Kigisuの想い
いつも応援してくださり、ありがとうございます。
ひと言では伝えきれないのですが、Kigisuをどのような想いで運営しているのか、少しまとめておきたいと思います。
まず、Kigisuはデザイン、パターン、サンプル縫製、運営を私YUKAKOが一人で行っています。
これらの役割は、分けると「良いこと」もあるし、「良くないこと」もあります。
フリーのパタンナーとして仕事を受けていると、その「良くないこと」が非常に沢山あることに気づきました。
もちろん、しっかりとコミュニケーションをとって、上手くやっているブランドさんもいらっしゃいます。
ブランドを大きくしたいのであれば、役割分担は不可欠です。
私は手の届く範囲で、全て納得のいく形で、小さな仕立屋をやりたかったのです。
最初はオーダー品の縫製も自身でやろうと思っていました。
しかし、SNSで縫製士さんの置かれている、多くの悲痛な声を見かけ、そんな思いをするのであれば、私がもっと良い条件で依頼したい、縫製士さんの地位向上を計りたい、と思うようなりました。
実際に依頼している縫製士さんたちがSOSを発していたわけではないですが、現在縫製をお願いしている3名の縫製士さんたちは、気づいたら仲間になってくれていた、という感じです。
有難いことに「限られた条件で最大限良い物をつくる」という共通認識をもった縫製士さんたちに恵まれ、今日に至ります。
なぜ着物なのか
着物が沢山実家にあったからです。
母は着付師ですので、母自身の着物はもちろん、私にも幼き頃から着物を誂えてくれました。
父方祖母は日本舞踊をやっていたので、自分で仕立てた踊り用の着物を沢山持っていました。
母方祖母は物をとても大事にする人で、古くなった着物をリメイクして洋服にして着ていました。それでも使いきれず、私にくれました。Kigisuをはじめよう、という本格的なきっかけになったのが、見出しの写真にあるセットアップになった、母方祖母から貰った着物です。
その小紋着物を手にした時、着物という物を知っていたはずなのに、その美しさに驚き、しばし見とれてしまいました。
そして、色々と調べているうちに、日本中に着られることなく眠っている着物が沢山あることを知りました。
着付けが難しい、格があるので着る機会がない、シミなどがあって着物としては着られない、手入れにお金がかかる、サイズがあわない、、、色んな理由があるかと思います。
しかし、「着物が嫌い」という人はほとんどいないのではないでしょうか?
私はこの眠っている素晴らしい着物たちを洋服に仕立て直したいと、すぐさま考えました。
洋服なら自分でも着られるし、私にも作れると思ったのです。
着物文化を失いたくない
守るとか、成長させるとか、大きなことは言えないのですが、
着物文化はこの先もずっと続いて欲しい、と思っています。
着物がなくなったら着付師の母の仕事もなくなりますし、
キギスでリクチュールする着物もそのうち無くなってしまうことになります。
とは言え、無くなることはないと思っています。
着物はこんなにも美しく、日本人のみならず世界中の人々を魅了するのですから。
でも、「made in Japan」はどうだろう?
もしかしたら、ちょっと厳しいかもしれない。
日本でものづくりをする一人として、日本でつくる着物文化は残って欲しい。
何ができるか?
私は、母から着付けを習いはじめました。
たった一人の、とても小さな行動だけれど、着付けを受け継ぎたいと思ったのです。
母がいなくても着られるように。
そして、いつか 「made in Japan」の着物を自分で誂えて、自分で着る。
きっと沢山は買えないし、そんな事で何か変わるわけでもないのだけれど、
少しでも着物そのものの素晴らしさを体感し、人に伝えて行くことができたらと思っています。
キギスのリクチュールの話からは逸れてしまったけれど、
そんな感じで日々美しき着物があることに感謝しつつ、
これからも丁寧なものづくりをして行きたいと思っています。
まとまりのない文章ではありますが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。