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音楽は当時の記憶を呼び起こすが良い記憶が無いのが問題

15年ほど前にはまりこんでいたゲームの高画質な動画を見た。

音楽というのは強く記憶に残るもので、その動画に流れる音楽で当時の記憶が脳内に広がるように蘇った。記憶が蘇る、という経験が少ないから、とても新鮮な感覚だ。
よく創作物で見るように、頭の中に記憶が湧き上がった。

その記憶は、当時プレイしていた時の様子と同時に、当時若かった自分のことも思い出させた。

15年前。
15年。子供が大きくなり、学生が大人になり、結婚をして子供が出来て人生が次の段階へと移るに十分な時間。

当時の私は、世の人は大学生か社会にいる年齢だった。やっていたことは、今と大して変わらない。祖父母ほどの年齢の人しかいない仕事場と、自宅との往復をするだけの生活。仕事は短く簡単だったが、とてつもなくストレスが溜まり給料も無いに近しいものだった。それでも、その生活以外の選択肢を考えない程度には、人生に興味を持てない状態になっていた。せめて給料がある程度入っていれば、働きの対価に欲しいものは手に入るという当たり前のことに気づけたのかもしれない。
残念なことにそれに気づくきっかけは無く、多くの人が人生で最も濃密で大切な時期を、私は誰と話すことも無く、ただ何も考えずに過ごしていた。

それから今に至る15年間も大体同じ。
何年か前から少しマシな状態になり、少しは人生に興味も湧いてきたが、人並みの人生には到底及ばない。

15年前なら少しでも人並みに近づければ人生が好転しても間に合った。でも、今からじゃ遅い。仮に今から人生が好転しても、もう人並みの人生に必要な事は得られない。
15年前にやったゲームの音楽はそんなことを思わせた。

そのゲームをやっていた時、「プレイを録画して後で見る」という事をやっていた。今で言うゲーム動画。
ゲーム実況動画が流行り始めたのは2008年くらいからだと思っているが、それが5年後には職業として成立するようになるとは思わなかった。
私もやっていれば……なんてほんの一瞬思ったが、まともなネット環境も無く、吃音な自分には最初から無理だった。

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