アジアのテック領域の女性起業家カンファレンス、SHE LOVES TECHへ参加!
appcycle代表のYukaです。
先日、シンガポールのセントーサで行われたアジアのテクノロジー領域の女性起業家が集まる協議会、SHE LOVES TECHに参加してきました!
コロナの影響もあり3年ほどオフラインでのイベントを行っていなかったそうで、久しぶりに帰ってきた!と、主催者も参加者も全体的に盛り上がっていました。
このイベントはシンガポールにて2日間で行われており、私は一日目だけ参加しました。
結論からお話すると本当に参加してよかった!!というのが本音で、朝から夕方まで一日中かけての盛りだくさんな内容だったので、少し長くなりますがこちらへまとめていきます。
※日本語でのレポートは、ほぼ出ていないと思いますのでご興味ある方是非読んでみてください。
1.開場してから朝のセッションまで
開場が8:00だったのでなかなか早いな、と思いながら自宅からセントーサへ向かいました。
前日に会場変更の案内がありましたが、会場であるセントーサのホテルに着きました。
朝のクラスまで少し時間があったので会場に設置されている企業の案内を見たりしました。
シンガポールのテック企業Buzz ARVR のアバターを作れる体験をしました。
プリクラみたいな感覚でみんなで楽しめました。
この企業のシンガポール人の女性CEOに、
"こういう企業の男女比率ってどのぐらいなの?"
と興味本位で質問してみたのですが、
"ん〜そうだね、今は70%が男性。もちろん自分自身がCEOだから女性の活躍を推進しているけど、実際エンジニアに女性が少ないからこの構成になっているよ。でもこの子が唯一のうちの女性エンジニア。"
と隣にいた女性エンジニアを紹介してくれました。
appcycleはゴリゴリのテック企業ではないのでだいぶ違いはありますが、なるほどな〜と思ったのでした。
日本だとQRコードからLINE追加の導線でリードの獲得をしているところが多く感じますが、だけど私のいるシンガポールだとQRコードーWhatsAppの導線が多いです。この画像もQRコードを読み込みWhatsAppを追加、そこに画像が送られてくる方法でした。シンガポールではコロナの規制があった時期から、スーパーやモール、オフィスに入る時や、レストランのメニューのオーダーまでQRコードを読み込んで行う操作が日常的にたくさんありました。
今回この協議会で紙製の名刺を持っていたのは話した中の30%-40%くらいでした。
名刺入れを持つこと自体、もうだいぶ少なくなってきているんだろうなと思いました。
その他はLinkedinをQRコードで追加して友人になる、もしくはテンションが似ていて一歩踏み込んで仲良くなれそうな方は、WhatsApp交換しよう!(日本でいうとLINE交換しましょう)となりました。
名刺も紙を使うので名刺なしで連絡先交換、の方がサステイナブルですよね。
2.朝の部
ヨガコーチによる身体を緩めたり軽いストレッチを行うクラスをしました。
椅子に座りながらできる範囲のものだったのですが、会議始まる前とかオフィスだったらこのぐらいの軽いストレッチ、いいなと思います。朝でしたが身体も頭もスッキリしました。
実は私は一人でいることもとても好きなタイプで、広い会場で一人で参加したので、誰も座っていないテーブルの席へ向かおうとしていたのですが、
あ、私セミナー受講ももちろんだけどアジア人女性起業家やアジアの企業とのネットワーキングのために来たんだった・・
と思い直して、誰も知らないけど人がたくさん座っている場所へあえて行き、
隣に座ってもいい?と声をかけるところから
挨拶、
どんな事業してるの?、
や今日はどんな目的でここに来ているの?
