過去のハイクラスパックの収録内容と、当時の環境から考える、VSTARユニバースにおけるバトルVIPパス未収録の妥当性。前編
VSTARユニバースにバトルVIPパスが収録されなかった。
11月25日金曜日午後1時、全国民待望のハイクラスパック「VSTARユニバース」の収録カードリストが公開された。
アンコモンであるにも関わらず、並みのポケモンVよりも高額であり、多くのユーザーに再録を求められ、また期待されていた「バトルVIPパス」は、そのカードリストにはなかった。
今回はバトルVIPパスが再録されなかった背景や理由を、過去のハイクラ
スパックの収録の傾向から考察する。
第一章 ハイパーボールが138番でミラージュゲートが141番
まず、なぜバトルVIPパスが再録されなかったことをフォーカスしたかについてだが、冒頭でも述べた通り、バトルVIPパスは、アンコモンの割には高額で、またシティリーグやチャンピオンズリーグでも高い採用率を誇っており、例年そういったカードがハイクラスパックに収録されているイメージがユーザー間の中であったからである。
現在、トーナメント環境で使用されていて、高額なポケモンVはほとんどないため、VSTARユニバースで注目されている再録カードは、主にグッズやサポート等のトレーナーズといったカードだった。
VSTARユニバースの収録カードリストがすべて公開されたのは25日だったが、それよりも前から、ポケモンカード公式チャンネルや、ポケモンカード公式サイトにて、小出しで収録カードの情報が小出しで発表されていた。
誰もがバトルVIPパスの再録を信じて疑わなかった中、11月18日の新情報が、一部のユーザーを激震させた。
ミラージュゲートの収録番号が141だったのである。
ハイパーボールの収録番号が138番でミラージュゲートが141番だから、ハ行のグッズはあと2枚しか収録されない。
なぜこんなことがわかるのかと言うと、同一パックのカードリストの番号は、グッズやサポートなどのトレーナーズカードはアイウエオ順、ポケモンは図鑑順に収録されるという法則があるからだ。(だいたい)
これらの法則により、事前に公開されていたハイパーボールと、ミラージュゲートの収録番号から、ハ行のグッズはあと2種類しか収録されないことがわかった。
その2枠を争っていた3枚のハ行のグッズが、件の「バトルVIPパス」、「パワータブレット」、「ヒスイのヘビーボール」だったのである。
その後の23日にヒスイのヘビーボールは、公式生放送にて収録が発表され、残りの1枠を、パワータブレットと、バトルVIPパスが争う事となった。
しかしながら、ミュウVやゲノセクトVは、VSTARユニバースの発表と同時に再録が公表され、ポケモンカード公式チャンネルの動画内でもフュージョンデッキが組みやすくなるという発言があったことから、収録の法則を知っているユーザーの間では、パワータブレットの再録が濃厚だという見解だった。(因みにメロエッタは再録されなかった。)
そして来たる25日。再録が決まったのはパワータブレットだったのである。
第二章 ロストアビス、パラダイムトリガー発売後の環境デッキと、収録内容の比較
先程述べた通り、ハイクラスパックは例年、シティーリーグやチャンピオンズリーグで活躍していたデッキのカードが収録されている。
今回パラダイムトリガーのカードは収録されていないので、ロストアビス発売前後の大会結果を参考に、環境デッキを考える。
恐らくロストアビス開発の段階にはもうハイクラスパックの収録内容は決まっているだろうが、公式がロストアビス発売後の環境の予想をしていて、おおよそその通りになっていただろうという前提で話を進めていく。
細かな違いは詳細は省くが
・ギラティナVSTAR
・パルキアVSTAR(裏工作、キュレム含む)
・ミュウVMAX
・ロストバレット
・ヒスイゾロアークVSTAR
・ソルロックルナトーン
etc…
などのデッキだろうか。発売直近は世界大会があったこともあり、シティリーグのデータがないことが気になるが、あなたも当時の環境を思い出すとこんな感じだった気がしてくるはずだ。
ほぼ全てのデッキにバトルVIPパスが使用されている
ただし、ギラティナデッキに関しては、バトルVIPパスが入っていないデッキも多かったことを留意しておこう。
続いて、パラダイムトリガー発売後の環境についてだが
・ルギアVSTAR
・ミュウVMAX
・ロストバレット
・レジギガス
・クワガノンV+レジエレキVMAX
・ジュラルドンVMAX
以上のデッキが、大体シティリーグで勝っているのをよく見るデッキと言える。
これらのデッキでバトルVIPパスが使われているかどうかは、大体半々くらいになるのではなかろうか。
ルギアVSTAR、レジギガス、ジュラルドンVMAXのデッキではあまり採用されておらず、ミュウVMAX、ロストバレットには必ず入っている。
VSTARユニバースで環境を変えうる新カードは発表されなかったため、この環境がしばらく続きそうなことを考えると、
現在、トーナメント環境でよく勝っているデッキを組むに際し、バトルVIPパスが必ずしも必要な環境ではない。
