ウクライナ危機(2022年)概要

2019年 2月
 ウクライナは、憲法改正を行い、将来的なEU及びNATO加盟を目指す国の方針を憲法に明記した(このときの大統領はポロシェンコ)。

2019年 4月21日
 ウクライナ大統領選でポロシェンコを破りゼレンスキーが当選。第5代ウクライナ大統領となる。
 当時の報道では、ゼレンスキーはロシアとの協議に前向きだとされていた。

2019年4月24日
 プーチンが、ウクライナのドネツク州及びルガンスク州に住むウクライナ人の希望者にロシアの市民権を付与する大統領令に署名。

2019年 6月
 ゼレンスキーは、ストルテンベルグNATO事務総長と会談し、EU及びNATOへの加盟を求める従来の方針に変更はないと表明。他方で、ロシアとの和平協議も開始するとした。

2019年10月
 ウクライナで、政府軍と親露派が、ドネツク州及びルガンスク州での兵力引き離しに合意。

2019年10月31日
 ゼレンスキーは、ストルテンベルグNATO事務総長と会談し、共同演習の実施等、さらなる連携を求めた。

2019年11月12日
 OSCEが、10月の合意に基づくドネツク州及びルガンスク州での兵力引き離しの完了を確認。

2019年12月12日
 EUの首脳会議において、2014年のロシアによるクリミア併合直後に発動された経済制裁について、2020年7月まで延長することが合意された。

2020年 6月12日
 NATOが、ウクライナを「高次機会パートナー」(EOP)に認定。これにより、相互互換プログラム・訓練への高次アクセス、さらなる情報共有が可能となった。

2020年 7月27日
 ドンバス地方における紛争について、ウクライナ及びロシア両国等が合意した完全停戦が発効。

2021年1月12日
 ゼレンスキーが、モルドバのサンドゥ大統領と会談。共にEUへの加盟を目指すことなどが確認された。

2021年 2月
 ゼレンスキーは、メドベドチュクが所有するテレビ局の放送停止と資産凍結を定めた大統領令に署名。同テレビ局が親ロシアプロパガンダを行っていたとの理由。

2021年 3月
 ロシアは、ウクライナ国境付近及びクリミアの軍部隊を増強。

2021年 3月31日
 カービー米大統領府報道官が、2020年7月の停戦合意違反が増加しており、ウクライナとロシアの間で緊張が高まっていると警告。

2021年 4月2日
 ゼレンスキーとバイデン米大統領が電話会談。ウクライナへの支援を約束。

2021年 4月8日
 ロシア大統領府副長官が、ウクライナが分離独立派への全面的な攻撃を開始した場合、ロシアが介入して助ける可能性があると警告。

2021年 4月12日
 G7の外相が、ロシアがクリミア半島において軍を増強していることについて深い懸念を示す共同声明を発表し、ロシアに対して挑発行為をやめるよう求めた。

2021年 4月13日
 ウクライナのクレバ外相とストルテンベルグNATO事務総長が記者会見し、ロシアがウクライナ国境付近に兵力を終結させていることについて深刻な懸念を示すとともに、NATOはウクライナを支持すると表明した。

2021年 4月16日
 ゼレンスキーが、マクロン仏大統領及びメルケル独首相と会談。会談後、ロシアに対しウクライナ国境付近での軍増強を停止するよう要求。

2021年4月19日
 EUのボレル外交安全保障上級代表は、ロシアがクリミアとウクライナの国境付近に15万を超える部隊を集結させているとして危機感を示した。

2021年 4月22日
 ロシアのショイグ国防相は、部隊の撤収方針を示した。

2021年 5月6日
 ブリンケン米国務長官がウクライナ訪問。ゼレンスキーと会談し、4月のロシアによる部隊撤収方針にもかかわらず、実際には相当数の兵力が残存しているとの認識を示した。ウクライナへの米国の支持を確認。
 また、同月の「ディフェンダー・ヨーロッパ21」(NATO主導の合同軍事演習)にウクライナ軍を参加させた。

2021年 5月
 バイデン米国大統領は、ノルドストリーム2(ロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプライン)に対する制裁を解除。ウクライナは失望し。

2021年 5月11日
 ウクライナ検察当局は、メドベドチュクを国家反逆罪で刑事訴追したと発表。クリミア併合により同人の関連会社が保有していたクリミアのガス田採掘権をロシアに譲渡したことが理由。
 メドベチュクは、親露派の議会第2党「野党プラットフォーム-生活党」の幹部であり、また、いわゆるオリガルヒ(新興財閥)としてプーチンと親交が深い人物。

2021年 5月14日
 プーチンは、メドベドチュクの刑事訴追を受けて、ウクライナで親ロシア勢力の粛清が行われている、と発言。

2021年 5月20日
 ゼレンスキーは、就任2年目の記者会見において、オリガルヒのためではなく、国民のための国を作る、と語る。

2021年 6月16日
 ジュネーブにて、バイデンとプーチンの首脳会談が開催され、戦略的安定対話の着手することを合意。
 同日、ロシア大統領府報道官が、ウクライナのNATO加盟は超えてはならない一線であると表明した。

2021年 7月
 プーチンは、「ロシアとウクライナ人の歴史的統一について」と題する論文を発表。ロシア人とウクライナ人は「一つの民族」であるという見解を示した。

2021年 8月23日
 ウクライナは、EU及びNATO加盟国など40数か国の代表を招き「クリミア・プラットフォーム」(クリミア半島返還を目指す国際枠組み)の設立会議をキエフで開いた。