など情報交換したりしました。
周りを見渡しましたが日本人はいませんでした。
ちょうど隣に座っていたのはシンガポール人の女性起業家で、もともと材料系の分野を大学で学んでいたそうで、あなたのビジネスだったらここの大学に話してみたら?とかたくさん情報をくださいました。RINGO-TEXのバッグとかできたら私買うから連絡してね!!!という温かいお言葉もいただき、すごく嬉しい気持ちになりました。
もちろん忘れずにLinkedinで即、繋がります。
3. SHE LOVES TECHの主催者からご挨拶
三人の主催者側の女性から開催の言葉をいただきました。
心に響いた言葉が、
”私は今日ここに小さな娘を連れて来ています。
それができるこの環境に本当に感謝します”
という発言です。
共感が深すぎて始まりから泣きそうでした。
実際、仕事の関係者に"こども連れて来ていいよ〜"と言われても、
本当に心のそこから思っているのか?
本当に連れて来て大丈夫なのか?
ソワソワしてしまいます。
シンガポールにいる今は日本にいる時よりは、会社も社会も子育てと仕事の両立についてだいぶ理解されていますが、共働きフルタイムで働きながら母親をするのが本当に楽ではありません。濁さずにいうならしんどいです。自分がどんな状況でも母親業を辞めることができないからです。
いつも思うけれど、これは永遠の悩みだし、女性同士だととても分かり合えるトピックです。
4. 今年の受賞者の何人かの女性が登壇し、ショートピッチやトークセッション
かっこいい!!!と思ったのはDEEP TECHの領域の女性起業家たちです。
この女性は、夜中まで研究をしたりきついこともあるが、わたしは絶対に諦めない、と強く発言していました。
コンクリートのサステイナビリティー(耐久性を強化して長くコンクリートを使えるようにする)に取り組む女性起業家が話していたのは、
このような土木の業界は男性だらけで、女性である自分が現場に入っていくと、なんで女がいるんだ?と言われる、ということでした。
まだまだ男女平等とはかけ離れている業界で仕事をしているそうです。
こういった女性たちをとても応援したいと思いました。
5. ランチタイム
お昼は会場でビュッフェの昼食を立食で取りながら、ネットワーキングを行いました。
隣に座っていた方と雑談しながら午前中のクラスを受けていたのですが、一番時間をかけて多くの方と話せたのはランチタイムでした。
わたしのように1人で参加している方やスポンサー企業などもたくさんいらっしゃいました。
たまたまメインスポンサーであるマイクロソフトシンガポールの方と出会うことができ、
appcycleのりんごのヴィーガンレザー事業について話すと、
That's amazing Yuka!!!
とすごく褒めてくださいました。
りんごのヴィーガンレザー、というと、
"??????"
"なにそれ??"
というのが殆どの方の反応で、
"りんごのフードロスを活用し、合成皮革を作っている"ことを説明しても、
"How???" (どうやって???)
といわれる方も多かったです。
まだまだヴィーガンレザーを知らない方も多いのだということを改めて知りました。
マイクロソフトでもサステイナビリティーは掲げており、社内で配られる文房具などもプラスチックではなく木製のものにするなど選んでいるよ、とのことでした。
ITやコンサルティングファーム、金融など色んな業種の方にRINGO-TEXのプロトタイプ(わたしたちのりんごのヴィーガンレザー)を実際に触ってもらったのですが、一般消費者向けの製品はないの??という意見がかなり多く、バッグとかあれば欲しいから早く作って!!と言ってくださる方が多かったです。
サステイナビリティーに対して少し感度が高い、そういった製品を選び持っていることに意味を感じてくださる方がとても多く感じました。
実際わたしもシンガポールのIT企業で働いていた時に、同僚とお揃いでオフィスに入るゲートで使うパスを入れるパスケースを首からさげられる革製のものを探していた時に、環境やVeganや宗教などのダイバーシティー対応できるものがなかなか身近に見つけることができませんでした。
そういった製品がりんごのレザーだったら採用したいと思う?と沢山の企業に聞いたのですが、みんな欲しい、と言ってくださいました。
ネットワーキングももちろんそうなのですがBtoB, BtoCのニーズの調査にもなったランチタイムでした。
インドネシア、スリランカからこの為に来た、とか、タイから、インドから、など海外から沢山の起業家が集まっていましたが、日本人がいなかったのは英語の情報があまり日本には届いていないからなのかなと思いました。
6. クラス分けされた午後の部
選択した各クラスに分かれ、部屋を分けての講義がありました。
わたしはフェムテックのクラス、エンジェル投資のクラス、女性起業家のためのマインドフルネスのクラスをとりました。
ドイツ人のフェムテックの関連企業さまと話す機会があり、生理用品の材料であるパルプを見せていただいたりしました。
ここで初めて日本人を見つけました!