と言える。
第三章 ひとつ前のハイクラスパック、VMAXクライマックス発売当時の環境と、収録内容の比較
当時の環境デッキといえば
・ミュウVMAX
・クワガノン+インテレオン
・三神
・連撃ウーラオスVMAX
・ゲンガーVMAX
・れんげきテンタクル
・はくばバドレックスVMAX+スイクンV
また、フュージョンアーツ発売前であれば
・こくばバドレックスVMAX
・スイクンV+うらこうさく
・ムゲンダイナVMAX(ガラルマタドガス)
etc…
漏れがありそうだが、こんな感じだった気がする。
当時の人気カードでやや高額だったと言えば
れんげきウーラオスVMAX、こくばバドレックスVMAX、裏工作セット、
ゲンガーVMAX、三神TAGTEAM。
そこから少し下がって、クイックボール、回収ネット、ふうせん、頂きへの雪道、ボスの指令もこの頃はまだそこそこの値段だった記憶がある。
VMAXクライマックスの収録リストを見てみよう。
当時多く使われていたV、VMAXは大体入っていた記憶がある。
ミュウVMAXは1個前の弾のカードだったため、URの特別枠として収録だったが、それ以外は大体再録が来た収録内容となっている。
グッズもクイックボールこそ入ってないものの、トーナメント環境でよく使用されるデッキで使われていて、若干高額だったカードが多く再録されている。
ハイクラスデッキなどの発売後だったこともあり、当時のクイックボール収録の有無はあまり気にならなかった。
余談だが、1つ前のシーズンのボール系(ポケモンを持ってくるカード)が強すぎると、次のシーズンのボール系が若干弱くなっていて、この時期はそれに当たるのではないかと考えている。
クイックボールとしんかのおこうがあるにも関わらず、さらにネストボールのようなカードが来たらデッキ基盤が強くなりすぎてしまうのだろう。
Eマークのカードを収録したパックとして見ると、レベルボールが入っていれば及第点だと言える。
ただ、文句なしのハイクラスパックという訳にもいかず、特にユーザーからの不満が多かったのは、
うらこうさくジメレオンとインテレオンが収録されていなかったことだ。
当時のハイクラスパックで一番不満が多かったことは…
買えなかったことだろうが、買えなかった次くらいに不満が強かったのが、うらこうさくセットが再録されなかったことだった。
今バトルVIPパスが収録されなかった時に暴れているくらい、当時もユーザーが暴れていた気がする。
第四章 シャイニースターV発売当時の環境と収録内容の比較
発売当時はコロナウイルス直撃により目立った大会なし。
加えて、前シーズンに登場したTAGTEAM GXがあまりにも強すぎたため、新たに登場したポケモンVはどこか見劣りしていた。
その中でひと際輝いていたザシアンVとムゲンダイナVMAXは、シャイニースターVで文句なしの収録。
当時2000円を超えていたボスの指令や、すべてのデッキに入ると言っても過言ではないわりに入手方法が少なかったクイックボール。また、しんかのおこうや、たまに足りなくなる博士の研究やマリィが収録されていて収録内容は文句なし
かと思いきや、先程述べた通り、ザシアンVやムゲンダイナVMAX,お供のクロバットVを除いたポケモンVは、元々ストレージコーナーに混ざっているようなカードばかりで、ハイクラスパックとは…?という内容になってしまった。
結論、シャイニースターVは、収録カードは当時の環境とマッチしていたが、全タイプ収録するために、無理矢理収録されたポケモンVがあまりにも多すぎたハイクラスパックだった。
第五章 前編まとめ
ハイクラスパック発売当時の環境と、ハイクラスパックを照らし合わせてみたが、なかなか文句なしの100点満点パックという商品はないらしい。
すべてのハイクラスパックの発売時期に言えることだが、
収録されなかったが、環境でよく見るカードがなければデッキが組めない。なんてことはない。
確かにうらこうさくジメレオンは強かったし、じゃんけんに負けて相手が先行の時に、バトルVIPパスでカチャカチャ動き始めたら負けを意識し始める。
しかし、現環境トップのルギアVSTARにはバトルVIPパスは入ってないし、2021年の11月に開催されたチャンピオンズリーグ福岡で優勝したデッキにうらこうさくジメレオンは入っていなかった。(シニアリーグ優勝のデッキにはしっかり裏工作ラインが入っていた)
そもそも、高額カードの再録というイメージ自体がおかしな話で、パックから出るカードはすべて同じ価値で、それを我々が勝手に値段をつけて流通させているだけなのだ。
公式は、大会でよく使われているカードや、これから使われるであろうカードをハイクラスパックに収録している。
今回はたまたまそこにバトルVIPパスが無かっただけ。それだけなのだ。
前編 あとがき
いかがだっただろうか。シャイニースターVの発売からはや2年。ポケモンカードの人気はカイデンを落とす勢いで止まらない。
次回はSM期のハイクラスパックについて触れていきたい。
余談だが、バトルVIPパスの再録が無くて私もシンプルに悲しいと思っている。