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”児童虐待の今”を知ろう🚑🚒✨

児童虐待で、2021年に摘発された加害者のうち、最も多かったのは実の父親だった。警察庁によると、2021年1年間に、児童虐待事件で2,199人が検挙され、このうち実の父親が、最も多い1,039人だったという。(FNNプライムオンライン)

https://www.fnn.jp/articles/-/329698

どうも!👩‍🚒🤚
救急救命士のAPO隊長です。

最近、児童虐待に関するこんなニュースがありました👶
検挙された数では、父親が最も多いというニュースでしたが、僕的には少し以外でした。

それは、児童虐待の相談件数という点では、「実の母親」が一番という認識だったからです。でもこれは僕の昔に習った知識です。

というわけで、
今日は児童虐待について、アップグレードしていきましょう👩‍🚒!

救急隊にとって児童虐待はなぜ重要か

”児童虐待の防止等に関する法律”というものがあります。ここには、このように記述があります。

(児童虐待の早期発見等)
第五条 学校、児童福祉施設、病院その他児童の福祉に業務上関係のある団体及び学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、保健師、弁護士その他児童の福祉に職務上関係のある者は、児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなければならない。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv22/01.html

この太字の部分に注目してください。
私たち救急隊🚑は、児童虐待の防止等に関する法律において、

  • その他児童の福祉に職務上関係のある者

  • 児童虐待を発見しやすい立場にある

  • 早期発見に努めなければならない

という位置付けあります。

なので、当然ながら無視できないということですね。
僕は社会人枠で大学院に入りましたが、法医学の教授から虐待について重要なことを教えていただいたことがあります。

それは、「個人の住居内は、プライバシーが最も尊重されるべき空間であり、虐待はその中で行われる」ということです。

そして私たち救急隊は、その住居に、合法的に進入できる限られた、公務員であると・・。

児童虐待は通常、親等によって隠されます。実際は子どもを殴ったり、水風呂に漬けたりしていても、

🙍‍♂️「公園で転んだようです」とか。
🙍‍♀️「風邪をひいて、寒がっています」

など、救急隊に説明してくるんですね。
この状況で、もし救急隊が家庭内で虐待の可能性に気づかなかったとしたら、どのようにして早期発見ができるというのでしょう。

早期発見の肝は、救急隊が握っていると自覚しないといけませんね👊

児童虐待の今

それでは、ここからは、認定NPO法人3keys(スリーキーズ)さんのHPから引用させていただいて、児童虐待の今を勉強していきます。

1 児童相談所での相談対応件数

厚生労働省「市町村・都道府県における子ども家庭相談支援体制の整備に関する取組状況について」

2020年は、20万件の相談数とのことです。
かなり数ですね。

ニュースでは、虐待の発見が遅れたのは、”児童相談所の対応が遅いのではないか”とよく指摘されている様子が報道されますが、法医学教授から習った話では、パンク状態なのが現状と聞きました。相談件数が多くて、職員数が足りていないという問題が根底にある気がしてなりません👩‍🚒。

2 児童福祉司の数と相談件数

どうでしょうか。相談件数は大きく上昇しているのに、児童福祉司の数は多くありませんね。相談件数が11倍なのに、職員は3倍しか増えていませんからね。それでは現場が回りません。業務量の見直しも行われているようですが、それでも一人の職員が対応する児童虐待の件数は、年間40人となっています。イギリスの件数と比較したものがあるんですが、イギリスでは職員一人当たり年間16人の対応となっており、現状の厳しさが伺えます👩‍🚒。

3 虐待でどのくらい死んでいるのか

厚生労働省「児童虐待による死亡事例の推移」

重要なポイントですね。厚生労働省の報告では100人に満たない数ですが、実際は350人程度ではないかとのことです。

”多くの虐待死が見逃されている可能性”があるというのが、日本小児学会からの研究報告です。救急隊もその一役を担っている職ですから、このギャップは非常に重要です。意識して救急活動を展開することが大切ですね👩‍🚒。

4 内容別、虐待相談件数

厚生労働省「児童相談所での児童虐待相談対応件数(速報値)」

一番は、心理的虐待となっています。6割くらいあるんですね。この要因としては、子供の目の前で繰り広げられる、”お父さんとお母さんのDV”が原因とされているとの見方が大勢となっているようです。
虐待は、ネグレクト(育児放棄)や身体的虐待もありますが、これらは少数派です。

夫婦喧嘩を見せつけられる子供にとっては、心理的虐待を受けているという認識を持たなくてはなりません👩‍🚒。

警察庁「令和元年におけるストーカー事案及び配偶者からの暴力事案等への対応状況について」

このように、配偶者からの暴力事案等の相談件数は、右肩あがりとなっています。このことからも、心理的虐待の要因が夫婦間のいざこざに関係性がありそうですね。

5 経路別の相談件数

厚生労働省「児童相談所での児童虐待相談対応件数(速報値)」

それでは、誰が児童相談所に連絡するケースが多いのでしょうか。
この10年で大きく変わっているんですね。”警察”が半数以上で、明らかに増えていることがわかります。警察官の役割も変化しているようです。

消防からの相談はどうでしょうか。実際を考えると、直接的に児童相談所に電話することはなく、「市役所や警察、搬送先の医療機関にその可能性を情報提供する」くらいにと留まっているのではないでしょうか👩‍🚒。

6 主な加害者は?

2008年度は厚生労働省「平成20年度社会福祉行政業務報告(福祉行政報告例)結果の概要」、2018年度は厚生労働省「平成29年度福祉行政報告例の概況」

これも大きく変化していますね。僕も、学生時代は、「実の母親」が最も多いと習っていました。今はほぼ父親と母親が半数で、その他が少しといった感じですね。救急現場における家族の行動や言動には、父親にも母親にも均等に注意を向けておく必要がありそうですね。

7 犯罪で検挙されたのは?

法務省「令和2年版犯罪白書」

これも僕の認識と違いました。母親の相談件数が多いという思いだったので、検挙されるのも母親だろうと思っていましたが、実際は実の父親が多く、継父などを含めると、7割を占めるようです。

まとめ

はい👩‍🚒。それではまとめていきましょう。

今回の児童虐待のケースでは、以下の特徴を紹介しました✨。

1 相談件数の増加に児童福祉司の人数が追いついていない
2 見逃された虐待死が指摘されている
3 心理的虐待が最も多い
4 警察からの通報が増加している
5 主な加害者は父親と母親が半々
6 検挙されるのは父親等が多い

どうですか。皆さんの認識と合っていましたか?

APO隊長は、①⑤⑥あたりは新しい発見でした。というか古い知識のままでした。反省😭。それでも今日知れてよかった。

これをベースに、
次回は、実際の救急隊活動をイメージして症例検討をしていこうと思います。

ではまた👩‍🚒🤚✨

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あぽ🚒🚑
「書籍購入」と「救急救命士としての研修費用」に充てさせていただいており、職場内での勉強会に活用しています✨