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#13 毒親との関わり方 ~宗教を笠に着たセクハラ~
高校卒業を半年後に控え、ついに反逆を開始し、悲願の彼氏もでき、念願だった処女喪失もかなった私でしたが、決別のときが迫る中、親との冷戦はますます泥沼化していきました。
何度も書いているように、親の信仰する宗教の教えで、宗教の人間同士でしか結婚してはいけない、婚前交渉なんてもちろんダメ、という中で、外の男とデートし、無断外泊までした私を、親は「娘が罪を犯しているようだ」と宗教に訴えます。
詳細はややこしいので省きますが、この宗教では、宗教の教えに背いた人間は「審理委員会」という、いわゆる“宗教裁判”的なものにかけられます。
私は親に呼び出され、宗教の会合を行う会館に行ってみると、「長老」という人間たち(近所をまとめる「会衆」という集合体のなかではトップ)に囲まれ、根掘り葉掘り、極めてプライベートなことを質問されました。
「宗教以外の男とデートをしたか?」
「二人きりだったのか?」
「手をつないだのか?」
「キスをしたのか?」
「性行為をしたのか?」
今思えば、親ならまだしも、アカの他人のオヤジに、なんでキスやセックスをしたかどうかなど言わなきゃならない、まず聞くのもおかしいし、答える必要もないだろ、弁護士通せよ、と当然思うわけですが、笑
当時はもう、早く「決着」をつけたくてしかたなくて、「はい」「はい」「そうです」「そうですね」とちゃっちゃっと答えていきました。
隣では、両親が末代までの恥を背負ったような顔をしてうつ向いていました。
そして、その後しばらくして、私を「排斥(はいせき)」にする、という決断が下りました。
「排斥」というのは、この宗教の中で、もっとも重い刑になります。排斥された人間は、「背教者(はいきょうしゃ)」となり、悪魔と同じであって、近づいても話してもいけない存在になるのです。
親子の場合、日常生活上やむを得ない会話は許可されますが、それ以外はNGです。なぜにそんなことを他人に決めらんなきゃならないの?って話ですが。笑
当然、これ以降、家での雰囲気はさらに悪いものになりました。一言もしゃべらず、家族の冷たい視線にひたすら耐えながら過ごしました。
消化した過去のことなので、今は笑い話として書けていますが、当時はほんとうにキツかった。
アカの他人のオヤジに囲まれた上に、完全セクハラの内容を問い詰められ、あげくのはてに実の親が、私を悪魔と見ているわけです。予想していたこととはいえ、いくらなんでもキツすぎました。
覚悟は決めていたことですから、毅然と振る舞ってはいましたが、一つ一つの出来事がボディーブローのように重くのしかかり、精神はボロボロ、自暴自棄になっていたので、クラスのみんなが就職や進学を続々と決めていても、ただ日々を消化するだけで、なにも行動せずにいました。
そんな、卒業を間近に控えた、1月も終わりに近づいたある日、担任の先生が、「愛ちゃん、就職はどうするの?」と聞いてきました。
私は、「家を出ることが最優先事項なので、水商売しかないと思ってますよ~」と答えると、担任はいまにも泣きそうな顔をして、
「お願い!水商売だけはやめて!先生、寮付きの会社探すから」と言うのです。
私は「そうですか~」なんて適当に返事をしていたのですが、数日後、担任が新聞の折り込みを握りしめて私のところへ走ってきました。
「見て!寮付きって書いてあるでしょ、この会社。説明会だけでも行ってきて!お願い!」と。
まあ、先生には自分のことでも親のことでもさんざん迷惑かけてきたし、せっかく心配してくれてるのだから、と、説明会に行くことにしました。というかもう、ここしかないだろう、と思ってはいましたが。
続きは次回。
お読みいただきありがとうございました。
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