27歳独身女のひとりごと 痔編③ 診察編-再診と手術のケツ意-
再診
5月。
前回の診察から約半年が経ってしまった。
つくづく思うが、私のケツ意は固いのか弱いのか分かったものではない。
やはり少し間が空いてしまうと、乙女の羞恥心が肛門のミニキノコの如くひょっこりと顔を出してしまうのだ。
やれ忙しいだ、旅行だ、生理だと理由をつけて行かなくなってしまった。
(※おそらく生理だから行けないというわけではない。私が探しに探した行かない言い訳である。)
そしてまた「今しかねぇ!」の波が来た。
特に大した理由はないのだが、仕事関係でほんの小さなきっかけがあり、再度治療を誓ったのだ。
前回、治療途中でぶっちしてしまった形である。
優しそうな医者の東京03豊本も、さすがにブチギレてしまうのではないか。
M肛門科に三行半を突きつけられ、ミニキノコ諸共路頭に迷う生活に逆戻りになる想像をしながら、M肛門科に向かった。
「すみません、仕事が忙しくてなかなか来れずで」
もはやドアを開けながら喋りだした私に豊本は優しかった。
「症状なにかでてきました〜?」
とカルテを見ながら話しかけきた。
症状は出ていない。
出たのは勇気である。
また尻穴を見せる診察から始まった。
看護師さんに「あっ!膝下までで大丈夫ですよ!」と声をかけられる。
また私が全部脱ごうとしていたのだ。なんとデジャブ。
看護師さんの声掛けの速さはまさに疾風雷神であった。もしかして私のカルテに「下半身を出しがち」と書いてあったのかもしれない。
そしてまた尻カメラを入れ、何枚か撮影してサクッと診察は終わった。
私の尻穴も久方ぶりの入口としての仕事を果たし、満足気であった。
手術のケツ意
「これは慢性の切れ痔だねぇ」と診察台に戻った豊本が言う。
私の尻穴と尻中の写真がアップにされており非常に恥ずかしい。
脱毛に通っていたので、幸いOラインの毛はほぼなかった。
1本を除いて。
生き残った1本が1枚の写真の中に写ってしまっており、非常に恥ずかしい。今すぐ消してはくれまいかと願うが、無情にもそれは診察において非常に重要な写真であった。
肛門科に行く方は、完全に剃毛するか完全に自然派にすることをオススメする。
「切れ痔の手術をした方がいいと思うよ、する?」と豊本。
「見張りイボは取れますか?」と私。
話が噛み合っていないようにみえるが、絶妙に噛み合っているのである。
私にとって大事なのは切れ痔ではなく、ミニキノコである。
「そうだねぇ、取れるよ。手術と一緒に取ってしまおうか」
この一言で完全に手術をケツ意した。
「やります!」と宣言して、覚悟を決めた。
再度、尻穴も引き締めた。
「いつにする?空いてるところは2週間後くらいからだから5/22から予約できるけど」
と言われ、スケジュール帳を見ようとしてはたと気がついた。
財布とスマホのみ、手ぶらで来てしまっており、スケジュールが全く分からないのだ。手術を頼んでいる身でありながら無礼千万。
「すみません、今ちょっとスケジュールが分からなくて…家帰って連絡「仮でいいから取っておこうか、あとから変えてもいいからね」」豊本が被せてきた。
それもそうだ、私には前科があるのだから。
「じゃあ5/31でオネガイシマ「5/31ね〜時間はどうする?」」
この押し、訪問販売であれば泣いている。
ただ、これくらいの押しが無ければ私はまたミニキノコと共に振り出しに戻るのだ。
5/31がXデーと決まり、私は手術前検査へと向かった。
手術前検査
手術前検査といっても採血のみの簡単な検査であった。
採血をされながら、手術前日・当日の過ごし方や注意点などを、優しそうな看護師さんに説明された。
私の緊張を解すようにニコニコと話しかけてくれるのがとても有難い。
「手術ね、とっても緊張すると思うんですけど、色んな人がやってる手術だから大丈夫ですよ〜なんなら今日も昼間手術してたんですよ〜」
「金曜日手術なんですよね…土日はおやすみなんですか?うんうんそれは良かったです。土日あればねぇ、なんとか寝れるねぇ」
ん????なんとか寝れる???
「えっなんとか寝れるとは…?」
と聞き返しましたらば、看護師さんが少しバツの悪そうな顔をなさった。
「痛みは本当に人によるんだけどね、たまに夜寝られなかったわ〜って人もいるのね…まぁちょっとね、うん。痛いかもしれないですねぇ…」
まじですかい。
痛いと分かっていて臨むのは、落ちると思って臨むバンジージャンプと同じである。両者は気持ちこそ同じだが、全く似て非なるものである。
私はバンジージャンプは飛べないが、痛いと分かっている手術は臨める、というか臨まざるを得ない。先程、豊本と約束したばかりである。
どれほど痛いのだろうか、私は耐えられるのだろうか、先人達はどうやって乗り切ってきたのだろうか…
悶々とした気持ちを抱えたまま帰路についた。
そこから私の検索欄は「痔 手術」「痔 手術 痛み」等々、痔に関することで埋め尽くされるのであった。