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火災現場の消防士”簡易マスク”や”N95マスク”で一酸化炭素は防げるか🚒🚑✨

どうも‼️
救急救命士のAPO隊長です👩‍🚒🤚✨
最近は、「消防士の命を守る」というテーマで記事を書いてきました。

消防士は消火活動を行う中で、発ガン性物質や一酸化炭素、粉塵、そしてダイオキシンを吸い込むことがわかっています。

消防士である自分たちを守るためには、具体的にどのような行動が必要かという点を書いてきました。

バックナンバーはこちらからどうぞ👩‍🚒🔽


先日、職場での認識を高めるために、同様の講義を行いました。
まずは僕の勤務する職場から。。。

小さな一歩がやがて大きな行動につながると信じています✨

煙のある場所では一酸化炭素濃度が高いので、空気呼吸器を活用すること、煙が見えなくなったら、簡易マスク(防毒・防塵フィルタ)を使用した活動をすべきであることを説明しました📝

私の消防には、発ガン性物質を防いでくれる1個400円の防毒フィルタはありませんが、粉塵から守ってくれる防塵用の簡易マスクはあって、きちんと消防車に積載してあります。

このついでに装着の仕方を確認したところ、8割の職員が装着の方法を知りませんでした・・・。

自分たちの身を守るための資機材なんですが、所詮その程度の認識しかなかったという、良い証拠になりました笑 

いいんです。
まずは一歩!ここからが大切なんです👩‍🚒!
みんなで成長しようね!


”簡易マスク”や”N95マスク”で一酸化炭素は防げるか

その講義の中で、後輩が質問をしてくれました。

🙋‍♂️「隊長!一酸化炭素中毒は、僕たちが持っている防塵マスクや、N95マスクでは防げないのでしょうか!」

🙎‍♀️「N95はウイルスも通さないっていう位ですから、防げるかも!」

👩‍🚒「うーん。あくまでこれは防塵用だからね・・。でもちょっと、僕もわからないから調べてみよう👍!」


ということで、「一酸化炭素は防塵マスクでは防げないのか」について、みんなで調べることになりました。

参考文献① 防塵・防毒マスクの一酸化炭素除去性能の確認実験(中間報告)


👩‍🚒今回も、札幌の消防科学研究所報を参考にさせていただきました。
以下⬇︎のグラフは、防塵や防毒フィルターを使用した際の、一酸化炭素濃度を調べたものです📝✨

https://www.city.sapporo.jp/shobo/shokai/gakko/labo/shohou/documents/shohouno13.pdf
https://www.city.sapporo.jp/shobo/shokai/gakko/labo/shohou/documents/shohouno13.pdf

👩‍🚒フィルターのタイプは、様々なパターンを検証されていますが、防塵フィルターも、防塵・防毒フィルターも、一酸化炭素の減少はほとんど認められない状況という結果でした。

後者のフィルターNo.2の方が、少し一酸化炭素濃度が低くなってますね。それにしても、2600ppmくらい・・・。

作業安全の数値が50ppm以下ですから、安全というには程遠いレベルの低下量という結果でした。

そして中間報告ではこのようにまとめています。

既製品の直結小型式フィルターの中に、CO濃度を多少減少することができるフィルターを数種類発見することはできたが、これらのフィルターでは、CO濃度の作業基準50ppmをクリアして、火災現場の鎮圧後に実用できるほど、CO濃度は減少できなかった。

防塵・防毒マスクの一酸化炭素除去性能の確認実験(中間報告)

👩‍🚒残念ながら、火災現場で効果が期待できるほどの製品はなかった。という報告でした。ただし、いくつか検証する中で、これはいいんじゃないかという素材(触媒)が見つかったので、これを活用してさら調査を行ったのが、最終報告です。


参考文献② 防塵・防毒マスクの一酸化炭素除去性能の確認実験(最終報告)

ここには、N95マスクの調査結果も記載されているので、最終報告も見てみましょう✨

https://www.city.sapporo.jp/shobo/shokai/gakko/labo/shohou/documents/shohouno14.pdf

👩‍🚒この表が実験結果になります。

”触媒”というのが、前回の研究で、これは良さそうかも!と期待が込められたものですね。その触媒と様々なフィルターを組み合わせたり、N95マスクや、使い捨てマスクの比較も行われています。

それではどうだったか・・・。

右側の実験結果をみてください。
湿度を変えて2つのパターンを計測していますが、安全基準である50ppmをクリアできた素材はないようですね。

後輩が提案してくれたN95マスクは圧倒的に高い数値です。一酸化炭素濃度が2600ppmですから、同じく検証された使い捨てマスクと変わらないレベルということですね。

まあ、一酸化炭素は気体ですからね。
ウイルス用のマスクでは、幾ら何でも防げないということですね。

そして、この報告は以下のようにまとめられています。

常温下の条件でCOの安全基準濃度である50ppm未満まで、3,000ppmのCO濃度を減少させることは、先端技術の触媒やフィルタをもっても、現時点では困難であることがわかった。

防塵・防毒マスクの一酸化炭素除去性能の確認実験(最終報告)

👩‍🚒これも、消防士としては残念な結果です。
一酸化炭素を防ぐ既製品が全くないのか?と言われれば、実はそんなことはありません。一酸化炭素を防ぐ”吸収缶”というものが販売されています。しかしこれは、一酸化炭素専用であって、火災現場で発生する様々な有毒ガスを一緒に防ぐことはできないんです。

となると、
やはり結論としては、現状の技術では、”煙のあるところは空気呼吸器を装着して活動する”ということになるでしょう👩‍🚒


まとめ


👩‍🚒それでは、今日の内容をまとめていきます!

1、防塵・防毒フィルターでは、一酸化炭素を防ぐことはできない。
2、N95マスクでは、一酸化炭素を防ぐことはできない。
3、様々な有毒ガスがある火災現場で、一酸化炭素専用の吸収缶を使うのは効果的でない。
4、煙のあるところは、空気呼吸器を使用するのが現時点では最善。


本日は以上です😳!
後輩の質問から、またひとつみんなで賢くなることができました。
フィルターに期待した効果がなかったことは残念でしたが、

みんなで勉強し、みんなで疑問を持ち、みんなで解決できたことは何よりの報酬です✨

大切なので何回も言います。

市民の命を守るのが、私たち👩‍🚒🚒🚑。

自分や、仲間の命を守れなくて何が消防士でしょうか!!!

僕だって長生きしたいぞ!!!笑

「ゼロの知識を1にできた。」これだけで活動が大きく変わります。
これが成長です👨‍🚒。
次の勤務の時に、ディスカッションしてみてくださいね。

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さもないと、、、APO隊長に呪われますよ
👩‍🚒
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ではまた🤚✨!!!!


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あぽ隊長🚒🚑
「書籍購入」と「救急救命士としての研修費用」に充てさせていただいており、職場内での勉強会に活用しています✨