Fermata inc.のCEOであるAminaさんです。
すごく堂々とされていて、いい意味で日本人に見えませんでした。かっこよすぎて終わった後小走りで話しかけに行きました。
わたしは実はフェムテックの協議会やウェビナーに参加したことがなく今回が初めてだったのですが、世界のフェムテックは進化している、ということをまざまざと感じました。
生理は恥ずかしいことなのか?
女性にとって隠さなければいけないこと??
日本人だって、もっと生理の話を当たり前にしたい、
と思いました。
クラスが終わってアメリカを含めた海外生活10年以上のappcycleビズデブのMachikoにこのことを伝えると、
今はもう隠す方が恥ずかしい時代。
みんなふつうに話しますよ!とのこと。
さすがうちのMachikoはindependent womanです。彼女からいつもいろんなことを教わっています。
シリコンカップのサンプルを会場のみんなにわたして手に取って触っていただいていました。アジア人の身体に合うように小さめサイズを開発したんだそうです。
"配る前に言っておくけどこれ新品だから安心してねw"とCEOの方が言っていて、会場では笑いが起きていて、中には男性もいましたが気まずそうな雰囲気はまったくありませんでした。
(これ日本だったら絶対この雰囲気じゃないよなと思いました)
エンジェル投資のクラスは、どちらかというとエンジェル投資家向けの講義でした。クラスの半数ぐらいが金額に問わず個人投資家である、という回答で正直すごい!!と思いました。
7. マインドフルネス
最後のクラスが起業家のためのマインドフルネスクラスでした。
ここでは涙腺が崩壊してしまいずっと涙がとまりませんでした。他にも静かに涙を流している女性起業家の方がいて、終わった後に温かいハグをしました。
どうして起業家はメンタルを追い詰められてしまうのか、それを解決する為にどういった方法があるのか。
起業家である、そうでないに関わらず、昨今ではメンタルヘルスの課題が叫ばれています。
わたしも自分のコンディションが仕事や家族、会社に影響することを身をもって経験しています。
特にピッチ登壇の時、心が安定していないと失敗するし、自分に自信が持てない時は人の前に立って発言することがとてもこわいです。終わった後も、うまくできなかった後悔が自分をさらに追い込んでいきます。
講師の先生が穏やかな優しい声で、
"目を閉じてゆっくりと深く呼吸していきます、
ここはあなたにとって、みんなにとっての安全な場所です。
ここにはあなたのことを傷つけたり、評価するひとはいません"
静かな会場の中に先生の声のトーンが会場に響いて、
その波動がとても優しく全体を包んでいく雰囲気で涙が止まらなくなりました。
わたしはシンガポールに住んでいることもあり、東洋医学やヨガ、アーユルヴェーダ、サウンドヒーリングがとても身近にあり好きなのですが、先生の使うティンシャ(鐘)の音が身体に響いて伝わり、癒していくことを感じました。
"過去、現在、未来という時間軸の中で、
今にフォーカスできていないとバランスを崩していく"
起業家は特に過去の出来事に対して、
あぁこれは自分にどうしてできなかったんだろう、
どうして失敗してしまったんだろう、あの時こうしていたら、、
と思い悩み、
さらにはまだ訪れていない未来に対しても、
あぁ、これはどうしたらいいのだろう?自分にはできるのだろうか?
どう達成できるのだろうか?
