見出し画像

#14 毒親との関わり方 ~極度のストレスによる脱毛~

前回の続きです。

担任の先生に「頼むから水商売だけは行かないで」と泣きつかれた私は、先生が探してきた寮付きの求人の説明会に参加します。

ちなみに、皆様ご存じのように、“普通の企業”は、東京出身の人間には寮を用意しません。寮とは、あくまでも「実家から通えない距離の人」が住むためのものだからです。

ですから、東京の人間でも寮に入れる仕事といったら、何かしらワケあり(水商売、ド級のブラック会社、グレーゾーンの業務など)しかありません。

先生の探してきた求人も、当然そうだろうと覚悟して行きましたが、まさにそうでした。

説明会に行ってみると、紫のダブルのスーツに、金のロレックス、ワニ革のセカンドバックを抱え…という、もうほぼ反◯にしか見えないような人たちが、部長や次長としてゾロゾロお出まし。女性も、おおよそ普通の会社にはいないであろう、金髪ワンレンに原色カラーのボディコンスーツ、みたいな、工藤静香さん(に失礼)みたいな人ばかりが出てきました。見てる分には面白かったですけど。笑

いくら高校生でも、“普通の会社”ではないことはすぐに分かりました。でも、私には選択肢などありません。「家を出る」ことが全てですから。

「東京出身の人間でも寮に入れる」という1点のみを確認し、すぐに入社を決め、ひらがなが読めれば合格するような形だけの入社試験を突破し(笑)、先生に「あの会社、入りますよ~」と報告しました。

ちなみに、この会社は何のワケありだっかというと、「グレーゾーン業務+ド級のブラック」のダブルパンチでした。

でも、先生は涙ながらに安堵していました。安堵するような会社じゃないよ、とは、口が裂けても言えませんでした。せっかく心配して探してきたのに、かわいそう過ぎますからね。笑

こうして、住む場所と、生きるための仕事を確保しました。

この頃になると、無断外泊は日常茶飯事になっていました。とてもじゃないが、気持ちが悪くて家にいられないのです。

カラオケで友達とオールしたり、友人の家を泊まり歩いたり、彼とデートしたりして、何とかしのいでいましたが、そんな中、悲しい出来事が起こってしまいました。

極度のストレスによる「脱毛」です。簡単に言うと、500円ハゲです。

これは、経験した人にしか判らないことだと思いますが、ある日の朝、髪をドライヤーで乾かしていると、指に「ツルッ」というありえない皮膚の感触を感じました。

ゾッとして、おそるおそる鏡の前で表面の髪をめくってみると、ほんとうに500円玉大の大きさに、ゴッソリ髪がなくなってツルッツルになっていました。

年頃だったのもあり(もちろん今の年齢でもキツいと思いますが)、さすがにショックで、学校に着くとすぐにクラスメートに「ハゲちゃった~!」と見せてまわり、この時ばかりはさすがに、いつも笑って話を聞いてくれる子達も、ともに涙しました。

そして、卒業の日が来ます。卒業式は、とても楽しいものでした。みんな、ここぞとばかりに、芸術系ならではの個性を最大限に発揮し、思い思いのおしゃれをして、終わったあとは居酒屋~カラオケをはしごし、飲めや歌えやの大騒ぎでした。これも時効ということで。笑

普段はあまり飲み会やカラオケオールに参加しないような、比較的真面目な子達もほとんどが参加して、みんなで朝まで楽しく過ごしました。

そしてついに、家を出る日がやってきます。

母親一人が静かに玄関で見守る中、グレーゾーン+ブラック会社のお迎えで家を出たのです。笑

続きは次回。

お読みいただきありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!

マザー愛
サポートをいただけたら、2024年にオープンする「バー とまり木」の開店資金にあてさせていただきます。定期的に現在の金額を公表し、万が一別用途に使用する場合は内容と金額を公表してから使わせていただきます。もし私を気に入っていただけましたら、応援のほど、よろしくお願いいたします。