119番通報📱〜市民と消防の認識のギャップ③〜最終回
119通報は、火災や救急、救助等の対応を要請するため、市民が消防機関に通報する際の緊急用電話番号です。
救急車の出動件数は年々増加する一方、「不要」「不急」の通報が絶えない現状に、私たちは頭を抱えています。
X(Twitter)で、119通報の問題を投稿しました。666名の方に回答いただきましたので、ラスト7問目から10問目までを答え合わせしていきます👩🚒👍
1問目から3問目はこちらをぞうぞ。
1問目から6問目はこちらをどうぞ。
第7問 料理中に油が燃えて消せない
正解は、「119通報 する」です。
料理中に火災となる。これは非常に多いケースです。
ここ数年、コンロからの火災はランキングの3位を維持しています。
それだけ火災に進展してしまう可能性が高い状況ですから、「消せない!」と思ったらすぐに119番通報しましょう。
料理中の火災で特に多いのは、揚げ物料理中の火災です。
ちょっと目を離した隙に加熱し過ぎてしまったというケースが多いです。
これによると、5分で適温に達しますが、10分経過すると煙が出て、15分経つと発火するとあります。突然のお客さんや電話で簡単に経過してしまいそうな時間ですね。
さらに注意してほしいのは、IHに使用する「汚れ防止マット」です。
私の消防署でもIHに使用した汚れ防止マットが原因で、加熱防止装置が働かず、調理油に着火した火災事例がありました。私の家のIHの取り扱い説明書を見ると、確かに「使用しないこと」と明記してありました。
サッと拭くだけで汚れが取れることはIHクッキングヒーターの魅力の一つですからね。皆さんもご注意ください。
というわけで、「料理中に火が出て消せない!」というケースでは、119番通報をしましょう。
第8問 自宅の鍵を無くしてしまい入れない。何とか開けてほしい。
正解は、「119通報 しない」です。
「する」と回答された方や「分からない」と回答された方は、屋内にある危険を想像されたのではないかと思います。
例えば、「家のファヒーターを点けたまま外出してしまった。家に入りたいけど鍵を無くして入れない。焦げ臭い匂いがする。」というケースでは、119番通報は適切となります。
単に、部屋に入れないだけという119番通報は、不適切です。
先日、「お母さんが3階のベランダで洗濯物を干している際に、内側から保育園児が鍵をかけてしまい、お母さんが部屋に戻れなくなった」という119番通報がありました。
これについてはどう思われますか?
詳細に聞くと、保育園児は3才で、部屋で泣いているとのことです。
この場合、緊急性は無いようにも思えますので、炎天下や真冬でも無い限り問題はなさそうです。しかし119番通報としては適切です。その理由は、「部屋に子供が閉じ込められ、不測の行動で危険に晒される可能性が高いから」です。お母さんが中に入れないということよりも、子供が閉じ込められているという発想です。3歳ですからね。お母さんのところに行くために、どのような行動に出るか分かりません。危険な行動をとる可能性もあります。さらに言えば、家の中にいる子供を心配して、お母さんがガラスを割ることを考えるかもしれません。その際に怪我をする可能性もあります。
※消防の規模によって対応が異なる場合があります。
「家に入れない」という問題はいろんな要素があり、通信司令員の腕の見せ所でもあります。
ここでの問いは、「ただ家に入りたいから」というものですから、119番通報は適切ではありません。
第9問 家の前でうずくまっている人がいる。どういう状態か分からない。
正解は、「119通報 する」です。
不適切利用について説明すると、「状況がわからないのに通報してはいけない」ととかく考えがちです。でも実際はそんなことはありません。疑わしきは119番通報をしたら良いのです。
「最悪こんな状況かも・・。」と考えたら良いです。
今回のケースは119番通報をします。通信指令員が、”うずくまっている方の詳細”を尋ねると思いますので、その指示に従ってください。回答として「心配だけど、怖くて近づきたく無い。」も有りです。そう行った方も実際にいらっしゃいます。
僕たちが対応に困っているのは、このような通報ではありません。
次の「問10」のような通報なのです。
第10問 病院に行きたいが、場所がわからないから救急車で連れて行ってほしい。
正解は、もちろん「119通報 しない」です。
一般に、タクシー的利用と言われているものです。救急車はこういった目的で使用するものではありません。場所がわからないのであれば調べればよいだけです。
解説は、きっと必要ないですよね笑
まとめ
以上、ここまで119番通報の適切、不適切について解説してきました。
2,000人にも満たない弱小アカウントにも関わらず、たくさんの方にアンケートにご協力いただきありがとうざいました。
実際には、「適切な通報理由」として市民が認識しない場合、通報を遠慮してしまうことがあります。その結果、助けるべき命を救うことができず、予防できるはずの被害が大きくなる可能性があります。
逆に、実際には「不適切な通報理由」として市民が認識する場合、本来無駄な通報が行われることになり、通信指令員の負担が増えます。
これからも、このような場を借りて、少しずつみなさんに119番通報について理解していたらけたらなと思います。
ではまたっ!!👩🚒✨