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最近の漫画配信サービスの広告が辛くて自分の感受性が死んだかと思ってた話

若い頃にはあった"視点"が無くなった気がする。

若い頃は物悲しい話や後味が悪くなる鬱ストーリーでも、「こういうのもあるのか」「気分は良くないけど記憶に残る」と、精神にダメージを受けながらも前向きに受け取れていた。
たまに鬱展開なものを見れば、1週間ほど悶々とすることもあっても、それを「強い印象が残る作品」だと思えた。

それが今は「良いか、悪いか」のどちらかでしか受け取れなくなった。…ような気がしたが、最近の「一筋縄でいかない作品」と話題になる作品は、読者を嫌な気分にさせることを目的として、それを突き詰めたものが多いんだと思う。
ジャンルが洗練されていけばそういった特化型が出てくるのは当然ではある。なかでも商業的に大きく成功しているものは、ゾワッとするシーンをピックアップした誘目性の高い広告で……え、何の話かって?

最近鬱になりそうな作品の広告が多くて辛い!
という話。

最近、漫画配信サービスの広告を目にする機会が多い。
それ自体は問題は無いが、その広告で使われる漫画が、広告を見ただけでも陰鬱な気分にさせられる作品なことが多い。

最近の同人や商業でそういったジャンルが人気なんだろう。しかし、そういうものが苦手というか大嫌いな人間からすると、「鬱になると評判の作品」から、「特に胸糞悪いシーンをピックアップ」して広告で配信されると、それを目にしただけでダメージを負ってしまう。本当にやめて欲しい。

そんな鬱気分になることを売りにした作品が溢れる中。ツイッターで「アイリウム」という漫画を、作者先生が自ら投稿しているのを見つける。

読んだのは「バンドマンの父親と疎遠な娘の、最後の会話の話」と、「夢を追うアラサーの話」。二つ目はネタバレを防ぐために簡略したが、内容は間違ってはいない。

星新一や多くのSFやブラックユーモア作品から影響を受けているという作者さんの作品で、どちらも後味の悪さがある。
でも、ただ悲しくて鬱になるだけではなくて、どうにもできない寂寥感と人生を俯瞰したような諦観。それを"一つの小さな物語"として、長引かせずにサッと終えることで、微かな清涼感と後味の悪さが混在する面白い気分にさせてくれた。

ああ、こういうのもあるんだ、と思った。

いつしか消えていたと思った若い頃の視点は、まだ自分の中にあった。
その事に安心した。

※同じ先生が「メンター」という作品も投稿されていて、同じように面白く読めましたが、男主人公が十数年ぶりに会った中学時代の同級生の女の子と、再会した直後にベッドに入っていたのがよく分かりませんでした。(ゴミ人生の引きこもり並感)

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