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【一問一答】兵庫県・斎藤元彦知事 定例会見 2月19日(水)午後3時~
本記事は、2025年2月19日(水)に行われた兵庫県・斎藤元彦知事定例会見の内容をtranscriptで文字起こし後、原文の主旨は変えずに、読みやすいよう編集を加えたものです。
なお、斎藤元彦知事をめぐる公職選挙法違反の疑いについてフォーカスしているため、それ以外の質疑応答については文字起こしをしていません。
また、実際の会見では複数の記者が質問を行っていますが、媒体名・記者名などは省略しています。
ではさっそく会見内容を見ていきましょう。
――二馬力選挙についてです。先日、19の府県の知事が、ポスター掲示枠の販売や二馬力選挙を含めた問題を提起し、総務省や政府に対して本格的な対策を求める提言をまとめました。主張の内容としては、二馬力選挙について、選挙ビラやポスターの配布が選挙管理委員会の候補者1人あたりの数量制限に抵触する恐れがあることや、応援を受けた側に対しても国民の疑念を招く可能性があるといった指摘がなされています。この提言は知事有志によるもので、個人的なつながりを通じて鳥取県知事が呼びかけ人となり発信したものと聞いています。そのため、斎藤知事には当初、声がかからなかったとも伺っています。この提言について、斎藤知事としては賛同できるものとお考えでしょうか?
あのアピールの内容については、報道等で承知しています。選挙制度については様々な意見がある中で、有志の方々が中心となり、政府に対して対応を要望されたものだと思います。社会情勢の変化に応じた選挙制度の改正についてはもちろん、公正で適正な選挙を実施することが重要なポイントだと考えています。そういった意味でも、今後必要があれば、政府や国会において議論を進め、法改正などの対応につながっていくのではないかと思います。
――必要があれば法改正などの対応がなされるべきだというご回答だったかと思いますが、斎藤知事としては、一般論として二馬力選挙というものが法に照らして問題があるとお考えでしょうか?
そこについては、国、具体的には総務省や政党が見解を示していくことになると思います。私としては、選挙制度については様々な意見があると考えています。選挙の状況を踏まえ、公正で適正な選挙のあり方を模索することが重要だと考えています。
――SNSでの誹謗中傷に関連してですが、村上総務大臣が昨日の衆院総務委員会で、竹内秀明元県議がネット上で誹謗中傷を受け、その後亡くなったことに関する質問に対し、「政治に携わる者として、ああいったことが起これば正論も本音も言えなくなり、民主主義の危機だと感じる」と答弁されました。知事も同じ思いでいらっしゃいますでしょうか?
そうですね。政治家というものは、選挙を経て区長や議員として活動することになります。もちろん、自身の主義や主張をしっかり伝えていくことが重要なポイントですが、その中でSNSにおける誹謗中傷というものは大きな問題だと考えています。特に、誹謗中傷や事実に基づかない発信は決して良いものではなく、こうした行為がないようにしていくことが大切です。そのため、2月の補正予算においても、SNSでの誹謗中傷の抑止に向けた普及啓発キャンペーンの経費を計上しました。こうした取り組みを通じて、私自身も県民の皆さんやSNSを利用される方々に対し、適切な使い方を心がけていこうというメッセージをしっかり伝えていきたいと考えています。
~別件に関する質疑のため中略~
――今朝からの報道で、百条委員会が現在まとめている報告書の案について、公益通報の初動対応が違法である可能性があると指摘し、また、知事に関する疑惑について概ね事実とする内容が含まれているとの報道がありました。この報道について、知事の受け止めをお聞かせください。
百条委員会から正式な報告書が提出されていない段階ですので、コメントは差し控えたいと思います。
――報道については承知されているということでよろしいでしょうか?
