金のどんぐりなんか

うさぎのミミちゃんはお母さんお父さんと3人暮らし。
本当は5つ上のお兄ちゃんがいたんだけどね。

ミミちゃんはお母さんとお父さんとは別々に暮らしてる。だから週に1回電話をする。でもミミちゃんはお母さんとの電話がちょっぴり苦手。お母さんはやさしくて大好きだけど、ミミちゃんにとってお母さんとお話しするのは、おままごとをやめて、本当のお料理をするようなことだから。

お買い物ってのは、金のどんぐりと買いたいものを交換するってこと。にんじんは120どんぐり、お肉は350どんぐり。ちょっと高いね、じゃあ今日はお肉は無しね。代わりに魚肉ソーセージ。おままごとだったら、どんぐりの数なんて気にしなくていいのにね。

ミミちゃんのお兄ちゃんは、勉強するために必要な沢山のどんぐりを心優しい人から貸してもらって勉強してた。でも勉強は思っていたよりもつまらなくて、勉強が出来なくなった。すると、優しかった人たちが怒ってどんぐりを貸してくれなくなった。お兄ちゃんは学校に行くどんぐりがなくなった。どんぐりを集めるために働いたけど、学校に行くだけはなかなか貯められない。
ある日、お兄ちゃんは木の枝を自分の頭にさして一人で木の下に転がっていた。

ミミちゃんにお母さんは「お兄ちゃんのことは誰にも言わないよ」と泣きながら言った。ミミちゃんは不思議だった。お兄ちゃんは何にも悪いことしていないのに、内緒にされた。学校を長らく休んでいたミミちゃんはお友達に休みのわけを聞かれた。「お兄ちゃんがお馬さんに蹴られてケガしたの」と話した。お友達はふうんとだけ言って去っていった。

ミミちゃんには頭が良くてお金持ちの家に住む友達がたくさんいる。
その子たちは口をそろえてこう言う。「どんなに辛くても死んだら負け」
お兄ちゃんは負けたのか。ああそうか。だからお母さんは内緒にしてたんだ。ミミちゃんは少し成長してから答え合わせすることになる。

ミミちゃんはお風呂の中でアヒルのおもちゃと一緒にわんわん泣く。金のどんぐりなんか!!ただのどんぐりなのに!

勝つとか負けるとか、ミミちゃんには今も昔もわからない。だってそんなのどうでもいいんだもん。

ミミちゃんが泣き疲れてブクブクとお風呂に沈んでいく。苦しくなったところでパッと目が覚めた。

私はとても長くて辛い夢を見ていたような気がした。

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