くるり 『感覚は道標』
くしゃみから始まるくるりの最新作『感覚は道標』をレビューしていく。出だしからかなりロック色を強く感じた。サウンド面だけでなく岸田さんの発生、歌い上げにも現れているからだろう。
1曲目は「happy turn」。happy turnはあの亀田製菓のハッピーターンのことで並べて炭酸飲料のドクターペッパーも登場する。続いてジョージクルーニーがネームドロップされ、やはりアメリカが感じられ、個人的にはユーモラスな歌詞が好きだった。
2曲目は「i'm really sleepy」。「ほんまに腹たつ」というネガティブから始ま理、ネガティブな描写が続くが結局は「一旦寝て忘れよう」スタンスなのではないかと思った。嫌なことがあったら聞こうと思った。
3曲目はこのアルバムで一番好きだった曲だ。ゆったりした曲調だタイプだった。後半の「朝陽は平等に平等に、誰の前でも心を照らしていつかは灰になる心の隅まで照らして埋もれてしまうまで、いかようになるようになるまで〜」の箇所には感動した。
4曲目は「California coconuts」。シングルカットされていて何度か聞いたことがあったので耳馴染みがよかったがシングルカットされているだけあって、やはり良曲であった。「もし僕の体が動かなくなる日がきたら、、、」という考えたくない未来の深刻な問題とも向き合うが、朝日がそんな悩みを払いのけるだろうという段々とあったかくなってゆく楽観的な曲だ。スキマスイッチの全力少年感があってとても良かった。
5曲目は「window」。インタールード的な落ち着いた曲だった。「心の窓辺のレンズは曇るから、window clean clean〜」とあるからか心が浄化されてゆくような気分になった。
6曲目は「LV69」。アルバム冒頭の「happy turn」の感じが戻ってき、ロッケンロールを感じたがかなり穏やかな印象があるくるりがかなり攻めたことを言っているように感じた。サブディビジョンなど専門用語はよくわからないが、「息も臭え」「中身ないことあるように見せて」など攻めたことを言っているのは間違いなさそうだ。後半はまるまるインストでバグパイプ的な音が響いた。
7曲目は「doraneco」。ネコの人間への接し方的なものを書いたのではないかと思我可愛い曲だなと思った。「居ても居なくてもわからないほど、冷めた関係」と悲しいフレーズだが、最後には「なんとなく気になる関係、いつもごめんね」とまさにネコの心情を表した歌である。
8曲目は「馬鹿な脳」。これもロッケンロールなサウンドを感じた。「brain brain mu miso 痛みをハートにぶちこんで」という強烈なフレーズで始まる。自分の脳みそに語りかけ得るという面白い曲だと思った。そんなお前の気持ちを知っても、迷って悩んで決めかねて間違うから、いつも涙が止まらない、それでもなんだか忘れちゃいそう、大切な気持ちも」という脳、悩みに対する葛藤が描かれている笑。
9曲目は「世界はこのまま変わらない」。南アフリカ共和国の国歌の現地名も登場し、聞いていただけらばすぐわかるが、かなり社会を皮肉った曲である。it's the war for the other(それは向こう側のための戦争だ)、i just refrain cause lose my faith in you(あなたへの信頼を失ってしまうので控えるだけです)など巧みに英詞で社会を皮肉している。手塚治虫にお漫画のタイトルともなった「グリンゴ」という日本人のステレオタイプ的な社会問題のテーマも登場した。
10曲目は「お化けのピーナッツ」。不気味なサウンドでゲゲゲの鬼太郎を彷彿とさせる。「お化けがくるよ!!」の箇所は独特の緊迫感が走った。
11曲目は「no cherry no deal」。こちらは珍しく全編英詞の曲だ。チェリーはなんのことかわかる方がいらっしゃいましたらコメントの方へお知らせください。
12曲目は「In Your Life(Izu Mix)」。こちらもシングルカットされていた曲の伊豆でミックスされたものだと思われる。冒頭ではスティーリー・ダンをネームドロップしていて、「あの場所へ向かえば、あの痺れるような出会いを思い出せるかな」はくるりの結成当初への原点回帰を表しているのではないかと思った。
13曲目、最後を締めくくる曲は「areha」。アコギを主とし夢現のような、波の音と共に消えていく黄昏のようなアルバムのフィナーレに相応しい楽曲だった。
このアルバムはロカビリー的な色も見受けられ、基本的にポジティブで良い意味で力が入っておらず、アルバムタイトルからして、感覚的に、気軽に聞けると思った。聞いていくうちに気づいた事があればまた追記したい。