報道は目にしていますが、いずれにしても会議の内容や資料はまだ公に出ていないはずです。そのため、正式な報告書が提出されていない現時点でのコメントは差し控えたいと考えています。
――分かりました。少し関連する内容になりますが、パワハラについてお伺いします。すでに県の内部調査の結果を受け、知事を含む幹部職員への研修などの対応策が示されているかと思います。その上で、もし百条委員会からパワハラについて何らかの指摘があった場合、現在の対応策に加えてさらに新たにできる対応があるかどうか、知事のお考えをお聞かせください。
百条委員会の結果報告がどのような内容になるか分からないため、現時点ではコメントができないというのが正直なところです。先日の公益通報の結果を踏まえ、ハラスメント研修を実施していく予定です。年度内、もしくは年明けの人事異動後、新しい体制になってからの実施となる可能性もありますが、研修をしっかり行うことが、まずは取り組むべき対策の一つだと考えています。そのため、この研修を確実に進めていきたいと考えています。
――もう一点、一般論としてお伺いしますが、一度なされた懲戒処分を撤回することは可能でしょうか? また、可能である場合、どのような条件があれば撤回できるのでしょうか?
一般論について現時点でコメントする材料がないため、明確な回答は難しいですが、基本的には懲戒処分を受けた場合、不服があれば処分を受けた本人が人事委員会に不服申し立てを行い、その審査を受けることになります。それでも納得できない場合は、裁判に進むというのが、人事に関する懲戒処分に対する一般的な対応だと考えています。
――二馬力選挙に関してですが、まず事実確認をさせてください。19名の知事が声明を発表されましたが、知事がこの声明に加わらなかった理由について、改めてお聞かせいただけますでしょうか?
(企画部広域調整課担当者より)本件については、各所の報道を通じて今回の声明を承知しました。鳥取県にも確認しましたが、今回の声明に関しては、知事に対して特に声かけがなかったと伺っております。
――現在、千葉県知事選挙が話題になっていますが、千葉県知事は二馬力選挙について「迷惑だ」と発言されたとの報道があります。そこで、知事は前回の知事選の際に、なぜ二馬力選挙を断らなかったのか、その理由を教えていただけますでしょうか?
これはこれまでの会見でも述べていますが、私は前回の知事選挙において、前々回の不信任決議を受け、大変厳しい判断の中で失職を選択しました。組織や政党の支援がない中、まさに一人からのスタートとなり、大変厳しい選挙戦でした。そんな状況の中で、私は何よりも自分自身ができることに集中し、1日1日を必死に戦ってきました。そのため、他の候補者のことというよりも、自分が何をできるかを懸命に考え、取り組んできたというのが、今回の選挙戦における私の状況でした。
――他の候補者が、知事を応援する目的で立候補しているという話は、選挙期間中に耳に入っていましたか?
繰り返しになりますが、私は自分自身の選挙に必死だったため、他の候補者がどのような主張をしているのかについて、詳しく把握する余裕はありませんでした。ただ、討論会の場では他の候補者と同席する機会もあり、それぞれがどのような主張をしているのかを聞くことはありました。
――ご自身の選挙に必死だったことは理解していますが、それでも、他の候補者が知事を応援することを目的に立候補しているという状況について、違和感を覚えることはありませんでしたか?
繰り返しになりますが、私は本当に必死でした。日々の政治活動、そして告示後の選挙活動を含め、毎日自分が何をできるかに全力を尽くしていました。告示後の17日間は、そのことだけを考え、選挙に臨んでいました。それが、私にとってのすべてでした。
――立花孝志さんについてですが、斎藤知事はこれまで「個人的には知らない」とおっしゃっています。しかし、知事当選直後のネット番組で、立花さんについて以下のように発言されています。「公益通報の問題、内部告発の問題をご自身で取り組まれており、その観点から問題の本質を非常に的確に捉えておられる。私が考えていたことと同じことを立花さんが発言されていたので、その点に非常に共感した。」現在も、立花さんに共感するというお考えに変わりはありませんでしょうか?
はい。確かに、インターネット番組の中で公益通報の問題について話しました。内部通報や外部通報の考え方について、私がそれまで整理し、考え、主張してきたことと、立花さんが発言されていた内容が同じだったため、その点において思いを共有していたという趣旨で申し上げました。
――11月1日に、維新の岸口さんが立花孝志さんと会談された件についてお伺いします。これは知事選の期間中の話になりますが、この件に関する文書が立花さんに渡されていたという報道が出ています。まず確認ですが、知事は当時このような動きについて耳にされていましたでしょうか?
知らないですね。
――確認ですが、この件には一切関与されていないということでよろしいでしょうか?
