後悔している。何故かは分からないけれど。
昔のネットでは、恋愛経験の無さをネタとして、童貞、喪女、年齢=恋人いない歴…など、「同じ穴の狢同士」が、お前が言うな的エンパシーネタとして使われていた、と思う。ネットはパソコンで使うもので、いわゆるオタクの独壇場だった時代。
それがスマホなどの普及でネットが老若男女問わず日常の一部となった頃から、「同じ穴の狢」への馴れ合いネタでは無くなり、ただの攻撃として使われる言葉になったように感じる。
日本人男性の交際未経験率の高さや高齢処女などが表面化してきてからは、より純粋な罵倒や見下しとして使われているようにも思う。
そこにきて最近、妙に学生時代への後悔を感じるようなことが多い。
なぜ当時恋愛をしなかったのか、とか。なぜあの時は欲しいものがあっても手に入れようとしなかったのか、とか。
去年くらいから、人生が終盤に入っていると気付いて絶望してから、こんなことを考える時が出てきた。
ただおかしいのは、学生当時の自分は、恋愛に全く興味がなかったはず、ということ。
気になる人もいなければ、「誰々が誰々と初めてヤった」なんて同級生の話を聞いても眉をひそめるだけだった。
要するに、性的好奇心が最高潮な思春期に行動に出ないくらい、男女ともにみんな容姿的に魅力がなかった。
思春期が終わっても恋愛に興味が出なかった。
好青年が彼女を作ろうと頑張っても、軽薄で責任感も無いチャラい男が強引に押せば、結構な割合の女の子が好青年よりチャラ男に体を許してしまう。そんなことを聞いてはげんなりしていた。
今の自分でも不思議なほど、異性や恋愛に全く興味を持たずに過ごしていた。
自分が好きなタイミングで好きな時間だけ絡めるなら良いが、相手も人間である以上そんな勝手は許されない。
そう考えると、人と付き合って時間を使うより、自分だけの時間が欲しかった。1人の時間に何をするわけでもなく、ただ暇を潰すだけだったのに。
それからは人と会う事がほとんど無い生活。
そして今になって、一般的な恋愛や性経験を送れていない人間に対する言葉が引っかかるようになってきた。
一般的な経験を自分から望まず、罵倒の言葉も昔から見慣れているのに、何故か最近になって自分に刺ささってくるような気がする。
これは何なのだろう。
今まで青春には後悔どころか、どうでも良くて考えることすら無かったのに。
人生は終盤に入り、後悔するにも遅すぎる時になって、突然沸き立つ不思議な感情。ありもしない後悔をする幻覚のような、かつてない感覚の中にいる。
面倒なのは、それがただの幻覚であってもつらい。