天然皮革と合成皮革:基本的な違いとその影響について
これまでヴィーガンレザーについて取り上げてきましたが、今回は一般的な皮革製品について簡単に解説できればと思います。
皮革というと、一般的には動物の皮を加工したものを指しますが、合成皮革と呼ばれるものも存在します。それぞれどのような特性を持ち、どのような影響をもたらすか。本記事では、天然皮革と合成皮革の違いとその影響について解説します。
天然皮革と合成皮革:基本的な違い
皮革製品はその豊かな質感と耐久性から、多くの用途で愛されてきました。しかし、全ての皮革が同じものでないことはご存知でしょうか?主に「天然皮革」と「合成皮革」の2つに分類されますが、その製造方法や特性には顕著な違いがあります。
天然皮革は動物の皮を加工して作られます。この皮革のメリットとしては以下の点が挙げられます。
豊かな質感と高い耐久性
エイジングによる風合いの変化
しかし、そのデメリットも覚えておくことが重要です。
高価
水や湿度に弱い
積極的なケアが必要
一方、合成皮革は主にPVC(塩化ビニル)やPU(ポリウレタン)などの化学物質を使用して製造されます。そのメリットは以下のような点があります。
一定の品質を保つ
性能をデザインできること
低価格であること
一方で、そのデメリットも覚えておくことが重要です。
主な原料が石油由来であること
これらの違いを理解することは、皮革製品の選択や使用におけるあなたの意思決定をサポートします。天然皮革と合成皮革、どちらがあなたのライフスタイルに最適かは、その特性やメリット、デメリットを把握することで明らかになります。
合成皮革の登場:ポリウレタン(PU)と塩化ビニル(PVC)の役割
天然皮革の特性は魅力的ですが、一方で高価であり、供給量にも限りがあります。これに対して合成皮革は、工業的に製造が可能であり、コストと供給の観点から天然皮革の問題点を解決します。その中心的な素材となるのが、ポリウレタン(PU)と塩化ビニル(PVC)です。
PUとPVCはそれぞれ異なる特性と利点を持ちます。
PU皮革は、以下の特性を持ちます。
PU皮革の特性:
質感: 天然皮革に近い柔らかさと風合い
強度: 耐久性と伸縮性に優れる
環境負荷: 一部のPU皮革はバイオベースの原料から製造可能
一方、PVC皮革は、以下の特性を持ちます。
PVC皮革の特性:
質感: 光沢感があり、色彩豊か
強度: 高い耐摩耗性と防水性
コスト: 低価格で製造が可能
PUとPVCは、それぞれの特性を活かして合成皮革の世界に多様性をもたらしています。天然皮革が提供できない利点を享受することで、多くの製品が価格的に手が届くようになりました。それぞれの特性を理解し、目的に合わせて適切な皮革を選択することが求められます。
環境への影響:天然皮革と合成皮革の製造工程
皮革製品は多くの人々にとって日常生活の一部ですが、その製造工程は見えにくい部分でもあります。天然皮革も合成皮革も、それぞれが環境へ及ぼす影響は無視できません。ここではそれぞれの皮革製品の製造工程における環境への影響に注目してみます。
天然皮革の製造過程では、
動物の飼育による環境負荷(例:温室効果ガスの排出、土地利用など)
皮革なめしの過程で使用される化学薬品(例:重金属など)による環境汚染
一方、合成皮革(PUとPVC)の製造過程では、
石油由来の原料の使用とそれに伴う環境負荷
製造過程における溶剤使用とそれに伴う環境汚染
現状、リサイクル困難な材料であること
皮革製造のサステナビリティ:環境に配慮した皮革製品
上記のように皮革製品の製造は、従来、大量のエネルギー消費や有害な化学物質の使用を伴うことが多いです。しかし、現在ではこれらの製造工程を見直し、環境への影響を低減した皮革製品が徐々に登場してきています。
植物タンニンなめし: 一般的に皮革のなめし工程では、クロムという重金属が使われます。しかし、植物タンニンなめしでは、文字通り植物性のタンニンを使用することで、このような有害物質の使用を避けることが可能です。
バイオベースの合成皮革: PUやPVCといった化学物質を用いた合成皮革の代わりに、植物由来の素材を用いたバイオベースの合成皮革が開発されています。弊社が製造しているRINGO-TEXもこのバイオベースの合成皮革に分類されます。
皮革製品のリサイクル:廃棄される皮革製品を細かく粉砕し、原料として再利用する取り組みです。天然皮革が主流でしたが、現在では研究が進み、合成皮革のリサイクルも実施されています。
まとめ
本記事では、天然皮革と合成皮革の基本的な違いから、製造工程における環境への影響等について解説しました。
りんご搾汁残渣を再利用したRINGO-TEXも新たな選択肢の一つになれるよう、研究開発に取り組んでおります。
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R&Dスタッフ yuya