はい、関与していません。
――岸口さんは、維新の内部調査に対し、自身が百条委員会の副委員長である立場上、選挙期間中に立花さんと会うことは軽率だったと述べています。この点について、知事はどのようにお考えでしょうか?
その点については、私がコメントする立場にはありません。岸口さんご自身がコメントされるべき事柄だと思います。
――この件についてお伺いしているのは、先ほどから話題に出ている二馬力選挙に関連してです。今回の文書に関しても、二馬力選挙に関与する立花さんが知事選の期間中に実際に関わっていた可能性があり、結果的に知事にとってプラスになった可能性があるのではないかと思います。その点について、受け止めをお聞かせください。
どういった文書が渡されたのかも知らないため、コメントのしようがありません。
――岸口さんと立花さんの面会には、民間人の方も同席されていたようですが、この方は知事と何らかの関係がある人物でしょうか?
そもそもその件自体を知らないので、関係があるかどうかも分かりません。
――百条委員会の報告書の受け止めについてお伺いします。今後、第三者委員会の報告書も予定されていますが、百条委員会の報告書は3月上旬に公表される見込みです。この報告書において、知事自身の行動や問題点が指摘された場合、それをどのように受け止め、ご自身の行動や姿勢の改善に生かしていくお考えでしょうか?
その報告書とは、具体的にどの報告書を指していますか?
――百条委員会の報告書が公表された後に、第三者委員会の報告書と照らし合わせたうえでご自身の行動に反映させるのか、それとも百条委員会の報告書だけでも、ご自身の行動に反映させるお考えはありますか?
百条委員会の正式な報告書がまだ出ていない段階ですので、対応については報告書を確認したうえで判断すべきだと考えています。現時点ではコメントを差し控えたいと思います。
――報告書には、知事のパワハラに関する指摘も含まれる可能性があります。パワハラに該当するかどうかについては、知事は以前「最終的には司法の場で判断される」とおっしゃっていましたが、そのお考えに変わりはありませんか?
そうですね。パワハラに該当するかどうかについては、基本的に司法の場で判断されるものと考えています。
――また、公益通報者保護法違反の可能性についても、報告書に記述される可能性があります。この点についても、最終的には司法の判断によるとお考えでしょうか?
そうですね。同じ考えです。百条委員会でも複数の有識者が「司法の判断になる」と述べていましたし、私も同様に、司法の場での判断が重要だと考えています。
――では、仮に百条委員会の報告書に「パワハラに当たる」あるいは「公益通報者保護法に違反する可能性がある」といった記述があったとしても、すぐに何らかの行動を起こすことはないということでしょうか?
そのような仮定の話については、正式な報告書が公表された後、その内容を精査してから対応を考えるべきだと思います。ただ、いずれにしても、風通しの良い職場づくりは重要だと考えており、研修の実施などの取り組みはしっかり進めていきたいと思っています。
――二馬力選挙についてお伺いします。先ほど企画部の方から、「そもそも声かけはなかった」との説明がありましたが、知事ご自身の考えをお聞かせください。19の府県知事が要望を提出した中で、なぜ兵庫県には声がかからなかったのかについて、どのようにお考えでしょうか?
それについては、呼びかけ人が平井知事ですので、平井知事にお聞きいただくのがよいかと思います。いずれにしても、選挙制度については様々な意見がある中で、有志の方々が国に対し早急な対応を要望されたものと受け止めています。公正かつ適正な選挙の実施は重要であり、その点については私も共感しています。必要があれば、法改正などを政府・与党や国会でしっかり議論し、対応を進めるべきだと思います。
――先ほどもおっしゃったように、社会情勢に応じた制度改正は大事であり、一部共感する部分もあると述べられました。しかし、それとは別に、今回、約半数の知事がこのような申し出を行ったことについて、率直にどのようにお感じでしょうか?
