中国・瀋陽 紅白が美しい羊肉の火鍋
火鍋といえば中国東北地方の料理というイメージがある。今回滞在中に何回か火鍋を食べる中で、火鍋と一言で言ってもいろんな流派があることを知った。瀋陽ではモンゴル風?らしき羊鍋屋さんにお邪魔した。
店の中に入ると広いフロアが広がっており、あちこちの鍋から湯気が立ち上っている。片隅のテーブル席に腰を下ろすと、真ん中には可愛い絵柄で独特の形をした鍋が置かれていた。店員さんがきて鍋に出汁と棗や干しエビを入れて去っていく。しばらくすると、薄切りの羊肉がずらりと盛られた扇形の台が運ばれてきた。真っ赤な赤身と真っ白の脂肪が鮮やかだ。中でも、その扇形の台の方々に、花を添えた真っ白の肉が盛られている。この白い肉は羊のお尻の方の肉だとか。モンゴルではこの白い肉を最初に鍋に入れてスープを美味しくしてから食べ始めるらしい。早速鍋に放り込んだ。
「肉を食べる前にこれを食べよう」と手元に回してもらったのは羊肉の焼きまんじゅうみたいなもの。ドーム型のまんじゅうの中には羊肉がギュッと詰まっていて、こんがりと焼けた黄金色の表面がつやつやに光っている。「これは成形した後に熱々に熱した窯の内側に貼り付けて焼くんだよ」と教えてもらった。この焼きまんじゅうには鮮椒醤をつけて、にんにくの酢漬けと一緒に食べるのがおすすめなんだとか(確かに美味しかったが、そこに置いてあった鮮椒醤がなんなのかいまだに自分はわからない)。一緒に注文していた羊肉串も食べていたのだが、ふと手元を見ると串の柄が不思議な形をしている。羊の骨をそのまま材料にして作られているらしかった。なんだか味のあるデザインで、素敵だった。家に串は正直いらないけど、これでフォークやナイフを作ったらかっこいいだろうな。
みんなであっという間に羊肉を平らげてしまい、その間15分くらいだったように思う(早すぎる)。名残惜しい気持ちもありつつ、店を後にした。
<あぽりんメモ>
▪️こういう店には大概タレ調合台みたいなものが用意されていて、皆思い思いに自分の好きなタレを作る。とはいえ、私は何を入れたらいいのかバリエーションを持っていないので、いつもにんにくと韮花醤(にらの花の塩漬け)、腐乳汁(豆腐を発酵させたもの)、ねりごま、ごま油、胡椒油、ラー油、すりごま、ネギ・・というワンパターンになってしまう。でも台には「蛙油、粘菇醤、沙茶、牛肉醤、香辣油・・」と知らない調味料がずらずらとあって・・すごくすごく気になる。全部試す時間もなく、結局「これがMyタレだ!」と言える新たなタレは今回も作り出せなかったのだった。せっかくだから全部試したらよかったな・・
▪️余ってしまった焼きまんじゅうが半分だけ残っていたので、家に持って帰ろうと思って帰り際に店員さんに「包んで欲しい」とお願いした。とその時、店員さんと私の間でお皿の受け渡しがうまくできなくて、持って帰る予定の焼きまんじゅうが私達の足元に転がってしまったのだった。「ごめんなさい!余ったから持って帰ろうと思ってただけなので、もう大丈夫です。ありがとう(汗)」と私がいうと、店員さんが「待っててください!」と言い、まるまるひとつ分の焼きまんじゅうを急いで包んで持ってきてくれた。しかもわざわざ半分に切ってくれている。量が増えている上になんて親切なんだろう・・と感動した。