と思い悩みます。
過去から未来までの広い振り幅の中を行ったり来たりして思い悩みます。
そして自分を壊していきます。
だから、今ここにフォーカスすることがマインドフルネスにとても大切なことです。
というお話を先生がされました。
一分間、何もしない、ただそこに存在する、という練習をしました。
わたしは一点に視線を集中させて、呼吸に集中することをしていましたが、やはり鳴り止まない複数のチャットからの通知がくる携帯が気になっていました。
何もしないということ、心をぶらさないということは今のわたしにとってはとても難しいことでした。
一瞬でも空いた時間があると
次のミーティング何時だっけ?メールの返信してたかな?こどものお迎えいかなきゃ、ご飯の準備は、明日のこどものお弁当は…?
いつも思考は騒がしく、休まることはありません。
会場にいた人の中で知らない人と二人組になり、髪の毛が長い方がA、短い人がBになります。そしてAはBに、今立ち向かっているチャレンジについてひとつ共有します。
Bはそれをマインドフルリスニング、穏やかにただ聞いてあげます。
というワークショップをしました。
わたしに向かって少し遠くの離れた席から歩いてきた、インド系シンガポール人女性とペアになりました。
私の方が髪が長かったのでわたしがAになり、今の挑戦について共有しました。
Bになった彼女はわたしの話の細かいニュアンスを汲み取る為に、
これはこういうことだよね?うん、うん、
と、
ただただ母親のような表情できいてくれました。
その時なんだか彼女が私の気持ちを認めてくれたような心が許されたみたいな感覚になり、また涙が止まらなくなりました。そうしたら彼女はわたしを優しくハグしました。国籍や宗教、言語、職業や役職が全く関係のない優しい空間がそこにはありました。
「あとでまた話そうね」
と言ってセッションを続ける為席へ戻りました。想像ですが彼女はヨガをしていて、こういった瞑想にとても慣れている方だったと思います。会った瞬間から、人間の大らかさがとても伝わりました。
この体験から、マインドフルリスニング=相手を受け入れて、心から受けとめる(聞いてあげる)姿勢を学びました。
相手がいつもこんな広い器で聞いてくれたらわたしも話しやすいし嬉しいし、こんな心で相手の言葉を聞いてあげることができたら、コミュニケーションがスムーズになり、信頼関係を構築できるんだろうなと気がつきました。
これは親子、家族、友人、仕事など、何にでも当てはまるなと思います。
最後に
まとめるととても学びが大きく、参加してよかった内容の深い協議会でした。
初めは参加費用がなかなか高いな、と思っていたのですが内容含めると安い!とすら感じました。($150?$200/ 1日ぐらいだった気がします)
ただ座って話を聞く、というよりはワークショップ形式だったり、身体を動かしたりするクラスを行うことであきずに一日中楽しく参加できました。
ただ、終わった後はなかなかインプットが多かったので、
しばらくの間ぼーっとしてしまうぐらい頭の中がいっぱいでした。。。。
来年はなんらかの形で登壇側にいられたら最高!と思うと共に、この会場にappcycleのスタッフを連れてきて一緒に体験・共感できたら本当にうれしいな、と思いました。
女性起業家・ダイバーシティーの中で女性のリーダーシップについて学びがあったSHE LOVES TECHですが、私の中の現時点での答えがあるとすれば、女性は共感の生き物である、ということです。
だからリーダーシップの形も男性とは違うやり方でいいのでは?と思うのです。
生理や出産・子育て・家庭との両立、どうやっても女性にのしかかってくる課題はあります。それは女性として生まれた以上避けられないものもあります。ただ、それをどう持続可能にするか自分が身をもって経験し、それを共有することで世の中の女性をサポートできるようになりたいと心から思いました。
例えば
子供を連れてきても良い、
子供がいること・女性であるということがハンデにならない職場が増えていくこと
は女性にも社会にとってとても素晴らしいことであり、逆を言うとそうならないと女性が仕事を持つ機会・自立する機会をどんどん奪ってしまうと思います。女性としての・母親としてのキャリアアップの課題に立ち向かっている女性は、実際に私の周りにもすごく多いのです。
今回のこの機会は、テクノロジーという領域や起業家・国籍・言語、という枠をも越えて、個人としてもとてもいい経験になりました!
来年は会場でたくさんの勇敢な日本人女性に出会えますように。
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