やはり、それだけの思いを持たれている方々がいるのだと受け止めています。公正かつ適正な選挙制度は民主主義の根幹であり、そのために政府へ要望を行い、政府や国会で議論を進め、必要な法改正などの対応を検討していくという思いを伝えられたのだと理解しています。
――次に、百条委員会の報告書についてお伺いします。3月上旬を目処に報告書が取りまとめられる予定ですが、まだ内容は非公開の場で協議が続いています。最終段階に入るこのタイミングで改めてお聞きしますが、今回の文書問題に関連し、知事ご自身のパワハラの認識について、お考えをお聞かせください。
そうですね。厳しい業務の中で、仕事を進める上で「こうしてほしい」「こうすべきではないか」といった注意や指導を行ったのは、より良い県政を進めるためでした。私の口調が厳しかった面があったかもしれませんが、業務上必要な範囲で行ったものと認識しています。この点については、これまで申し上げたことと変わりません。
――文書の中で指摘されている公益通報者保護法についてですが、知事は違反していないと一貫しておっしゃっています。この点についても、改めて現在の認識をお聞かせください。
そうですね。県の対応は適切であったと考えています。
~別件に関する質疑のため中略~
――第三者委員会についてお伺いします。先週の会見で、第三者委員会は3つあり、そのうち2つについては調査結果が出た段階で公表可能な範囲で公表したいとおっしゃっていました。しかし、調査結果の公表範囲を県が決めるのであれば、外部に委託したとはいえ、内部調査と変わらないのではないかという指摘もあります。改めて、公表の方針に変更はないでしょうか?
そうですね。調査結果をすべて非公表とするわけではなく、公表できる内容についてはできる限り公表するという方針です。ただし、人事上の内容にも関わるため、その点を考慮しつつ、公表可能なものについてはしっかり公表していくという姿勢で対応していきたいと考えています。
――先ほどの第三者委員会に関する質問に関連してですが、昨日、服部副知事が議会側に対し、現在設置されている3つの第三者委員会について説明を行ったと聞いています。その際、議会側からは要綱や委員会の構成など、公表可能な部分については現時点でも明らかにすべきではないかという要望があったようです。この点について、今後、報告書を公表する際に、公表できる範囲を検討していくということでよろしいでしょうか?
はい。そのように考えています。すべてを非公表とするわけではなく、調査結果が明らかになった際に、公表すべきタイミングで公表できる内容については要綱等も含めて公表を検討していきたいと考えています。
――現在、要綱などの公表については情報公開条例の制約もある状況だと思いますが、その点に対して透明性の不足を懸念する声もあります。これについてはどのようにお考えでしょうか?
今回の第三者調査委員会は、懲戒処分や法令上の対応が生じる可能性があるため、その過程の内容については非公表としています。しかし、調査結果が整理された後には、公表すべきタイミングで、可能な範囲で公表を行うことを検討していきたいと考えています。
――報告書の公表時期についてですが、現時点では年度内を目処にされていると聞いています。そのスケジュールに変更はないでしょうか?
そうですね。調査の進捗状況を踏まえながら判断していく必要があると考えています。
――立花孝志氏の文書についてお伺いします。知事は、この文書をまだ読んでいないのでしょうか? 非常に重要な内容が記載されており、報道特集でも取り上げられています。文書には、竹内県議を「百条委員会の印象操作をした黒幕・主犯格」と批判し、攻撃を誘導するような内容が書かれていますが、それでもまだご覧になっていないのですか?
そうですね、私は読んでいません。
――これほど重要な文書が報道でも取り上げられているのに、なぜ読まないのでしょうか? さらに、片山元副知事が現れる予定だったホテルに、代わりに岸口県議が現れてこの文書を渡したとされています。片山元副知事がこの文書を作成した黒幕・主犯格の可能性が高いと思いますが、なぜ読んで片山氏にすぐ確認しないのでしょうか? 聞き取り調査を行う考えはないのですか?
私はその件について詳細を把握しておらず、当事者でもないため承知していません。
――すぐに読もうと思えば読めるのではないですか? 文書には、「百条委員会の印象操作をした黒幕は竹内」と明記されています。これについてどう思われますか? また、この文書が片山元副知事が現れる予定だったホテルで岸口県議によって渡されたことについて、立花氏自身は「岸口県議に騙された」と発言しています。つまり、嘘の情報を元に誹謗中傷の街宣を行ったと証言しています。知事は誹謗中傷は良くないと発言されていますが、自らの側近がこの文書を作成し、立花氏に渡して誹謗中傷を引き起こした可能性について、なぜ調査しようとしないのですか?