2021年9月1日
 ゼレンスキーとバイデンが会談。米国はウクライナへ6000万ドル規模の軍事援助をするとした。

2021年 9月10日
 ノードストリーム2の完成が発表された。なお、NS2は、ウクライナを介さずバルト海経由でドイツに直接ガスを供給するもの。

2021年 9月19日
 ロシアは、ベラルーシとの合同軍事演習「ザーパド2021」を理由に、ベラルーシとウクライナの国境付近の兵員の配備と増強を開始した。

2021年 9月23日
 ウクライナ議会は、国内のオリガルヒの影響力を抑制することを目的とした法案を可決。

2021年11月 4日
 プーチンがクリミアのセバストポリを訪問。クリミアをウクライナに返還する意思がないことを表明した。

2021年12月 7日
 バイデンとプーチンがテレビ電話で首脳会談を開催。バイデンは、ロシアがウクライナ侵攻すれば経済措置等を行うと警告。プーチンは、NATOが東方拡大しないことの保証を求めた。

2021年12月 8日
 バイデンは、米軍をウクライナに派遣することは検討していないとした。
 この時点で、ロシアはウクライナとの国境付近に12万強の兵力を集結させていた。

2021年12月10日
 ウクライナは、東部地域の新たな停戦案をロシア側が拒否したことを明らかにした。
 同日、ロシアは、ウクライナとジョージアが将来NATOに加盟するとされた2008年の確約の撤回を要求したが、ストルテンベルグNATO事務総長は、各国には自国の道を選択する権利があると強調した。

2021年12月15日
 GUAMのうち、ジョージア、ウクライナ、モルドバの3国が、東方パートナーシップ(EaP)首脳会議で、EU加盟に向けた意思を表明し加盟交渉の開始を要請。


2021年12月21日
 プーチンは、西側諸国を非難。軍事的措置をとることがありうると示唆。

2021年12月23日
 プーチンが記者会見を開き、1990年代にNATOが東方拡大しないとの約束があったが反故にされたこと、ウクライナへの軍事侵攻は欧米の対応次第だと発言した。

2021年12月30日
 バイデンとプーチンが電話首脳会談を開催。バイデンは制裁発動を警告し、プーチンはそうなれば関係は完全に決裂すると応じた。

2021年 1月10日
 米露戦略安保対話が開催されたが、双方の溝は埋まらず。

2022年 1月12日
 ロシアは、NATOと「NATOロシア理事会」で会談。NATOは東方不拡大というロシア側の要求を受け入れず。

2022年 1月17日
 ベラルーシのルカシェンコ大統領は、同国西部および南部で、2月10日から20日にかけて、ベラルーシとロシアの合同軍事演習「同盟の決意2022」を行うと発表。

2022年 1月21日
 ブリンケン米国務長官とラヴロフ露外相が外相会談を開催するも、めぼしい成果はなし。
 会談後、アメリカは書面にて、ロシアからのNATO東方拡大停止という要求を拒否。

2022年 1月26日
 パリにおいて、ドイツ、フランス、ロシア、ウクライナの政府高官による四者会談が行われた。第2次ミンスク合意に基づく停戦実現の重要性が確認され、2週間以内にベルリンで再協議を行うことも合意された。
 なお、この会談は、「ノルマンディー・フォーマット」という上記4か国によるウクライナ東部紛争の話し合いのための枠組みに基づくものである。第2次ミンスク合意を基礎とする。
 同日、米国はロシアに対してNATO門戸開放政策に変更はないと文書で回答した。
 同日、NATOも同様の回答をロシアに行ったことが発表された。

2022年 1月27日
 ゼレンスキーとバイデンが電話協議。バイデンはロシアによる侵攻の確かな可能性を警告したが、バイデンとゼレンスキーとでは、ロシアによる侵攻の脅威の程度について意見が分かれた。
 
2022年 1月28日
 ゼレンスキーは、米国が戦争リスクを過度に強調しており、それがウクライナの経済に悪影響を及ぼしているとして批判した。

2022年 2月8日
 マクロン仏大統領がゼレンスキーと会談し、ウクライナが第2次ミンスク合意を履行することが平和と政治的解決につながる唯一の道だとの見解を示した。

2022年 2月10日
 アメリカおよびその同盟国は、ウクライナからの自国民退避を勧告。
 同日、ロシア対外情報局長官が、ウクライナ側で戦争の準備が進んでおり、親露派への攻撃が始まりかねないと主張。

2022年 2月12日
 バイデンとプーチンが電話協議。しかし成果は上がらず。

2022年 2月15日
 ウクライナは、国防相と銀行がサイバー攻撃を受けたと発表。
 同日、プーチンはドンバスでジェノサイド(集団殺害)が起きていると発言。

2022年 2月19日
 ゼレンスキーは、ミュンヘン安全保障会議で演説し、ロシアに対して強硬姿勢を打ち出した。

2022年 2月20日
 北京五輪、閉会。

2022年 2月21日
 プーチンが、ウクライナ東部のドネツク人民共和国及びルガンスク人民共和国の独立を認める大統領令に署名。
 同日、プーチンがテレビ演説で、ウクライナは米国の植民地、傀儡政権などと発言。

2022年 2月22日
 ロシア連邦議会が、ドネツク人民共和国及びルガンスク人民共和国との友好相互援助条約批准を承認。
 同日、プーチンが、ミンスク合意はもはや存在しないと発言。
 同日、ロシア連邦議会上院は、国外へのロシア軍派遣を全会一致で承認、即時発効。
 同日、ゼレンスキーは予備役の招集を行うことを表明。

2022年 2月23日
 ロシア大統領報道官が、ウクライナ東部の親露派幹部がプーチンに対してウクライナ軍撃退を要請したと明らかにした。

2022年 2月24日
 ロシアが、ウクライナに全面侵攻した。


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