救急車の「居眠り事故」を防ぐ方法🚑😪💤
こんにちは❕APOです🧑🚒✨
今回は、救急車運転中における居眠りについて書きたいと思います。
今回のポイント
1.眠くなると、身体の一部を触りだす
2.抗眠行動が止まったら危ないサイン。機関員に声をかけよう❕
3.機関員は、職務達成のために交代を自ら進言しよう
4.隊長は、機関員が進言しやすい環境をつくろう
救急車による居眠り事故
救急車による、居眠り事故が発生したことは記憶に新しい。記事によると、「ほぼ無休で7件の搬送を担当した」と報道がありました。
1件あたりどのくらいの時間を要するかと言うと、地域にもよりますが、私たちの地区では約1時間です。
早い時は30分程度で帰ってくることもありますが、それは非常に稀なケースです。
病院までの距離が遠い地方では、もっと時間がかかります。
私の消防では、現場に到着するまでに30分。
そこから病院まで1時間。
帰ってくるのに1時間。
現場活動や病院での滞在時間を加えると、1事案で3時間要する消防署もあります。
「無休で7件」と言うと、これはかなり辛い。
集中力も途切れ途切れ。思考をする時間は短くなり、ほぼ作業的な活動になってしまうでしょう。疲れによるイライラを抑えることができず、傷病者やその家族に対して笑顔を見せる余裕も無くなってしまうかもしれません。
このニュースを見て、「ひとごとではない」と感じた救急隊員は多いことでしょう。
今回の参考論文
先日、広島大学から、トラックの運転中における居眠り事故の様子を調査した研究が報告されました。
この研究では、室内カメラから得られた52名の実車衝突の映像を用いて、運転中の眼の変化とマイクロスリープ関連行動を視覚的に分析しています。
実在に事故を起こした事例の動画を分析していますから、僕たちにとってとてもありがたい情報です🧑🚒
今回は、この論文をもとに「救急車の居眠り事故」について考えてみたいと思います。
1.抗眠行動の増加
抗眠行動とは、眠気に対抗する行動のことです。運転中に眠くなる事は誰でもあると思いますが、眠気を少しでも覚ますために、皆さんはどんな行動をとっていますか?職場でアンケートを行ったところ、「あくびをする」「首を回す」「座り直す」などが多く上がりました。
分析結果の上位はこのようになっています。
・46.2% 顔や身体を触る
・40.4% ストレッチをする
職場でこれを説明すると、「そう言われたら、そうかもしれない😎」という意見が多く出ました。どうやら機関員に自覚は少ないようです。眠気とは恐ろしいですね。自分で気づかないからこそ、このサインに周りが気づいてあげなければなりません。
2.圧倒的な眠気による抗眠行動の低下
しばらくは、顔や身体を触ったり、ストレッチするなどして眠気と闘うことができますが、時間と共にそれも出来なくなり、眠気の方が優勢になり始めます。
すると、顔を触るなどの「抗眠行動が止まる」という現象が起こります。報告によると、「抗眠行動が低下した40秒後に事故を起こす」パターンが多いようで、救急車の居眠り事故防ぐには重要なサインと言えそうです。
3.マイクロスリープ兆候の増加
マイクロスリープは、別名フラッシュスリープとも言います。瞬眠といったイメージでしょうか。具体的には以下の現象が多かったと報告されています。
・75% 力が抜けてダラっとしている(例 首がガクッとなる)
・19% まぶたが半分閉じたり、開閉の動きが遅くなる
この状態になる前に、なんとかしたいところです。
かなり危険な状態と言えますね。私たちが運転しているのは救急車🚑ですからね😅
4.車両の異常行動
このまま運転を続けると、車両の走行が不安定になります。
白線を超えたり(78.8%)、前に車がいないのにスピードを落としたりするようです。
5.衝突
報告では、車両が走行不安定になるとおよそ5〜10秒後に衝突しているケースが多いようです。車両の動きが不安定になってから声をかけたのでは、とても間に合わないということがわかりますね。
ここまでを整理すると、
反眠行動…「触れる」
マイクロスリープの兆候…「体を動かさない」
車両異常行動…「不適切な線越え」
の項目が全運転者で最も高い割合(それぞれ46.2%, 75.0%, 78.8% )で観察されたということですね。
論文では、事故の様子を記録した動画が補足資料として公開されています。抗眠行動やマイクロスリープなどの様子も確認できます。以下にアクセスして、ずっと下にスクロールすると動画を見ることができます😎
「運転代ろうか😊?」と声を掛けやすい環境に
僕たちが運転しているのは救急車です。居眠りなんかする訳ない❕と思う消防士もいるでしょうが、疲労には勝てないのが実際のところです。事実、事故は起きています。消防によっては機関員は専任制で、交代はできないところもあるかもしれませんね。
私の消防署では、この事故を受けて機関員の積極的交代を推奨するようになりました。病院に搬送するまでは専任の機関員ですが、帰りは交代するようにしています。
また、このような抗眠行動やマイクロスリープに関する知識を共有することも重要です。機関員自らが「眠い」ということを進言できるようになるでしょうし、周りの隊員もサインを見逃さないようになるはずです。そして、「運転代ろうか😊?」と声を掛けやすくなります。
「抗眠行動が止まったときの一声」
たったこれだけで、救急車の事故を予防できる可能性があります。
救急車の事故は悲惨です。
隊員3名、傷病者とその家族が乗ってます。救急車には多額の税金が投入購入されています。その責任を機関員一人が感じてしまって、辞職願を提出するということもあり得る話でしょう。僕はそのような職員を生ませたくはありません。
「救急車の事故は、起こさない。起こさせない。」
消防士の皆様😊
この論文はトラック運転手における事故について報告されていますが、救急車でも同様だと思っています。
まずはこの論文を紹介するところから、始めてみませんか👩🚒?
今回のポイントをもう一度❕
1.眠くなると、身体の一部を触りだす
2.抗眠行動が止まったら危ないサイン。機関員に声をかけよう❕
3.機関員は、職務達成のために交代を自ら進言しよう
4.隊長は、機関員が進言しやすい環境をつくろう
何かの参考になると嬉しいです。
ではまたっ👋🧑🚒🚑