おっしゃっている内容がよく分からないため、コメントは控えさせていただきます。
――一般論として、誹謗中傷や事実に基づかない情報発信は良くないとおっしゃっています。しかし、知事選の最中にこのような誹謗中傷の文書が作成され、「百条委員会の印象操作をした黒幕は竹内」と明記されているのです。こうした誹謗中傷が結果的に竹内県議を追い詰めた可能性もあるのではないでしょうか? また、その誹謗中傷の街宣を行った立花氏自身が「岸口県議に騙された」と言っているのです。これを調査しないのはおかしくありませんか? 片山氏に聞き取り調査をする考えはないのですか?
私はその文書についても内容を存じ上げていませんし、詳細を把握していないため、コメントは控えさせていただきます。
――今、私が読み上げた内容を聞いた上で、片山氏に聞き取り調査を行う考えはありますか?
私はその文書も内容も存じ上げておりません。
――今読んだ内容を踏まえてどう思うかをお聞きしているのです。
当事者ではないため、コメントのしようがありません。
――しかし、知事を守るために片山氏がこの文書を作成した可能性が高いのではないですか?
繰り返しになりますが、その点についてのコメントは控えさせていただきます。
――最後に、6月29日のLINE(注1)のやり取りについて確認されましたか? 携帯電話ですぐにチェックできるのではないですか? 捜査機関に提出されたのでしょうか?
おっしゃっていることがよく分かりませんので、お答えしかねます。
――年末に週刊文春で報じられた「既読LINE」のことです。これは、知事が情報漏洩を把握していた決定的証拠と報じられました。今ここで携帯を確認すればすぐに分かることですが、なぜ確認しないのですか? 捜査当局に携帯を提出したのですか?
おっしゃっている内容がよく分からないため、お答えしかねます。
――二馬力選挙について、先ほど知事は、「選挙制度については様々な意見がある」と述べられましたが、これはご自身の見解として発言されたものでしょうか? 知事は二馬力選挙を否定していないという理解でよろしいでしょうか?
様々な意見があるということです。
――つまり、二馬力選挙が「良くない」とは考えておらず、それを肯定する意見もあるという意味で発言されたということでしょうか?
それは様々な意見があるということで、そういう意味ではなく、いろいろな指摘があるということだと思います。
――つまり、知事ご自身としては二馬力選挙を否定しないということで理解しました。また、先ほど「なぜ二馬力選挙に気づかなかったのか」という質問に対し、知事は失職当時のことに触れ、「県議全員が不信任に賛成し、誰も味方がいない中で一人で戦い始めた」と述べられました。その後、「一生懸命やった」とおっしゃいましたが、前段の発言を含めると、「味方がいなかったから二馬力選挙を利用してもよい」とも受け取れるニュアンスに聞こえました。そういう意味で発言されたのでしょうか?
そういうニュアンスではありません。厳しい不信任決議を受けたため、前回の選挙では自民党や維新の会からの支援を受けましたが、今回はそれが得られない状況でした。そのため、非常に厳しい選挙を一人で戦うことになったというのが、今回の選挙の状況であり、その点をお伝えしたということです。
――SNSの誹謗中傷について、先ほど知事は「私自身もSNSの良い使い方を発信していきたい」と述べられましたが、これは知事ご自身が批判されている記者や関係者に対し、「私を擁護する目的で誹謗中傷するのはやめてほしい」と発信するお考えはないのでしょうか?
これまでも申し上げている通り、SNS上の誹謗中傷はすべきではないと考えています。そのため、あらゆるSNS利用者に対して、適切な使い方を心がけるよう発信していきたいと思っています。
――第三者委員会の予算について、前回の会見で、知事は「第三者委員会の予算は人事課や法務文書課の規定の予算内で対応できる」とおっしゃっていました。しかし、財務省や他県(秋田・千葉など)を取材したところ、通常、各課に3,000万円規模の予算が確保されていることはなく、そうした運用は行政機関では珍しいとのことです。兵庫県ではそのような予算運用が行われているのでしょうか? もしそうなら、年度末に多額の不要額が各課から出ることになりませんか?
各課や部署には、それぞれ必要な事業に応じた予算が確保されており、その状況に応じて不要額が発生することはあります。そのため、規定の予算内で対応できる場合はその範囲で処理し、不足する場合は2月補正予算などで補正対応を行うことになります。今回の件についても、規定の範囲内で検討しつつ、必要があれば補正で対応する形になると思います。
――では、現時点では補正予算には含まれていないということでしょうか?
