画像の重さとダーマトグラフ
出張があったりで二週間あいてしまった。
二階調画像について考察していたりしたのは、2000年代にデジタル写真が定着し、どんどん高画素化していくのに従って、ある種の疑問や反発を覚えたからだ。
高画素化して行くのにカメラ機材の購入も大変だったが、どんどん増えるデータ量に、パソコンやそれを処理する環境の整備も大変だった。仕事上でもほぼ問題なく使えるある種の到達点として、「1200万画素」という基準があった。ニコンで言えばD2X、キヤノンなら1Ds MarkⅡあたりだろうか?フジフィルムのS3というカメラもあったりして、筆者はこれが気に入ってよく使っていた。
いずれにせよ、それまでの何百万円もする海外製のデジタルバックに依存しなければならなかったプロユースの障壁が取り払われた訳だ。
1200万画素あれば、印刷解像度350dpiでA4全面をカバーできる。大きなポスターなどは別にして、通常のお仕事サイズにはようやく必要十分な条件に達した訳だ。
この1200万画素の容量はRGBデータで約35MB。今ではなんともないデータ量だが、導入当初はそれまでの600万画素程度から一気に倍加した訳で、ひどく重く感じたものだ。特にそれまでのフローでは、現在のようなRAW撮影もまだ一般的でもなく、それ以前のプロ用デジタルカメラ黎明期から信望されてきたTIFF撮影なども併用したりして、なんともまぁ時間を労費していたものだ。
それも、“お仕事”になると何十枚、何百枚も撮影をすることもしばしばで、撮影後の処理…、いや選別からして大変で、「人生の貴重な時間」がデジタル処理に追われる運命に追い込まれた。
これは、デジタル期から写真に係った者には当たり前かもしれないが、それ以前の撮影して現像後の「ポジチェック」で、ポジ袋の上からダーマトグラフ(検索してくださいね)で赤丸を付けたら“お仕事完了!”と、たかだか10分程度で、撮影後の仕事が完了していた商業カメラマンにとっては何ともやり切れない事態だった。
ということで、二階調画像から画像のデータ量への思いを書くつもりが、また前置きで脱線してしまった。
途中まで書いて、「ダーマトグラフ」が気になって、一時間くらい探してしまった。かつてはスタジオに何本も転がっていたはずだが、ようやく1本見つけたので、これまた90年代のポジのスリーブをやっと見つけて一枚。
大切にしておこう。