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アメリカン・ポップス・クロニクル 1960年代編 ch.2 (3)

ツイストが2度輝けば

今回はニューヨークとワシントンD.C.のほぼ中間に位置するフィラデルフィアに話を移します。フィラデルフィアといえば、ディック・クラークの伝説の音楽番組アメリカン・バンドスタンド発祥の地ですね。

1960年のNo.1ヒットソングの紹介をした時に、ポップNo.1のチャビー・チェッカーの"The Twist"、この曲のオリジナルはハンク・バラード&ザ・ミッドナイターズだという事には触れました。もう少し詳しく。

ハンク・バラードのバージョンは58年キング・スタジオで録音され、バラード曲"Teardrops on Your Letter"のB面として発売されました。このバラード曲は59年R&B4位のヒット曲となりました。そして、彼らがボルティモアで公演した際に、B面の"The Twist"に若者たちが熱狂して、会場は興奮に包まれたそうです。ボルティモアにはアメリカン・バンドスタンドと同じようなダンス番組で、バディディーンショーというのがあったんですね。ダンスが深く根付いていた土地でした。

1960年4月、ハンク・バラード&ザ・ミッドナイターズは"Finger Poppin' Time"というダンス・ナンバーをリリースします。この曲はR&B2位、ポップでも7位と大ヒットして、アメリカン・バンドスタンドに出演します。AB面を逆にして”The Twist”も再発されました。


この流れを見逃すことのないディック・クラークは、59年にデビューしていたチャビー・チェッカーに目を付けます。チャビー・チェッカーのデビュー曲の"The Class"は、彼がファッツ・ドミノ、コースターズ、エルヴィス・プレスリー、コジー・コールそしてチップマンクスをコミカルに物真似したノヴェルティー・ソングでした。

物真似が上手なチャビー・チェッカーなら"The Twist"をカバーさせても、うまくいくだろうとリリースしたら、これが見事に大当たりで、全米No.1となり、ツイストは全米中に拡がり、大ブームとなりました。チャビー・チェッカーはこの勢いに乗り"Let's Twist Again"、"Twistin' U.S.A."、"Slow Twistin'"と立て続けにツイスト・ナンバーをリリースします。

1962年1月13日付けの全米チャートで、なんとチャビー・チェッカーの"The Twist"は2度目の全米No.1に輝きました。同じレコードが2度全米チャートで首位になるというのは、稀有で偉大な記録であり、この記録を持つのは、彼とビング・クロスビー(ホワイト・クリスマス)だけなんですね。

1962年はまさにツイスト・ブームの真っ只中。ポップ、R&Bで1位になった曲で、タイトルにTwistが付くものをあげてみると、ジョーイ・ディー&ザ・スターライターズの"Peppermint Twist"、サム・クックの"Twistin' the Night Away"、キング・カーティスの"Soul Twist"。首位以外にもアイズレー・ブラザーズの"Twist and Shout"、ビリー・ジョー&ザ・チェックメイツの"Percolater (Twist)"、ゲイリー・U.S. ボンズの"Twist, Twist Senora"、ジミー・ソウルの"Twistin' Matilda"、ビル・ブラックス・コンボの"Twist-Her"、カウント・ベーシーも"The Basie Twist"、マーヴェレッツは"Twistin' Postman"、チャンプスは"Tequlla Twist"、キリがないのでこの辺りにしておきます。とにかく、空前のツイスト・ブームだったということです。

(2022/01/21)

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