そこについては、財政課で整理を進めているため、現段階では明確にお答えできません。
――ただ、知事は「規定の予算で回れば回るし、必要なら補正を行う」とおっしゃいましたが、昨年の2月時点で当初予算を作成した際、この文書問題や告発問題はまだ発生していませんでした。その後に発生した第三者委員会の費用(推定3,000万円規模)が、人事課や法務文書課の予算内で賄えるのですか?
(財政課担当者より)第三者委員会に関する費用のうち、関西委員会に関するものは予備費で対応しています。それ以外の人事課・法務文書課については、規定の予算の中で可能な範囲で対応しています。ただし、不足が生じる場合は2月補正予算で計上する予定であり、現在調整を進めています。
――しかし、すでに調査委員会が設置され活動を始めているにもかかわらず、予算がまだ決まっていないということですか?
基本的に、予算については一定の流用が可能であり、事務費的な部分については既存の予算で執行できるため、特に問題はないと考えています。
――先ほどの質問に関連してお伺いします。19の府県知事とは別に、大阪府の吉村知事も「二馬力選挙はシンプルにおかしい。法改正すべきだ」とコメントされています。全国の知事の中でも、吉村知事とは上司・部下の関係だった時期があり、また万博に関する連携もされているなど、関係が深いと思います。その吉村知事がこうしたコメントを出しているということは、知事が再選を果たした選挙が、法的に問題があるとは言わないまでも、公正ではなかったと見られている証拠とも言えるのではないでしょうか? これについてどのように受け止めていますか?
吉村知事の発言を直接聞いていないため、コメントは控えます。報道での内容は承知していますが、私は直接その発言を聞いたわけではないため、具体的なコメントはできません。ただ、公正かつ適正な選挙を実施していくことは非常に重要だと考えています。
――ご自身の選挙が公正でなかったのではないかという疑念が広がっていますが、それについてはどのようにお考えですか?
私は、今回の選挙で県民の皆さんから多くのご支援をいただきました。有権者の皆さんにとって、投票は大切な行動です。投票所に足を運ぶこと自体、大変な労力を伴うものですが、一票一票の選択は、県民の皆さんがしっかりと考えた上で投じられたものだと思っています。その結果として、私を支持していただいたと考えています。
――先ほど、知事は2012年の初出馬の際に、自民党と維新の支援を受けたとおっしゃいました。今回の文書問題や、岸口県議の問題についても、背景には知事と維新の関係があると見られています。今回の選挙では維新からの支援はなかったものの、一部の議員が他の候補を応援する動きもありました。こうしたことが、知事と維新の関係の影響として捉えられています。知事は、初当選時に「自民党の軸を持ちながら、維新の改革スピリットをしっかり実践していく」とおっしゃっていましたが、現在の日本維新の会・大阪維新の会・兵庫維新の会に対する評価や、知事ご自身の立ち位置について、どのようにお考えですか?
今回の選挙では、維新から推薦はいただいていませんでした。そのため、特にそうした関係はありません。ただし、県議会においては、維新が一定の議席を持っており、教育の無償化や未来への投資、行財政改革などについて貴重な提言をしていることもあります。政策によっては、しっかり説明し、理解を得る努力をする必要がありますし、ケースバイケースで連携しながら政策を推進していく考えです。
――つまり、初当選時からスタンスは変わらないということでしょうか?
私は無所属であり、今回も無所属として立候補しました。自分が実現したい政策に対し、賛同を得られることもあれば、そうでないこともあります。そのため、政策や取り組みに応じて、連携すべきときは連携し、議論が必要なときはしっかり議論を交わしながら、県政を前に進めていきたいと考えています。
――しかし、世間的には「斎藤知事は維新の知事」という見方が広がっています。このイメージについては、どのように受け止めていますか?
私は無所属です。
――二馬力選挙についてお伺いします。知事は、「選挙期間中は一生懸命だったので、立花さんが何を言っていたのかも分からない」とおっしゃいましたが、具体的にどのようなことに力を入れていたのか、内容を詳しく教えていただけますか?
