての絆を作っていくんだろうが、それは「親子」であり、人間とポケモン間の「パートナー」とは意味合いが異なる筈である。せっかく作られた友情のようなものが一気に無に帰したようで正直複雑だった。これなら父親は存命である事だけがわかっており、これからもこの2人のコンビで様々な事件を解決していこうぜ!な終わり方のほうがすっきりするのは私だけだろうか。
以上、半ば愚痴っぽくなってしまったがこの辺で。
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