そうですね。今回は政党や組織の支援がない中でのスタートでしたので、駅での街頭活動や朝の駅立ちから始めました。当時、メディアの報道も厳しい状況でしたが、私は県民の皆さん一人ひとりに直接お会いし、できる限り自分の考えを伝えることに注力しました。そのような活動を中心に進めていました。
――つまり、駅立ちと街頭演説に力を入れたという理解でよろしいでしょうか?
はい、その通りです。
――なるほど。SNSの活用ではなく、直接の対話に重点を置かれたということですね。
はい。
――次に、最後の質問になります。岸田総理が、亡くなった元財務省職員・赤木さんのお墓に参る意向を表明されていますが、知事は、亡くなられた元県民局長や竹内議員のお墓にお参りするご予定はありますか?
――そうですね。亡くなられたことについては、今でも大変悲しく思っており、心からお悔やみ申し上げます。すでにこの場でも哀悼の意を表してきましたが、ご家族もいらっしゃることですので、今後の状況を見ながら対応を考えていきたいと思っています。何よりも、心からの哀悼の気持ちと、県政へのご尽力への感謝の気持ちを改めてお伝えしたいと思います。
――ご遺族とは直接お話をされたことはありますか?
私は直接お話ししたことはありません。
――相手があることですし、調整が必要なのは理解できますが、知事の秘書課や関係者がご遺族と連絡を取ることはないのでしょうか?
相手の状況もありますので、元県民局長については人事課などがこれまでも対応してきたと思います。今後については、ご指摘の点も踏まえながら、適切に対応を考えていきたいと思います。
注1)「Aさんが亡くなる前の6月29日、斎藤氏の支援者が斎藤氏にLINEで、「維新の岸口議員が、元県民局長(Aさん)と●●(原文は女性)の不倫関係を暴露してほしくなければ、元県民局長の出頭要求を取り下げろという内容の裏取引を持ちかけてきたとのことです。」とのメッセージを送ったというのだ。 支援者は週刊文春に対し、斎藤氏はLINEを受け取った後も、脅迫行為を止めなかったと証言した。 岸口議員とは百条委副委員長の岸口実県議。報道が事実なら、斎藤氏は6月から情報漏えいを把握しながら放置してきた可能性が出てくる。 会見でこれを問われた斎藤氏は「何のことかちょっとよくわからないんでコメントできません」とかわした。 だが支援者が送ったメッセージには「既読」が付いているという。」
上記の質疑応答を要約すると、以下の通りとなります。
兵庫県知事 斎藤氏の会見要点まとめ
1. 二馬力選挙について
知事の立場
選挙制度には様々な意見がある。
公正で適正な選挙が重要であり、法改正が必要ならば政府・国会で議論すべき。
19府県知事の声明には参加しておらず、声がかからなかった。
自身の選挙では、一人で戦い抜くことに集中していたため、他候補の動向には関与していない。
記者からの指摘
知事が二馬力選挙を否定していないとの見方ができる。
千葉県知事は「迷惑だ」と発言しているが、なぜ斎藤知事は二馬力選挙を受け入れたのか?
知事は、味方がいない状況で厳しい選挙戦だったと説明。
維新の吉村知事が「法改正すべき」と発言しており、公正でなかったとの疑念が広がっている。
2. SNS誹謗中傷問題
知事の見解
SNSの誹謗中傷は問題であり、事実に基づかない発信は好ましくない。
2月補正予算でSNSの誹謗中傷防止キャンペーンの予算を計上。
県民やSNS利用者に適切な利用を呼びかけたい。
記者からの指摘
知事を擁護する目的で誹謗中傷する人に対し、「やめてほしい」と明確に発信する考えはあるか?
知事は「SNS利用者全般に対して適切な利用を促す」と回答。
3. 百条委員会・公益通報問題
知事の対応
百条委員会の報告書が公表されていないためコメントは控える。
公正な職場環境をつくるため、ハラスメント研修を実施予定。
公益通報者保護法違反については、司法の場で判断されるべきとの立場。
記者からの指摘
知事のパワハラに関する指摘が報告書に含まれる可能性がある。
司法の判断を待つのではなく、知事自身の行動を見直す考えは?
公益通報の初動対応に違法性があると報道されているが、認識は変わらないか?
知事は「県の対応は適切だった」と主張。
4. 立花孝志氏との関係
知事の発言
立花氏の発言内容の一部には共感する点があったが、個人的な関係はない。
選挙期間中、岸口県議が立花氏と面会し、文書を渡したとの報道について「関与していない」と否定。
記者からの指摘
文書には「百条委員会の印象操作をした黒幕は竹内」と記載されており、これが竹内氏への誹謗中傷につながった可能性がある。
片山元副知事がこの文書を作成した可能性があるが、なぜ調査しないのか?
知事は「その文書を読んでいないためコメントできない」と回答。
5. 既読LINE問題
記者の指摘
週刊文春によると、6月29日に知事の支援者が「維新の岸口県議が元県民局長の出頭要求を取り下げるよう脅迫してきた」とのLINEを知事に送信。
そのLINEには「既読」がついており、知事が情報漏洩を把握していた可能性があると報道。
記者が「今ここで携帯を確認すれば分かるのでは?」と質問するも、知事は「何のことか分からない」と回答。
6. 第三者委員会・調査報告の公表
知事の方針
3つの第三者委員会のうち、2つについては公表可能な範囲で公表予定。
調査結果が出た際に、公表すべき内容を精査して対応する。
記者からの指摘
調査結果の公表範囲を県が決めることは、実質的に内部調査と変わらないのでは?
公開の方針は変わらないか?
知事は「調査結果を整理した上で、可能な範囲で公表する」と回答。
7. 財政・第三者委員会の予算問題
知事の説明
第三者委員会の費用は、現時点では人事課・法務文書課の既存予算で対応。
不足が生じた場合は2月補正予算で対応予定。
記者からの指摘
通常、行政機関では3,000万円規模の予算を各課が持っていることは珍しい。
なぜ既存の予算で対応できるのか?
知事は「規定の予算の範囲内で対応し、不足が生じたら補正で対応する」と回答。
8. 維新との関係について
知事の説明
知事選では維新から推薦は受けていない。
政策ごとに議論し、必要な場合は連携するスタンス。
記者からの指摘
知事は「維新の知事」と見られている。
維新との関係についてどう考えているのか?
知事は「無所属である」と強調。
9. 亡くなった県職員・県議への対応
知事の発言
亡くなった元県民局長・竹内県議に対し、哀悼の意を表明。
お墓参りの予定は、状況を見ながら考える。
記者からの指摘
遺族と直接話したことはないのか?
県の対応として、遺族と連絡を取る考えはないのか?
知事は「人事課が対応している」と説明。
全体のポイント
二馬力選挙:法改正の議論が必要との立場だが、否定的な姿勢は示さず。
SNS誹謗中傷:防止策を講じるが、支持者の誹謗中傷への明確な抑止発言はなし。
百条委員会報告書:内容を確認後に対応を考えるとし、パワハラ・公益通報問題の違法性は否定。
立花孝志氏・文書問題:関与を否定し、調査する考えは示さず。
既読LINE問題:報道内容について「知らない」と回答。
第三者委員会:公表可能な範囲で報告書を公表予定。
維新との関係:「無所属」と強調するも、維新との関係性を指摘される。
今回の会見で一番印象に残ったのは、村上総務大臣が国会で声を震わせながら答弁された「政治に携わる者として、ああいったことが起これば正論も本音も言えなくなり、民主主義の危機だと感じる」という言葉と、(元県民局長の)懲戒処分の取り消しの可能性を問われて斎藤知事が発した「懲戒処分を受けた場合、不服があれば処分を受けた本人が人事委員会に不服申し立てを行い、その審査を受けることになります」という言葉の温度差でした。元県民局長はすでにお亡くなりになられているんで、どれだけ不服を申し立てたくても、それは永遠にかなわないことです。そもそも彼は「自らの死をもって抗議する」という言葉を残して亡くなられたのです。そのような方に対する言葉としては、あまりにも血の通わない、冷たい発言に感じられました。
ともあれ、相変わらず「この人の血の色は緑なのか?」と思わされる会見内容でしたね。え? 誰のことかって? いや、それについては公表すべきタイミングで、可能な範囲で公表を行うことを検討していきたいと思います。